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ミステリの祭典

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脱サラリーマン殺人事件

作家 藤村正太
出版日1978年12月
平均点5.33点
書評数3人

No.3 5点 nukkam
(2023/10/01 05:55登録)
(ネタバレなしです) 1978年発表の社会派推理小説です。作中で「現代は"脱"の時代だと学者やマスコミがさわいでいる」と述べられていますが、脱サラリーマンだけでなく脱家庭、脱都会、脱日本など様々な「脱***」が見え隠れしています。タイトルからは想像できませんがトラベルミステリー要素が濃いのも作品個性です。アリバイ崩しがメインになる謎解きは本格派推理小説風で、あともう少しでアリバイが崩せないのですがそのもう少しに大掛かりなトリックが使われていたのに驚きました。1990年代の巨匠作家の作品アイデアを先取りしていたのですね。

No.2 5点 蟷螂の斧
(2013/06/15 11:04登録)
松本清張氏の作品・作風を彷彿させるような展開でした。2つのアリバイ崩しがメインとなっています。本書をもっと前に読んでいれば、評価はアップしていたと思います。同様なネタを扱っている場合、後発の作品であっても、先に読んだ方がどうしても印象に残ってしまいますね。そこが評価の難しいところです。まあ、本作が、先駆的な作品であれば、もっと高評価を付けたいという感じを持ちました。

No.1 6点 kanamori
(2010/04/19 20:52登録)
サラリーマンの出世競争の屈折をテーマにした社会派推理小説ですが、そんなテーマはどうでもよくて、奇抜なアリバイトリックを楽しむミステリです。
2番目のアリバイトリックが面白かった。こんな設定です。
北米大陸の氷河地帯での殺害事件で、被害者が持っていた写真に写った服装や景色から、被害者が冬頃まで生存していたことが確認できるが、容疑者は夏過ぎに一度渡米したきりで被害者と接蝕する機会がなかった。
冷凍死体ということで死亡時期が特定できないのがミソ。移動手段や写真の工作ではない予想外の仕掛けでした。
のちに、島荘と綾辻が同じネタを使っていますが、2冊とも同じ年に出版されて唖然としたことを覚えています。

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