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ミステリの祭典

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蟷螂の斧さんの登録情報
平均点:6.10点 書評数:1696件

プロフィール| 書評

No.436 6点 黒衣の花嫁
コーネル・ウールリッチ
(2013/06/11 10:07登録)
ハヤカワミステリーの裏表紙「彼女は、つぎつぎと、五人の男の花嫁になったのだ-結婚式もあげぬうちに喪服に身を包む冷酷な殺人鬼-黒衣の花嫁に。」→物語の内容との不一致(拡大解釈を遥かに越える?)が、はなはだしいですね。五人の男性の物語は、それぞれ独立していて楽しめました。文章は、読みやすいし独特の雰囲気があります。最後の一捻り(結構好きなタイプの一捻り)があったのですが、その時の花嫁の心情がいま一つ伝わってこなかったのが残念な点です・・・。


No.435 5点 ソフィー
ガイ・バート
(2013/06/09 20:07登録)
マシュー(弟)が姉のソフィーを監禁している場面からスタートします。現在(監禁中)がソフィーの一人称、過去がマシューの一人称で語られ、子供時代の回想(当初はノスタルジックな雰囲気)が、徐々に暗部へと変化してゆくという展開です。ラストでは、意外な展開が用意されているのですが、何故?という理由が明らかにされないので、モヤモヤ感が残ってしまいます。一つはソフィーの行為(ある事情で致し方ないのですが・・・~完全なネタバレになるので書けない)、もう一つはマシューの行為です。○○であるからで片づけられても・・・といった感じですね。訳者のあとがきには「ダーク・ファンタジー」としたとあります。


No.434 5点 体験のあと
ガイ・バート
(2013/06/09 09:42登録)
著者は12歳でW・H・スミス・ヤングライターズの大賞を受賞。本書は18歳の時書いたものということです。地下室に閉じ込められた高校生5人の状況が、3人称での文章、閉じ込められたリズの手記、外部にいるリサの告白で交互に語られます。稚拙な文章(理由はあるのですが)で、サスペンス感はあまり感じられません。エピローグである事実らしい?ことが判明します。小説の中身より、構成の方がが光っているとという感じですね。途中の緊迫感があれば、もっとラストが生きてきたと思います。


No.433 5点 愛する者に死を
リチャード・ニーリィ
(2013/06/07 19:09登録)
著者のデビュー作(1969年)。本格風味の漂うサイコ・サスペンス。どんでん返し度は、「心ひき裂かれて」が強烈だったこともあり、それほど感じませんでした。デビュー作なので、その後に続く作品(叙述)の片鱗は感じることはできました。作品評価とは別のことですが、翻訳がイマイチとの感を持ちました。


No.432 7点 六死人
S=A・ステーマン
(2013/06/07 09:44登録)
(ネタバレあり)1931年の作品。創元推理文庫版の裏表紙、訳者あとがきは、完全にネタバレしています。「○○の○○より8年早い本格ミステリの傑作!」とあります。それを承知の上、読んでもそれほど影響はありません。連続殺人、犯人の隠匿方法のアイデアが、本作の方が早いということなのでしょう。相違点は、クローズドサークルではない、探偵が登場する、動機・目的が予想できる等です。コンパクトにまとまっている良作だと思います。(良く言えば、余分なものが削ぎ落としてある。悪く言えば、厚みがない?。)評価する点は、動機の隠し方が秀逸であったことです。(当時の法的問題は不明なのですが・・・)


No.431 5点 奇面館の殺人
綾辻行人
(2013/06/06 11:10登録)
舞台設定(全員仮面での登場、クローズド・サークル、首なし・指なし死体)の割には、緊迫感が感じられなかったですね。理由は、登場人物間に、次ぎに事件が起こるのでは?という疑心暗鬼がなかったこととや、著者の狙いがホワイダニットに重点が置かれていた?ということでしょうか。人物隠匿方法としての、仮面・首なしに新しいトリックを期待してしまったので、辛めの評価となってしまいました。館ものは8冊目、暗黒館は長いので途中でお休み中です(笑)。ラストの館ものに期待したいです。


No.430 7点 殺人症候群
リチャード・ニーリィ
(2013/06/02 08:22登録)
1970年発表、どんでん返しのあるサスペンスとして先駆的な作品に該当するのかもしれません。解説には「二ーリィの作風への親近感を見せている作家は、ニーリィのファンを公言して憚らない折原一で、直木賞候補にもなった彼の最高傑作「冤罪者」では、作中人物に「殺人症候群」を読んだという台詞を言わせているほどであり・・・(略)・・・意外そのものの真相まで用意したトリッキーなものである。・・・」とあります。私のこのサイトへの書評数の一位は、折原一氏の20作品で、やはりこの手の作風が好みなのですね。二ーリィ氏の翻訳は少ない(7冊ぐらい?)らしいので、読破したいと思います。


No.429 9点 殺人交叉点
フレッド・カサック
(2013/05/28 17:23登録)
①殺人交叉点は、1957年の発表(1972年改訂)で、まさに「最後の一撃」に値する作品でした。現在では、同様のモチーフの作品は数多く、かなり高評価を得ているのでは?と思います。従って、本作は、先駆的な価値が非常にあると思います。(このような先駆的作品に出会うことも読書の楽しみの一つですね。日本では、小泉喜美子氏の作品あたりか?・・・)②連鎖反応も、ブラックユーモアにあふれた良作です。特に語り部の雰囲気がなんとも飄々としていて楽しめました。


No.428 7点 黒猫館の殺人
綾辻行人
(2013/05/27 08:49登録)
このような大胆なトリックは好みですね。人物の謎、密室の謎はおまけのようなものと思います。同じようなテーマ、似ているトリックの作品があれば、読みたいと常々思っています。どちらが元祖?や、どちらの方がうまく料理しているか?などに非常に興味があります。本サイトを参考にしていますが、某巨匠、某有名作品では、なかなかヒントになってくれません。本作品も同年発表の某巨匠の作品があるみたいですが・・・。エラリー・クイーン、折原一氏の館ものとは違うし・・・。


No.427 6点 ゲームの名は誘拐
東野圭吾
(2013/05/24 10:08登録)
読みやすく、ノンストップでしたね。オチも楽しめました。ただ、犯人側からの視点のみでストーリーが進むこと、そこに著者の狙いがあったとは思いますが、その影響か、やや厚みが無くなってしまったような気がします。つまり、警察・父親・母親の動向・心理の描写がないので、あまり緊迫感が感じられなかったということです。またゲーム感覚である点(強調し過ぎ?)、スムースに事が運び過ぎたのも、若干物足りなさを感じました。


No.426 9点 心ひき裂かれて
リチャード・ニーリィ
(2013/05/22 16:48登録)
(東西ミステリーベスト98位)裏表紙に「サイコ・スリラーの元祖、ニーリィの最高傑作!」とありますが、うなずける作品でした。著者の作品は初読なので他の作品との比較はできませんが、結末の衝撃度はかなりのものでした。


No.425 6点 ねじれた家
アガサ・クリスティー
(2013/05/20 19:53登録)
(クリスティの自薦10の一冊)相続がらみで、面白い展開だったのですが、やはり某有名作を思い出してしまい、高評価はつけ難いと言ったところです。


No.424 8点 ゼロ時間へ
アガサ・クリスティー
(2013/05/17 16:26登録)
(クリスティの自薦10の一冊)完全犯罪を計画(倒叙ではなく、犯人は伏せられています)、成功かと思われるが・・・。名探偵の登場で、証拠を積み上げて犯人を暴きだすといった趣向ではないところが、本作のミソ(ユーモア?)ではないでしょうか。自殺し損ねた男がいい味で利いていました。ミスディレクションや伏線がちりばめられており楽しめました。動機も理解でき、納得です。


No.423 4点 黒い森
折原一
(2013/05/16 06:06登録)
サスペンスとしては、そんな悪い出来ではない(普通に面白い)のですが、本の構成から期待したほどの結末(オチ)が得られなかったというところですね。


No.422 4点 目を擦る女
小林泰三
(2013/05/13 15:57登録)
(タイトル・女25)仮想現実を描いた短編集(7編)。表題作「目を擦る女」・・・その女の言う世界が、現実なのか、夢の世界なのか・・・その世界におちいってゆく主人公。SFの世界で、やや好みから外れていましたので、この評価。


No.421 7点 女彫刻家
ミネット・ウォルターズ
(2013/05/12 16:44登録)
(タイトル・女24)事件を追うごとに、家庭の内情が暴露されていく過程は読みごたえがありました。女性の心理描写は、女性作家ならではのものと感心しました。陰湿な事件を扱っていますが、女主人公と元刑事の恋愛が一服のオアシスのような感じで好感が持てました。エピローグは、賛否の分かれるところでしょうが、作者のサービス・おまけのようなものではないかと思います。


No.420 5点 予告殺人
アガサ・クリスティー
(2013/05/10 16:15登録)
(クリスティの自薦10の一冊)動機、プロットは良く考えられていますが、テンポ、展開がイマイチという感じがしました。最初の事件のみで、一話押し通した方が面白かったような気がします。つまり、最初の事件のトリックが途中で、マープルによってほのめかされてしまい、謎解き(ハウダニット・フーダニット)の面白味が半減してしまったということです。


No.419 6点 スカイジャック
トニー・ケンリック
(2013/05/06 22:25登録)
360人乗りジャンボ機の消失の謎(トリック)、ならびに主人公・弁護士と元妻謙秘書のやり取りは楽しめました。


No.418 5点 試行錯誤
アントニイ・バークリー
(2013/05/03 20:09登録)
(東西ミステリーベスト31位)ミステリーとしては、倒叙形式ですが、2か所の描写(伏線?)で結末が見えてしまい、興味半減となってしまいました。後は、裁判で、明確な証拠がない中で、如何に有罪になるかということになるのですが、結局、根拠のない状態で判決が出てしまい、これまたすっきりしません。裁判や証拠に対する批判的な小説ならば、陪審員の描写が必要だと思うのですが、それもないし、また、ミステリーであれば、探偵役の行為に問題点が2つもあり???。アンチミステリーの立場で描かれた一風変わった男のユーモア・心理小説といった感じですかね。


No.417 4点 顔のない女
高木彬光
(2013/04/28 16:50登録)
(タイトル・女23)大前田英策(大前田英五郎五代目)と川島竜子の探偵コンビによる短編集。昭和30年代の任侠もののようで、謎解きというより、どちらかというとハードボイルドタッチの作品でした。

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