バイバイ、サンタクロース 麻坂家の双子探偵 |
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作家 | 真門浩平 |
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出版日 | 2023年12月 |
平均点 | 7.20点 |
書評数 | 5人 |
No.5 | 8点 | 虫暮部 | |
(2024/09/13 12:03登録) 計算し尽くされていて驚いた。最初の方の話の物足りなさも、一段ずつギアを上げて行く演出の為のバランスなのだと今なら判る。そこまでやるかってところまで容赦無く踏み込む心意気に呆然。私は、年齢については “こういう奴もいるよな~” と普通に納得していた。 ところで、全く登場しなかった麻坂家のお母さんの職業は何か。 ――父が警察官で子がケイジ。ならば有人は alto だから母は音楽家。どうかな? |
No.4 | 5点 | take5 | |
(2024/09/01 16:53登録) 本サイトから評価の高い作品を 拾い読みすることがありますが 私には久しぶりに合わず残念。 小3から小6絶対ない小学生像 言葉遣いラインの扱いも同様で 事件の扱いもオー・ヘンリーを 反転させてとんでも科学らしく はまれませんでしたすみません 最終章の人物の反転も必要感-- まとめるとシチュエーションに 難ありと思うところです。失礼 |
No.3 | 8点 | ALFA | |
(2024/07/31 08:52登録) なかなかにアバンギャルドな連作短編集。 読みはじめて、うん! 背伸びした高校生の独白体ね・・・と思ったら小学3年生だった。キョーレツな違和感だがここは一種の特殊設定と割りきる。 ロジカルなアリバイ崩しが得意な兄と、心理を読んでホワイダニットを追求する双子の弟が主人公。 作者の意図だろう、薄い物語性のなかに精緻なロジックがくっきりと浮かぶパズラーである。人物も記号化しかねないところだが、年齢の特殊設定が効いて妙なリアリティがある。 お気に入りは第5話「誰が金魚を殺したのか」。軽い日常の謎が終盤の反転で一気に血生臭くなる。そして最終話は読者の困惑をも誘うなかなかの問題作。 作者の実験精神に敬意を表して1点オマケ。 |
No.2 | 8点 | 人並由真 | |
(2024/02/23 02:40登録) (ネタバレなし) 連作短編集でもあるし、あらすじは省略。 ノーチェックだったが、文生さんのレビューで気を惹かれ、一読してみる。 ……………………………………………………………………………………(絶句)。 謎解きミステリとしての練度の高さでも十分に評価できる作品だが、その輝きを認めた上で、自分にとっての求心力のコアは、別のところにあった。 一番近い既存のものでいうなら、最後の余韻は、アメリカの1950年代デビューの、あの作家の持ち味にかなり近かった。 良い意味でかなりとんがったものを読ませてもらったという意味で、評点は高めにつけておきます。 一方で本サイトでも、今後、評が割れそうな気配もあるし、さらに言うならこの作者、これ一冊で消えそうな気もしないでもない。 まあ、思うことはあれこれ。 |
No.1 | 7点 | 文生 | |
(2024/01/10 19:29登録) 第3期カッパツー受賞作ですが、本格ミステリとしての魅力は認めながらも選考会で受賞が持ち越しになったいわく付きの作品です。 なにが問題になったかといえば、登場人物の年齢。物語は主人公が小学3年生の時点から始まるのですが欠片も小学生に見えないのです。その違和感はかなりのもので、自分などは思わず「大人が小学生のふりをした叙述トリックなのでは?」と考えたほどでした。選考会では「登場人物を中学生にして書き直せば」などの案もでていましたがそれはそれで話が成立しなくなるという…。 そういうわけで紆余曲折を経て発表された本作ですがその凄まじい違和感にさえ目を瞑れば、ロジック主体のミステリーとして唯一無二といっていい、個性と魅力に満ちています。双子の兄弟が異なる着眼点から推理を披露し合う趣向がユニークですし、予想の斜め上をいくロジックにも唸らされます。なかでも、密室殺人の解明が思わぬ方向に転がっていく「黒い密室」と、解明すべき謎がどんどんずらされていく「誰が金魚を殺したのか」の2つが傑作です。一方、最終話はかなり衝撃的な展開を見せるのですが、ちょっと唐突すぎて気持ちがついていけませんでした。そういう点も含めてロジック系の本格ミステリが好きな人にとっては必読の問題作といえるでしょう |