夏への扉 |
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作家 | ロバート・A・ハインライン |
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出版日 | 1963年01月 |
平均点 | 7.30点 |
書評数 | 10人 |
No.10 | 5点 | 蟷螂の斧 | |
(2024/02/23 14:09登録) SFの名作(1957年)とありますが、SFと捉えるとタイムパラドックスはどうなのよ?と突っ込みどころあり(笑)。よって、ファンタジーとして読むべきでしょう。でも主人公は、どうもロリコンぽくって・・・(苦笑)。 |
No.9 | 4点 | レッドキング | |
(2022/11/28 22:50登録) SFをミステリサイトで採点できるてのよいなあ。で、これも。 タイムワープで未来へ行くことは、リロン的には可能・・時間は速さに反比例(時間=距離/速度)するから、自分だけ「世界」の100倍の速さで「運動!? (';')」すれば、自分だけ時間進行が100倍遅延し、自分の1年後には「世界」は100年後・・ま、浦島太郎やね・・が、過去スリップてのはァ・・「世界」のマイナスX倍の速さでウンタラなんて・・ありか? まあ、固いことは言わずファンタジーてことで。 |
No.8 | 8点 | ROM大臣 | |
(2021/10/05 14:38登録) SF小説に馴染みのない人にとっては、冷凍睡眠に時間旅行というキーワードだけで、尻込みしてしまうのではないだろうか。でもこの作品は、巧妙なSFの舞台装置以上に、主人公ダンの生き方が魅力的なので大丈夫。 親友と恋人に裏切られ、未来世界に放り出されたダン。新しい仕事を見つけ、進歩した技術に心踊らされ、復讐に心を割く暇もありません。手酷く騙されてもまた人を信頼し、身ひとつで放り出されても好奇心を持って順応する。ダンの前向きさと、作中にあふれる新しい時代への希望が爽やかな余韻を残す。 |
No.7 | 8点 | クリスティ再読 | |
(2019/08/14 19:05登録) 本サイトで大人気のSF、というと「星を継ぐもの」はまあ例外、そもそもSFミステリな「鋼鉄都市」、で本作はというと... 何というのかな、とっても日本人好みなほっこりした語り口で安定の人気を誇っている。評者とかは他人事ながらほっとする。 「ドアというドアを試せば、必ずそのひとつは夏に通じるという確信を捨てない」と、クラシックSFらしい甘やかなポジティブさが漂う。こんな情緒性が日本人に、ウケるんだよなあ。プロットにスケール感はないけども、タイムトラベルものなので、入れ子になったかたちで込み入っているのが、ややミステリっぽいと思ってもいいだろう。で猫と少女とハッピーエンド(苦笑)。あまり評者が茶々入れるのも何である。最初の強制コールドスリープのときに猫を置いてきぼりな件が、うまく解決されるのが情緒的にもナイスなあたりだしね。 作中現在(1970年)も作中未来(2000年)も軽く超えちゃった今読んで、50年代の作中に予見されたガジェットが、今現在結構それらしく実現しているのもちょいとした読みどころだ。文化女中器はルンバっぽいし、製図機ダンはCADソフトみたいなものだし、トーゼン記憶チューブは半導体メモリみたいだし...けどコールドスリープが実現している反面、音声認識がやたらと難しいものとして扱われているあたりに、技術の進歩に対する認識のムラみたいなものが期せずして現れてくるあたりも、妙に面白い。ここらは作者の意図しない読み方になるんだろけどね... |
No.6 | 9点 | ボンボン | |
(2019/06/16 23:40登録) 文化女中器(ハイヤードガール)や万能(フレキシブル)フランクが心をとらえて離さない。人型ロボットにはしない「家電」な感じが現実的でいい。 文化包丁やら文化シャッターやら万能のこぎりとか、便利でモダンで新式なニュアンスが今の若い人にはどんどんわからなくなってくるだろうが、この時代感、書かれた(訳された)当時の表現を今後も残していただきたい。どうしたってもう、「30年(+10数年)後の未来」だった2001年が、すでに遠い過去になっているのだから、いいじゃないか。 ボロボロのどん底から、頭を使って懸命に働いて人生を切り開いていく爽快感。 タイムパラドックスなどふっとばし、女の子との見方によると微妙な関係も細かいことを言わず素直にロマンティック!と受け止めれば、とにかく軽やかな展開と緻密なサスペンスにメロメロになること請け合い。 「そして未来は、いずれにしろ過去にまさる。」と力強く言える確信が気持ちいい。 |
No.5 | 5点 | imnottheonlyone | |
(2019/05/18 10:46登録) 前半はいいけど終盤、タイムスリップが成功しちゃうあたりがヤだ。このへんの甘さがいかにもジュヴナイル。 |
No.4 | 10点 | ことは | |
(2019/01/31 20:58登録) 高2の夏休みに読みました。 読み始めたのは、午後4時位。読み終わったのは、午後6時半くらい。 夏の夕暮れで、いつもと違う世界にいる感じがして……。(あれ? 世界はこんな感じだったっけ?) それは多分、深く深く作品世界に入っていたため、感覚器官がおかしくなっていたからでしょう。 思い出の作品なので、10点。 また、訳がいいんだよね。 「かくいう僕も、夏への扉を探していた」なんて……。 「かくいう僕も」というリズム感は、福島正実だなぁと思う。福島正実の口調は大好き。多分、福島正実の訳で評価は3割増。 |
No.3 | 8点 | 弾十六 | |
(2018/11/24 18:29登録) 夏、といえばこの作品なのですが、ミステリ興味あったっけ?と思い返すと全く内容を覚えていない! ことにたった今気づきました。 小尾さんが改訳、というのも初めて知りました。 早速、アマゾンで新訳版を注文です。届いたら読みます。 手始めに記憶の印象だけでこの評価です。(悪徳なんか…のユーニスは強烈に覚えてるのに…) |
No.2 | 8点 | 斎藤警部 | |
(2018/06/07 12:20登録) ラストに圧倒的キラキラ感がふりそそぐSFクライム。 但し空想科学の力を借りるのは悪事側でなく、主人公が果たす復讐と の部分。 友情に恵まれなかったウォズとジョブズのような二人が、二人の女性に翻弄される物語、と意地悪く集約してみたくもなる。悪役をブッ飛ばす爽快感、良い意味で善悪割り切り過ぎの感じ、良い意味でリアリティ、素晴らしき技術者魂、タフガイの猫、人によっては◯◯◯かも知れない恋愛要素、事のきっかけは冷凍保存(コールド・スリープ)。。。。。。。。そして!!!! 舞台は未来と大未来、まるで過去に大過去を物語る半七のようだ、と思いきや、あの点が決定的に違う、というか逆だ。(なお前述の未来も大未来も今(2018-06)や過去。本書はロックンロールの爆発する1950年代中盤の作で、当時の未来(1970)を物語の現在地に、大未来(2000)を未来地にそれぞれ設定)。。更に痛気持ちいいのが、半七とは逆に、時を経た読者にとってその輝きを最低限の勇気ある見切りだけ失うべく、作者も翻訳者も使命のトルネード爆心地にて弄したであろう、文字通りに文字通り今在る言葉の原資だけでなんとか紡ぎ切ったであろう時の流れへの対抗策と、その事自体へ献呈するユーモア、その象徴的集約モーメントにさえ与えんとする、、う~~ん、我ながら何言ってんだかさっぱり分からん。 そこで水爆だぜ。。。 もしも金(gold)の資産価値が相対暴落していたら、、この軽SOWには、軽ながら、ウー、結構やられた。 本サイトにて現状、評の数が極端に少ないのは、本作にミステリ寄りのイメージが希薄なせいかも知れないが、実際はかなり濃密なミステリ興味にも裏打ちされた、何気に犯罪とサスペンスにまみれたSFファンタジーです。 素敵な恋を呼び込みたいのなら、読んでみる方がいい。 「何度人に騙され、痛い目をみようとも、結局は人間を信用しなければ何も出来ないのではないか。」 ↑ このヒューマニティ溢れる経済学的物言い、最高です。 あれえ、猫のピートは。。。。。 ’夏’の象徴ないし意味するところとは、いったい。。 山下達郎の同名曲(作詞は吉田美奈子)、ミステリ神経敏感な人にとっては歌詞が何気に本作の核心ネタバレを掠る感じになっておりますので、ご注意を。 逆に言うと、本作を読んだ後にこの曲を聴けばより味わい深い、かも。 |
No.1 | 8点 | E-BANKER | |
(2013/09/15 21:30登録) 1957年発表。SFの大家である作者の代表作と言ってもいい作品。 原題“The Door into Summer”。早川版、福島正実氏の訳は名訳と名高い(そうだ)。 ~ぼくの飼っている猫のピートは、冬になると決まって夏への扉を探し始める。家にあるいくつものドアのどれかひとつが、夏に通じていると固く信じているのだ。1970年12月3日、かくいうぼくも夏への扉を探していた。最愛の恋人に裏切られ、生命から二番目に大切な発明まで騙し取られたぼくの心は、12月の空同様に凍てついていたのだ。そんなとき、『冷凍睡眠保険』のネオンサインに引き寄せられて・・・。永遠の名作!~ さすが、名作! そう唸らされた。 何よりも作品の世界観というか、雰囲気が何ともいいのだ。 読み進めていくうちに、読者は主人公であるダニイの心情とシンクロし、目の前に起こる出来事のひとつひとつに一喜一憂することになる。 序盤の山となる「ある事件」の発生後、ダニイは冷凍睡眠により30年の眠りにつく。そして、30年後に目覚めたときから、新たな予想外の物語が始まるのだ。 そして、終盤には更なるタイムトラベルと粋なラストが待ち構える・・・ 読み終えた後、何とも言えない満足感を味わってしまった。 本作で扱われているSFとしてのアイデアは、①冷凍睡眠②タイムトラベル③ロボット、の3つ。 ③はアシモフほどの拘りは窺えないが、①と②の取り上げ方は面白い。 まぁタイムトラベルについては単純なプロットで終始していて、タイム・パラドックス的な捻りが加えられているわけではないのだけど、それはそれとしてシンプルな面白さがあるのではないかと思う。 ファンタジックなSFが好みという方にはうってつけの作品だろうし、一度は手に取る価値のある作品という評価。 個人的にはそれほどSF好きというわけではないけれど、これくらいの評点はつけたい。 (冷凍睡眠の技術ってそろそろ実用化されるのだろうか?) |