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ミステリの祭典

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take5さんの登録情報
平均点:6.59点 書評数:366件

プロフィール| 書評

No.366 7点 家族シアター
辻村深月
(2025/07/20 13:47登録)
家族にまつわる短編集全7編
琴線に触れた順番に、
「1992年の秋空」
「孫と誕生会」
「タマシイム・マシンの永遠」
それぞれの作品が、
姉妹
祖父と孫
夫婦幼子父母祖父母
それぞれの葛藤を鮮やかに
ラスト爽やかに描いていて
改めて辻村深月さんは
素敵な作品を書くなと思います。
余談ですが、
御本人の藤子・F・不二雄愛を
最後の作品の登場人物を通して
強く感じます。分かるな〜


No.365 8点 いつか月夜
寺地はるな
(2025/07/10 03:21登録)
寺地はるなさんが好きです。
寺地さんの描く人間像には、
読者が自身の中にあるかつて
もっていたもの、忘れていた
もの、そして今気付かされる
まの、それらが詰まっていて
突きつけられるのですが最後
優しさも感じるのです。救い
ではない優しさ。それは共に
歩いた夜の散歩仲間がやがて
一人で歩き出すための力の素
ということです。名作です。


No.364 7点 八秒で跳べ
坪田侑也
(2025/07/06 18:44登録)
景はなぜバレーボールに向き合うのか?
真島さんはなぜフェンスを越えるのか?
様々ななぜが絡み合い、もつれ合う中で
高校生が少しずつ意味を見出していく。
スカイエマさんの装画がぴったり合って
素敵な作品でした。真剣って良いなあ。


No.363 6点 息のかたち
いしいしんじ
(2025/07/06 12:20登録)
ひょんな事故から
人の息を見る力が
開花?した夏実の
不思議な短編3篇
時代は2020年
コロナ禍ってあれ
何だったのだろう
ミステリーですね


No.362 8点 網内人
陳浩基
(2025/07/05 09:27登録)
「自分の考えを語り、他人を理解しようと
するのは人間の性だ。だが今の人間は、自
分の話は聞いてもらいたいが相手の話に耳
を貸そうとしない。その結果、世界はどう
なった。聞くに堪えないノイズだらけじゃ
ないか。世界がさらに進歩し、人類がネッ
トをもっと有効に使うことができるように
なるには、もう少し時間がかかるだろうな」

アニエはそこで息を継ぐと、さらに続けた。

私達の社会に網の目のように張り巡らされる
ネット社会、その中で思考のバイアスを疑う
こともせずに流される私達、何方に対しても
目を見開かされる名作。胸熱要素盛り沢山で
カットバックの収束も文中の東野圭吾や文豪
のアンナ・カレーニナ、ディーバーまで登場。

ホームズとワトソンになぞらえる相性のよい
アニエとアイのコンビ、シリーズ化願います。


No.361 6点 ウォッチメイカーの罠
ジェフリー・ディーヴァー
(2025/06/30 21:15登録)
いつもながらリーダビリティは高いです
ちがうのは敵役の心理と行動がはっきり
オープンなことで、どんでん返しを損な
うもとになってしまいました。これまで
の宿敵が消えて、次作は女性Xがそのや
くをするのでしょうか。著者75歳を過
ぎ、ここからかつてのワクワクは、かな
り厳しいかなと。少し淋しく感じました


No.360 8点 赤い指
東野圭吾
(2025/06/30 09:01登録)
そういえば書評していなかったとい
う本の一つ。装幀の印象が強く残っ
ていて、2006版はレタリングも
いい感じに合っています。勿論内容
があってこそなのですが、人は人の
あたまの中は覗けないから、あなど
ったり不信感を抱いたりする、従っ
て、結果的に誘導されている。そう
いった作品の最右翼です。東野氏は
まず容疑者か白夜?いや私はこれを
すすめます。社会派として秀逸だし


No.359 6点 逆転美人
藤崎翔
(2025/06/29 16:02登録)
たくさんの方が書かれていますが
ていの良い二番煎じという反論も
よ見してわざとでしょう。ヨガ師
みたいなあの表紙の。内容はその
書物よりもトリックの必然性高く
評価できます。解答編の多弁とて
も優しいですが、本編最後の角は
先出し過ぎですね。答えにほとん
どなっています。紙媒体の矜持誇
りを逆手に取る他の作品、例えば
あの透き通った物語などもやっぱ
り賛否分かれるのでしょう。僕は
まあまあ気に入っています。なお
すマホ書評は常に縦読み対応です
なぜなら画面に入らないからです


No.358 7点 普通の子
朝比奈あすか
(2025/06/22 12:59登録)
息子はなぜ学校のベランダから飛び降りたのか?
主人公である母親美保の目を通して語られる景色
それが次第に他の情報から反転していく心理小説
自身の幼少期の思い出が絡み、結果は予想通りで
しかし誰もがどこかで身につまされるバイアス話
300ページ足らずで読後感良くないが一気読み


No.357 7点 明日の雨は。
伊岡瞬
(2025/06/15 16:26登録)
私、教育関係当事者なので細かいディテールは
おやと思うところもありますが、差し引いても
主人公の葛藤や子どもたちの心理描写は楽しめ
且つなるほどと思うところもありました。視点
それは親と子ら、同僚と主人公で多分に変わり
そこが本作をミステリーとする点でもあります。
他の方の書評から手に取った作品で、作者初読
これから機会があれば、他の作品も試します。


No.356 8点 白夜行
東野圭吾
(2025/06/10 00:16登録)
もう10年以上前に読んだのですが
しょ評を忘れていたので今更書くの
も何ですが書きます。別の挑戦込み。
この作品の胆は心理描写の関節表現
ことに二人の共依存の強さを本人達
が語らずに悟らせるところです。
ただ、最後の方に重要な台詞があっ
て、雪穂について亮司がいう台詞を
よみますと、「その後ろ姿は白い影に
みえた。彼女は一度も振返らなかった。」
だそう。これまで雪穂を照らしてきた
とう事者が死をむかえても、白い影
を失わず、他の誰か、または雪穂が
もつ地位美貌財産などで照らし暮ら
していくという比喩になっています
ろんより証拠、雪穂自身も同じ様に
いってます。 「あたしの上には太陽
なんかなかった。いつも夜。でも暗く
はなかった。太陽に代わるものがあったから。」
はい、太陽ほど明るくはないけれどと
はっきり言ってます。それであたしに
は十分だったそう。ここに男女の差
は見られますね。大変興味深いです


No.355 8点 サウスバウンド
奥田英朗
(2025/06/08 16:13登録)
作者の作品は、伊良部シリーズも好きですが、
こちらも読み応え十分で、大変満足しました。
まず主人公含む4人の家族が大変魅力的です。
途中までの破天荒で、過去の傷が癒えない感じ
それが第二部に入り、お互いが八重山の自然に
潔いほどあらわれて行く様が見事でした。他の
脇役も良い味を出したいます。本作のテーマが
政治・経済に翻弄される少数の声なき声に光を
当てる処にあるとすれば、私にはどストライク
650ページラストを飾る島の放送がググッと
心に刺さりました。全ての方にお勧めできます


No.354 4点 口に関するアンケート
背筋
(2025/06/07 12:05登録)
まずびっくりするほど小さな本
そしてとんでもなく薄い50P
複数の告白から構成される内容
最後のアンケートで作中作判明
内容に見合う費用対効果感じず
550円は質量あたり高額すぎ
印字のグラデも効果に甚だ疑問
作者名背筋は音訓どちら読み?
狙っていて最大のミステリです


No.353 7点 全員犯人、だけど被害者、しかも探偵
下村敦史
(2025/05/31 20:32登録)
多重解決ミステリーを、さらに捻った努力作。
タイトルから想像する事の一つ上を行く最後。
読む前に300ページしかなく、読み始めて、
途中だれるのですが、最後スピードが増して、
ビックリしているうちに終わりました。さらに
ここまでの評価の低さにびっくり。間違いなく
作者は頭が大変切れ、作品はまるで人民協会風
やはりこね過ぎですかね。嫌いじゃないですが。


No.352 7点 ロスト・ケア
葉真中顕
(2025/05/31 13:49登録)
葉真中顕作品の映えある一つ目
日本ミステリー大賞新人賞受賞
素晴らしい取材から、社会提言
老人介護問題を構造上の欠陥と
日本的先送り主義を突きつける
まさに思考の反転を促す作品。
ミステリー要素は人物の思考が
反転する以外は、人称のずらし
ちょっぴりしかありませんが、
しかしこれは後のBlueや鼓動に
確かに繋がる作品です。高品質。


No.351 7点 シリウスの道
藤原伊織
(2025/05/25 12:04登録)
皆様の高評価作品を読んでみました。

広告代理店に勤める主人公の辰村が、
生き馬の目を抜く世界を生きていく、
時代を感じるハードボイルド社会派。

辰村の傍の人物が、過去も現在も共に
魅力的なので一気に読めました。最後
辰村がシリウスをあえて見上げない処
そこが大変ハードボイルドでよいです。


No.350 7点 法廷占拠 爆弾2
呉勝浩
(2025/05/19 10:33登録)
前作の評価と今作の評価で、
世間は今作、私は前作です。

相変わらずタゴサクの心理を
会話で描写する作者の力量!
ページの費用対効果も高く、
名作だと思います。ただ終盤
実は実はと少し慌ただしく、
前作同様+60ページあれば
説得力が増したかな←結果論

次回のタゴサクに期待します。


No.349 6点 黒石 新宿鮫Ⅻ
大沢在昌
(2025/05/17 11:38登録)
現在発行されている作品のラストまで
ようやくたどり着きました。第12弾

鮫島の相棒と上司の立ち位置が定まり
これからも続きそうではありますが、
やはり第1弾からの流れを振り返ると
ピークは去ったと言わざるを得ない…
犯人側のありきたりなカットバック…
ささるのは城東地区の描写、私見です。

次回作でありそうを、想像してみます。
ここでもう一段階上げるなら、例えば
阿坂の過去と絡めた事件、最後の手段
鮫島の抱く秘密を隠しきれなくなって
内部対立を起こすとか、藪がどうにか
なってしまうか、その辺でしょうかね。

もう一山盛り上げてほしいのですが……


No.348 7点 暗約領域 新宿鮫XI
大沢在昌
(2025/05/11 12:23登録)
10弾⇒5弾⇒本作第11弾の順で読みました。
桃井亡き後の作品、実に8年ぶりだそうですが、
描写がようやく令和に近づきました。民泊問題や
北朝鮮との拉致を巡る政治交渉が事件の元です。

シリーズで初めて、700ページの中盤で長いなと
感じるところがありました。会話の遣り取りから
物語は進みますがそこがくどい所がありました。

また、これまでの作品同様に、終わり方によって
次回以降を予見するなら、仙田に変わる相手誕生
(はっきりした)感じです。さあ第12弾です。


No.347 7点 炎蛹 新宿鮫V
大沢在昌
(2025/05/10 16:42登録)
シリーズ第5弾、遅くなりましたが手元に。
カンチャンを引いて、さっそく読みました。

カットバックで3つの事件のうちの1つを
犯人の人称でえがく為、章の進みが速い事。

外国人抗争、時限放火、娼婦殺人が重なり、
最後にうまく繋がるのがいつもながら流石。

それにしても作者は新宿について、社会学者
といえるほどの理解があると思うのですが、
実地の取材が深いのでしょうか?もしかして
ノンフィクションを書いてもよいのではと。

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