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ミステリの祭典

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黒革の手帖

作家 松本清張
出版日1980年06月
平均点9.00点
書評数3人

No.3 9点 パメル
(2026/03/09 09:02登録)
地味で目立たない銀行員だった原口元子が、横領をきっかけに銀座の夜の世界で、のし上がろうとする姿を描いたピカレスクロマン。
元子は、銀行員時代に記録していた裏口座や脱税の証拠を記録した黒革の手帖を武器に、不正している有力者たちを恐喝し勢力を広げていく。しかし、彼女が操っていたはずの男たちも策略を巡らせており、裏切りや罠によって元子は次第に追い詰められ、巨大な悪に飲み込まれていく。
元子は決して善人ではないが、後ろ楯も無くたった一人で男たちの権力社会に立ち向かっていく姿にかっこ良さを感じるし、悪党たちを翻弄するプロセスには圧倒的なカタルシスがある。また作者らしく、当時の銀行の仕組みや医師の脱税、銀座のクラブ経営の内幕が非常にリアルに描かれており、物語に深みと説得力を与えている。この成功と破滅の両方を感じさせ、緊張感が最後まで続き惹きつけられる。さらにラスト1ページで戦慄を覚えることになるという心憎い締め方。作者の最高傑作だと思う。

No.2 9点 蟷螂の斧
(2024/03/14 11:27登録)
主人公の元子(元銀行員)、波子(ホステス)、市子(看護婦長)、すみ江(料亭の仲居)の女性陣がしたたかですね。何回もTVドラマ化されていますが、結末はそれぞれ違うようです。記憶にある女優さんは、米倉涼子さん、武井咲さん。かすかに大谷直子さん。長編(上・下)なので、中々手が出なかったのですが、読んで正解。○○○はサイコ系かも?!

No.1 9点 斎藤警部
(2020/01/04 23:07登録)
「おぼえておれ、この性悪女! 人の恨みがどんなものか」   

ここまで引き裂き尽くしたらもはやイヤミスではない。 本格のホの字も見せないくせに、この大きく間をとった謎ふりまきの手早さ。 手探りの 憶測促す 悪い奴.。。。 灼け付くストーリーで最高に読ませる、これぞ悪女クライムの絶唱。

“世の中がこんなに面白いものとは思わなかった。なんと変化に富んであることか”

いんやあー、嫉妬なる強くも粗いもん相手に、いや、それに保身なる確固たる細則あるもん引き連れてだけど、緻密にして大胆な計算だねえー   「あなたには、女のほんとうの気持ちがわかってないわ」   オネエ獣医の魅力が後に行くほど伸びてくる。篠井英介が浮かんでしかたがない。  “通りすがりの人が、病人かと思ってふり返って見る” 

まるで「マル鷹」最終章のように畳み掛ける、冷んやり気持ちいい急所突きっ放しの容赦瞬間唾棄、最高過ぎて唾も呑み込めねえ。。。。  結局、善意の”破壊者”一人に最後まで踊らされた。。本当の暗闇はそこにありそうだ。。。通俗ながらこりゃ強烈!! オチも凄まじい!!(本気で、笑うしかない?)   それにしても「ヴァンス」がこれだけ頻繁に出てくる話もヴァン・ダイン以来だ。   

さて、現新潮文庫下巻裏表紙のネタバラシは獄門級の酷さです。上巻はまだストーリーレベルのネタバレでギリ許せる人もいるかも知れないが、下巻は完全にミステリレベルでやっちゃってる。。。。。。神経疑います。まじめにやりなさい。

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