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ミステリの祭典

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幻夏

作家 太田愛
出版日2013年10月
平均点6.00点
書評数2人

No.2 6点 HORNET
(2018/08/19 22:22登録)
 「天上の葦」を読んでから、遡って読んでいる。
 鑓水たちが調べていくうちにどんどん謎が深まっていって、「何だ?真相はどういうことなんだ?」と早く知りたくなりページを繰る手が止まらないリーダビリティはある。
 ただ、「被害者がやむを得ず加害者になってしまった」ことに同意・共感できるのも限度があり、ためらいなく無辜の人間を屠ったり、唯一無二の肉親を屠ったりするところまで行くと、本作のテーマである「冤罪被害者」への思いも薄れてしまう。
 一方で、その冤罪を生み出した警察組織側の人物の終末も消化不良で、まぁそれが現実と言えば現実なんだけど、ある程度の勧善懲悪ぶりを貫いてほしかった。

No.1 6点 makomako
(2017/11/11 08:11登録)
 かなりの力作でした。冤罪による被害があからさまに描かれて入れ、日本の司法に対する大いなる不信を描き出していると思います。
 ただ全体にとても暗い。冤罪による家族の悲劇を描いているのですから暗くなるのは当然といえますが、それにしても暗い。救いようがない。
 読んでいると気分が落ち込みます。
 私はあまり好みではないですが、社会問題を考えるといった方にはとても良いのかもしれません。
 文章はそれなりに練れていると思いますが、気になる表現がところどころあります。
 ことにいけないのは主人公の一人の警察官である相馬が、「刑事課から交通課に左遷された」はいただけませんね。なんと解説の佐久間文子さんも同じように書いているのですが、交通課って刑事課より下で左遷なんだ。今度交通課の人が取り締まりやっていたら「あんたは刑事課から左遷されたの?」って聞いてみよう。
 

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