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ミステリの祭典

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蟷螂の斧さんの登録情報
平均点:6.10点 書評数:1690件

プロフィール| 書評

No.1630 6点 悪なき殺人
コラン・ニエル
(2024/04/20 15:07登録)
題名は大事だなと思った作品。「悪なき殺人」とはいったいどういう殺人なのか?と思いながらの読書。しかし、結果は悪意はあった。原題は邦訳すれば「動物は知っている」らしい。これもちょっと意味不明(苦笑)。内容は5人の視点が描かれ、徐々に各人の繋がりや伏線が回収されていくという形式。それは楽しめた。ただし、ラストの一行はどうなんだろう?。あまり感心しない。サイコ系ならありかもと思うが・・・。


No.1629 6点 ナポレオンの剃刀の冒険
エラリイ・クイーン
(2024/04/14 18:07登録)
①ナポレオンの剃刀(1939) 6点 列車内で宝石泥棒が殺害された。凶器はナポレオンが使用したという剃刀(贋作)。泥棒が持っているはずの宝石がなくなっていた・・・剃刀の持ち主は大学教授だが
②〈暗雲〉号(1940) 4点 遺言を書き変えるため、口述で録音中に銃殺された。被害者の資産はすべて宝石。録音の中で宝石(ジュエル)!と叫んでいた・・・ダイイングメッセージ
③悪を呼ぶ少年(1939) 4点 ウサギ肉のシチューを食べた叔母が死亡。叔母自身が作ったシチューに砒素が入っていた・・・そんな馬鹿な(化学的根拠)
④ショート氏とロング氏(1943) 5点 詐欺師の小男が自宅の中に入った。警視が踏み込むが、中には大男の使用人だけであった。小男はどこに隠れたのか?・・・冷蔵庫?(笑)
⑤呪われた洞窟(1939) 9点 洞窟内での殺人。入り口には被害者の足跡のみ・・・このトリックの嚆矢?と思われ高評価。犯人特定のロジックも秀逸
⑥殺された蛾(1945) 7点 宿泊用キャビンの中でガス中毒死。蛾が5匹死んでいた。その様子を見て・・・蛾の習性
⑦ブラック・シークレット(1939) 6点 古書店での盗難、贋作、殺人事件、ダイイングメッセージ(ブラック氏の秘密)・・・それぞれの犯人は?
⑧三人マクリンの事件 4点 マクリン家の三人を強請った女優が殺害された。現場には右袖が濡れているコートがあった・・・5分でエラリーが解決した問題(当時の車を知らないと解けない)


No.1628 8点 スターヴェルの悲劇
F・W・クロフツ
(2024/04/06 10:32登録)
放火、窃盗、殺人、死体消失など緻密に計算された犯罪を、フレンチ警部が地道な捜査と推理によって暴いてゆく。端から犯人を特定しての読書。こんな読み方は、ほとんどしませんがピッタンコでした(笑)。すると、作者が如何にミスリードを仕掛けているかがよくわかりました。なお、本邦作品であれば、大幅な減点対象となるアンフェアな記述がありました。しかし、翻訳ものなので、誤訳かも???。なので許容するしかないか(苦笑)。これを書いちゃあ絶対駄目でしょうというレベルです。また、巻末のミステリ談義で「フレンチ警部最大の事件」の犯人がネタバレされていました。読もうかなと思っていた作品なのででガックリ。


No.1627 6点 しおかぜ市一家殺害事件あるいは迷宮牢の殺人
早坂吝
(2024/03/30 14:39登録)
クローズド・サークルの脱出となると、どうしても「インシテミル」を想起します。あの緊迫感がなんとも言えないのですが、本作はラノベチックでしたね。最近は「どんでん返し」の上手い作家さんが多く出てきており、よほどのことでないと驚かなくなってしまった(苦笑)。           
なお、迷宮牢の殺人1にある「彼の」は「彼女の」のミスだと思うのですが・・・


No.1626 7点 出版禁止 いやしの村滞在記
長江俊和
(2024/03/26 10:57登録)
ホラーサスペンスものと思いながらの読書。よって流し読み。その結果の評価は5点程度。よくわからない点が多い作品との印象です。そこで、ネタバレサイトで調べてみました。なんと、ビックリ!!。物語全体の意味が全く違っていました。私のような凡人が悪いのか?(笑)。うーん、負け惜しみとなるかもしれませんが、例えば探偵役が真相を暴くという形であれば、作者の企みが読者に届き、かなりのカタルシスを得ることができたのではないかと思います。8点、9点献上してもいいと思いました。





(ネタバレ~本命は叙述部分ではなく、ルポライターが高校生の時、彼女からプレゼントされた「幸せを呼ぶ丸い貝」)


No.1625 7点 松本清張自選傑作短篇集
松本清張
(2024/03/22 21:37登録)
1976年の短篇集
①張り込み 7点  「張込み」にて書評済
②顔 7点 「張込み」にて書評済 
③白い闇 6点 夫が東北へ出張したまま帰宅しない。東北に愛人がいることがわかるが、その愛人は自殺。心中か?。妻は夫の従弟と十和田湖へ・・・妻の従弟への心理
④危険な斜面 6点 自社の会長の愛人は10年前に付き合った事のある女性であった。男は出世のため、彼女を利用しようと・・・彼女には若いツバメがいた
⑤天城越え 9点 「黒い画集」にて書評済
⑥潜在光景 8点 「影の車」にて書評済
⑦陸行水行 5点 「陸行水行」にて書評済
⑧たづたづし 6点 不倫相手の夫が刑務所に入っていることを知る。一週間後に出所するという。保身のため愛人を殺したが・・・死体が発見されない
⑨内なる線影 6点 老齢の画家と若妻。画家はノイローゼ気味で気分転換のため保養地へ。若妻にはヒッピー青年の影がつきまとう。画家が溺死(自殺?)ヒッピー青年は窒息死。絞殺ではない・・・化学的方法                                   


No.1624 9点 黒革の手帖
松本清張
(2024/03/14 11:27登録)
主人公の元子(元銀行員)、波子(ホステス)、市子(看護婦長)、すみ江(料亭の仲居)の女性陣がしたたかですね。何回もTVドラマ化されていますが、結末はそれぞれ違うようです。記憶にある女優さんは、米倉涼子さん、武井咲さん。かすかに大谷直子さん。長編(上・下)なので、中々手が出なかったのですが、読んで正解。○○○はサイコ系かも?!


No.1623 6点 羅針盤の殺意 天久鷹央の推理カルテ
知念実希人
(2024/03/06 20:17登録)
①禁断の果実 6点 イケメン高校生の翔馬。特定の時期だけ肝炎を引き起こし入院を繰り返していた。ベッドで様子見であったが、病状が急変。病室から見舞いの男子高校生が出てきた。しかし翔馬はそんなことはないと否定・・・意外な原因
②七色の猫 5点 いろいろな色に染められた大量の猫が発見された。NPO法人が洗浄してくれていた。法人の職員には猫のひっかき傷があり、みみずばれとなっていた。滅多にない病気かも・・・NPOのお仕事
③潰された挑戦状 7点 女性医院長が書庫室で脳梗塞で死亡した。彼女は余命1年であったが、その前に死んだら殺されたということと言っていた。準密室であり、殺された様子はなかった・・・謎を解けるかどうかの師弟の勝負


No.1622 6点 名探偵のいけにえ 人民教会殺人事件
白井智之
(2024/02/29 17:58登録)
多重解決にそもそも興味がないというより、つまらない仮説ばかりというイメージを持っています。過去、多重解決で面白かった作品は2、3冊しかありません。本作は、あまりにも高評価なので、手に取った次第ですが・・・。成程というような仮説は、やはりありませんでしたし、また犯人は分りやすい?(苦笑)。題名に関する点が良かったので、この点数で。


No.1621 5点 夏への扉
ロバート・A・ハインライン
(2024/02/23 14:09登録)
SFの名作(1957年)とありますが、SFと捉えるとタイムパラドックスはどうなのよ?と突っ込みどころあり(笑)。よって、ファンタジーとして読むべきでしょう。でも主人公は、どうもロリコンぽくって・・・(苦笑)。


No.1620 7点 かがみの孤城
辻村深月
(2024/02/17 19:49登録)
先日、TV放映されました。映画、小説、それぞれ利点はあるけれど、どうしても小説に軍配を上げざるを得ないかな・・・と思う次第。素直に感動。


No.1619 6点 死者の入江
カトリーヌ・アルレー
(2024/02/17 19:48登録)
夫が出張の間、精神に問題のある人妻に起こる怪奇現象。幻想なのか、現実なのか?。精神を病んだ理由と、夫が帰宅後の会話が読みどころ。


No.1618 5点 大いなる幻影
カトリーヌ・アルレー
(2024/02/17 19:46登録)
遺産相続にかかるドタバタ劇。ラストの展開は、登場人物にとっては腑に落ちないはず。当然、読者も・・・(苦笑)


No.1617 7点 伝染る恐怖 感染ミステリー傑作選
アンソロジー(国内編集者)
(2024/02/05 16:42登録)
①赤死病の仮面(エドガー・アラン・ポー) 7点 ポオ小説全集3にて書評済
②瀕死の探偵(アーサー・コナン・ドイル) 7点 伝染病のクーリー病にかかったホームズ。医者ではなく、その病気に詳しいスミスという人物を連れて来てくれという・・・既に同病で若者が亡くなっている
③悪疫の伝播者(オースティン・フリーマン) 4点 老猫院の寄付箱に入っていたのはガラス管。その中身は蚤とシラミ・・・名探偵ゾーンダイクが科学捜査で推理
④空室(マーキー) 8点 パリ博覧会を見学に来た母娘。ホテルは別室となった。娘が母の部屋を尋ねるともぬけの殻。タクシー運転手、赤帽、支配人、ベルボーイ、給仕係の誰もが母など見ていないという・・・娘は療養で入院
⑤南神威島(西村京太郎) 7点 マイ・ベスト・ミステリーⅣ 日本推理作家協会編にて書評済
⑥疫病船(皆川博子) 8点 母親を殺そうとした娘は理由も言わずに自殺・・・理由は父の復員にあったようだ
⑦叫び(梓崎 優) 7点 アマゾンの奥地の部落でエボラが発生。生き残りは10名に満たない。そんな中、住民4人が殺された・・・いったい何故?
⑧二週間後の未来(水生大海) 5点 自分を弄んだ上司を殺害しようと毒薬を手に入れた。コロナ禍、リモート会議でのアリバイを考えるが・・・SNSストーカー登場


No.1616 7点 死の匂い
カトリーヌ・アルレー
(2024/02/01 07:13登録)
ウィキによれば、アルレー氏は1922年生まれと判明したとあります。よって31才でのデビュー作となりますね。登場人物の3人は、皆、一途な人間で善人なはずなのですが、環境によって悪人になってしまうということなんでしょう。夫婦の心理的葛藤が中心に描かれていますが、私的には看護婦が一番怖かった。その行為の一文が非常に印象に残っています。


No.1615 4点 アポロの彼方
バリー・N・マルツバーグ
(2024/01/28 20:03登録)
~西暦1981年、第一次金星探検隊が帰還した。二人乗りのカプセルから現れたのはエヴァンズ一人。船長の姿は影も形もない。船長の身に何が起きたのか?事故死、自殺、他殺?宇宙局上層部は事情聴取のため、エヴァンズを施設に監禁。過去に火星探検計画が失敗しており、宇宙計画の生存を賭けて執拗なまでの尋問をエヴァンズに行うことになった。~
第一回ジョン・W・キャンベル記念賞(SF)に輝いた傑作とのことですが、本邦では文庫化もされず、あまり読まれていないようです。SFというより文学寄りで、人間の狂気を描いた作品ですね。エヴァンズの独白が中心ですが、内容が転々として、金星人まで登場します(笑)。太陽系小史が挿入されていますが、「星を継ぐもの」はこれをヒントにしたのかも?


No.1614 7点 白夜行
東野圭吾
(2024/01/18 15:54登録)
全体の流れが悪いと感じました。その原因は連作短編を長篇に書き直したことにあるようです。事前の寄せ集めの情報から、二人の逃避行の物語と勝手にイメージしていましたが全然違いましたね(笑)。余計なエピソードが多く全体がぼやけてしまった印象です。もっと短ければ9点献上できたと思います。二人の心理描写を描かないことが特徴なのかな?。刑事がいい味を出していました。


No.1613 6点 オセロー
ウィリアム・シェイクスピア
(2023/12/31 15:42登録)
クリスティ氏の「カーテン」でポアロがヘイスティングに残したヒントはシェイクスピアの「オセロ」でした。そこで「新訳オセロー」(角川文庫)を拝読。本書もそうですが他書も動機から結末まで裏表紙に書いてある。ミステリー読みから見ると信じられない!!!。一般書を読む人はこれでも平気なんだろうか?変なところが気になった(笑)。オセローはデズデモーナに魔法をかけて結婚したが、オセローはイアーゴ―に魔法をかけられてしまったということでしょうか。イアーゴ―は性悪でエロ話を平気でする男です。当時(400年前)の貞操観念はどうだったんだろう?。オセローはムーア人(黒人)で特別だったのだろうか?。結構、この点がポイントになっているように思いました。解説によれば「寝取られ幻想」という一種の病のようです。当時は男性性が求められており、妻を完全に従属させなければならない。しかし、果たしてどうなのか?という不安感を男は持っていたようです。貞操観念より男の立場、面子ということになるのでしょうか。あと、驚いたのは、本作には種本(ジラルディ・チンティオ「百話集」(1565年))があるということでした。


No.1612 6点 交換殺人
フレドリック・ブラウン
(2023/12/28 21:12登録)
主人公は金欠だった。だが仕事が入り出し、殺人まで行わなくてもいいかな?と思うようになる・・・。結末の予想は相棒の裏切りであるが、さて・・・。この作品はやはり結末で評価が分かれてしまう。私は肯定派ですね。その先が気になります(笑)。


No.1611 8点 ダイヤルMを廻せ!
フレデリック・ノット
(2023/12/24 13:55登録)
映画の原作を読むマイシリーズ。1954年ヒッチコック監督により映画化、1998年、マイケル・ダグラス氏主演でリメイクされています。「暗くなるまで待って」(1967年)オードリー・ヘップバーンさん主演も著者の作品(戯曲)ですが翻訳はされていません。残念。さて、本作は・・・著者によれば「計画を練るときには完璧であっても、実際に行ってみると、思わぬトラブルがあり、・・・」の如く、犯人側にとって大トラブル発生。凶器に係る伏線が気に入っています。倒叙形式の傑作。

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