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ミステリの祭典

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交換殺人

作家 フレドリック・ブラウン
出版日1963年01月
平均点5.25点
書評数4人

No.4 6点 蟷螂の斧
(2023/12/28 21:12登録)
主人公は金欠だった。だが仕事が入り出し、殺人まで行わなくてもいいかな?と思うようになる・・・。結末の予想は相棒の裏切りであるが、さて・・・。この作品はやはり結末で評価が分かれてしまう。私は肯定派ですね。その先が気になります(笑)。

No.3 6点 人並由真
(2022/05/25 14:58登録)
(ネタバレなし)
「おれ」こと、テレビの脇役俳優兼タレントである27歳の独身男ヴィリー・グリフは、少し年上の美貌の人妻ドリス・シートンと不倫関係にあった。だがその情事がドリスの夫でハゲデブの四十男ジョンに露見。シート・カバーの製造販売業界で成功し、テレビのCM広告主でもあるジョンはグリフに対し、ドリスとの仲を清算すれば穏便に済ますが、これ以上関係を続けるなら、テレビ界に圧力をかけてグリフの仕事を干すと言ってきた。グリフはドリスとジョンの財産を手に入れるため、完全犯罪での殺人を考えるが。

 1961年のアメリカ作品。
 題名で大ネタは一目瞭然だが、『見知らぬ乗客』『血ぬられた報酬』に続く、たぶん欧米ミステリ史上3冊目の、クライムサスペンス形式での交換殺人もの。
 とはいえ物語(ページ数そのものはそんなに長くない)のかなりあとあと、中盤に至るまで、殺人計画をあれこれ考えたジョンが、どういう経緯で誰を交換殺人のパートナーに選ぶのかはっきりせず、その辺をアレコレ考えるのはなかなか楽しかった(カンのいい人は、いや、相棒はこの人物しかないだろ、とわかってしまうかもしれないが)。

 売れない脇役俳優がビンボーな倹約生活ながら「動物園(ズー)」とあだ名をつけた下宿アパートの周辺で、周囲の若い連中などとフリーセックスめいた行為を楽しんでいる描写にも妙な活気があり、ブラウン先生、ここではそういうものも書きたかったんだね、という感じ(正直、日本に翻訳紹介された時点では、結構なエロミステリだったのではないかと思える叙述も散在する)。

 後半、グリフとその「相棒」が次第に悪の道に足を踏み込み、もう後戻りできない状況になってから独特の加速感が生じるが、終盤の展開は……うん、確かに斎藤警部さんのおっしゃるようにラストの切れ味はスパっとは行ってませんね(汗)。ごもっとも。
 ただまあ、評者的にはブラウンの用意しようとしたオチの方向には了解できる面もあるので、大枠としてはコレで良かったと思わないでもない。主人公グリフの行動などを含めて、もうちょっとツメようもあるのでは? という気もするが。

 大昔から「短編ネタの長編」とか、一方で「傑作」だとか、実は意外に読んだ人の評価や感想が割れている印象もある作品。
 評者としては、佳作ぐらいに認定。

【2022年6月2日】
 本文を一部、改訂しました。

No.2 4点 斎藤警部
(2015/07/09 13:03登録)
(ネタバレ気味)

見え見えでもいいからドンデン返しよ来てくれ! と願いつつ読んだんだが。。 
ドタバタするばかりでカタルシスの無いラストでした。 ブラウン先生もこんな”落ちる”本書いてる時間あったらSF短篇かショートショートの名作を一篇でも多く、世に放り投げて欲しかった。。 

とは言えご本人が好きだったんだろうなあ、こういうの書くの。

No.1 5点 こう
(2010/07/25 15:14登録)
 いわゆる犯罪小説スタイルで交換殺人の試みが描かれています。このスタイルではどうやって2人の実行犯が知りあうか、後の実行犯がしっかり約束を守れるか、事件の結末は、といった点の処理に興味がわきますがこの作品の場合元々知り合いで事件後も会ってたりしますしあまり納得のいくラストでもありませんでした。
 何作か交換殺人を扱った作品はありますがいずれも犯罪小説スタイルではあまり楽しめた覚えがありません。
 ただ短くてさっと読める点は良かったです。

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