| 虫暮部さんの登録情報 | |
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| 平均点:6.20点 | 書評数:2174件 |
| No.2154 | 4点 | 千年ゲーム 山田彩人 |
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(2026/01/18 14:55登録) VWのゲームがどうのこうの。具体的にどれと似ているということではないが、同系統の先行作が色々ありそうだし、物語として展開があまり面白くない。まるでこういう題材で書かれた最初の小説であるかのような無邪気さ。作者はちょっと考えが甘い。 |
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| No.2153 | 6点 | 百年の時効 伏尾美紀 |
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(2026/01/18 14:55登録) この事件、解くのに長大な時間を必要とする類の謎だとは、“必要” の定義は置いとくとして、あまり思えない。そこだけ見ればスッキリとしたパズラーにしても良かったくらい。 解決に五十年もかかったのは、人員配置やら何やらの警察サイドの事情が大きい。なかなかアイロニックである。 あと、私は “元号とは計算が面倒なだけの無意味なシステムである” と思っているクチなので、本作に限らず “(改元で)一つの時代が終わりを迎えた” とか大仰かつ感傷的な記述を見ると笑ってしまう。 章題にも元号を掲げているが、日本人だけがそこに変な色分けを幻視してしまうのだ。“法律や価値観、それに慣習も異なる” のは確かだが、キー・ワードに元号を使ってしまうと客観性が乏しくなると思う。 |
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| No.2152 | 8点 | 輝きの七日間 山本弘 |
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(2026/01/18 14:55登録) A・C・クラーク『幼年期の終わり』の欠点を修正したような話。作者の祈りと、もっと言えば苛立ちと憤りを直球でこれでもかとぶん回し、それをアリにしてしまうのは、設定のおかげだけではなく、作者が本気だと伝わってくるから。作品そのものが突っ込み待ちのようでいて、しかしこの熱量では突っ込む隙が無い。“面倒なおっさん” の面目躍如と言えよう。 つまり、“これはSFではありません。”――である。 |
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| No.2151 | 7点 | 第二警察 吉田親司 |
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(2026/01/18 14:54登録) 基盤は謀略小説なんだけど、あれよあれよと言う間に世界の見え方が侵食され反転する。何とも剣呑なクロニクル。ディストピアの定義を問うようだ。アナザー真賀田四季か(笑)。 最大の特異点かつブラック・ボックスである韋駄アキラ以外全員モブなのは構造的必然。しかし好きになれるキャラクターが皆無なのはちょっと困る……だがそうやって人間を “駒” に見せることこそ作品の狙いにも思えて……うーむ。 |
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| No.2150 | 5点 | カウント・ゼロ ウィリアム・ギブスン |
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(2026/01/18 14:54登録) うーむ。この作品、サイバーパンクの世界観の深化にストーリーテリングが巻き込まれて、尚且つ物語として三つの流れが平行するので、どうも判りづらい。しかも話の進め方は(パズラーではなく)ハード・ボイルド的な論理が強くて、スピード感はあるが納得感はさほどでもない。平行させずに(だって殆ど絡み合わないし)各々を纏めて順々に語った方が、まだ良かったのではないか。 ありがちな展開をSFのガジェットでコーティング。方法論としては大いにアリだけど、私は本作、そこまで上手くは乗れなかった。 |
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| No.2149 | 7点 | 猫物語(白) 西尾維新 |
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(2026/01/12 13:14登録) 委員長は阿良々木暦を過大評価してない? あんなことやこんなことをやらかす野郎を良い方に解釈し過ぎてない? まぁ再読なので、時系列的にはあれこれは未だ起きてないんだけどね。 つまりこれは、一人称で過大評価をこれでもかとばかりに書き連ねることで、“私、本気ですよ” とか書く以上に記述者の本気っぷりを表しているのである。羽川さん目が曇っとるな~、熱に浮かされとるな~、と読者に実感させているのである。高等テクニックである。 |
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| No.2148 | 7点 | 猫物語(黒) 西尾維新 |
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(2026/01/12 13:13登録) つい “完璧な委員長” キャラを使ってしまい、シリーズを書き進むにつれて作者は困じ果てたのではないだろうか。 この世に存在する筈がないものを、設定の主軸の一つに据えてしまったのだから。歪みが集まっても微笑んで際限なく飲み込んでしまう、そのこと自体が歪みなのである。忍野メメに “気持ち悪い” と言わせたのは、作者の本音が漏れたのだと思う。 本作はシリーズを続ける為の荒療治。毒を垂らして麻痺を麻痺させるみたいに強引に切り替えた。でも羽川さん、やっぱり黒じゃなく清純な白でお願いします。 |
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| No.2147 | 7点 | 不可思議アイランド 山田正紀 |
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(2026/01/12 13:12登録) キャリア十年目、短編集に収録し損ねていたものをジャンル不問で集めた、文字通り “分類不能” な短編集。 「自殺省」は、山田正紀の中でもああいう類のグレーな不条理さは異色なんだけれど、全キャリアの短編で見ても三本の指に入る傑作だと私は思う。 一方で挫折の記録(中断したシリーズ)も残っちゃって、つわものどもが夢の跡、である。 |
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| No.2146 | 6点 | ハンニバル・ライジング トマス・ハリス |
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(2026/01/12 13:12登録) リトアニアの城に住んでいた伯爵家の聡明な少年は如何にして “怪物” と成りしか。 シリーズ前作『ハンニバル』でチラ見せされていた過去のトラウマの詳細な完全版である。そして、言ってしまえば、それ以上のものではない。 物凄く大雑把な見方だが、本書の内容は前作で示された大枠の通りであって、それを上回る驚き、捻り、と言ったものは感じられなかった。まぁそういう感じだよね、と普通に納得。勿論、新たな登場人物によってエピソードに膨らみが持たされてはいるけれど。 寧ろ気になるのはこの部分より後、レクターが収監されるに至った成り行きだな~。彼も敗北したわけだから。ミッシング・リンクは未だ埋まっていないのだ。 |
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| No.2145 | 5点 | 銃とチョコレート 乙一 |
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(2026/01/12 13:11登録) 人も街も、単にどこか異国と言うだけでなく、薄い膜一枚で隔てられているような、もどかしい距離感。主な原因は平仮名と漢字の使い分け方だろうか。 これは作中作設定みたいなメタな仕掛けがあるな――と確信したが考え過ぎだった。単にもどかしいだけ。 物語の流れも伏線の張り方も、いつもの乙一作品と比べて遜色は無いのに、限定された枠組みの中の人形劇を観ているよう(ちょっと悪い意味で)。文体って重要だな~と思った。 |
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| No.2144 | 7点 | 神のロジック 人間のマジック 西澤保彦 |
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(2026/01/04 11:26登録) このトリックにはやっぱり某作品が立ち塞がってしまう。もしどちらか片方だけ読むように選び直せるなら、トリックの位置付け、反転の深さ、と言うことで本作を取るかなぁ。捻り過ぎる作者の悪癖が出ていない点も良し。 “ワークショップ” の推理問題、あの文章から合理的に特定可能な模範解答があるんだろうか? いかようにでも解釈出来そうな印象しかなかったけど。 |
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| No.2143 | 6点 | 薔薇の家、晩夏の夢 倉阪鬼一郎 |
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(2026/01/04 11:25登録) こういうのは好きなんだけど、好き故の弊害で沢山読んでしまったので、ああそういう感じね~、とついパターンで認識してしまう。 本作はトリック “だけ” で、あまりにもからっぽの世界。“これはあくまで粗筋で、これから物語の細部や人物像を細かく書き込むのだ” と言われたら “あっ、楽しみにしてます” と本気にしそう。まぁ作風なのは判るけれど……。 暗号は結構なウェイトを占めているが “解きたくなる暗号” ではない。ただ単に “そういうもの” として目の前を流れて行ってしまった。ちょっと残念。 |
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| No.2142 | 5点 | 笑ってジグソー、殺してパズル 平石貴樹 |
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(2026/01/04 11:25登録) 普通のミステリなら “成程、上手い手だ” と思ったかも知れない。 しかし挑戦状を挿むような推理パズル小説となると話は別で、“ズルい” とまず思った。犯人当てを謳うなら、“読者に検証しようがない医学的データは無謬” がルールじゃないの? 事件の仕掛けは面白い。しかし物語としてあまり面白くならない。余計な装飾を排して “読者との知恵比べ” 的側面に特化した書き方に原因があるのは明らか。作者は犯人当てについて、“読者が解けないものの方が優れている” と思っていたのではないか。 変な話し方の秘書課長が良かった。もっとやって欲しかったな。 密室の錠については、“ボタンを押してから部屋を出てドアを閉めても、ラッチが外枠に触れた際に固定が解除されてしまい、鍵はかからない。”と書かれていますので、トリックは必要ですね。 |
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| No.2141 | 5点 | 狂い壁 狂い窓 竹本健治 |
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(2026/01/04 11:24登録) どうも判りづらい。非常に濃厚な文章ではあるが、それが目的化していないか。言葉に事象が埋もれ、事象に人物が埋もれて、結局上手く読み分けられなかった。 いや、目的化したって構わないが、濃い文章を繰り出しつつも圧倒的に判り易い作品だってあるわけで、本作はそのへんを “やり損なった” のだと思う。 |
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| No.2140 | 4点 | 聖女の論理、探偵の原罪 紺野天龍 |
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(2026/01/04 11:24登録) ネタをぼかして書けるかな? 設定のあざとさも含めて全体としては好きなんだけど、ミステリ的には失敗している。 ステージ上の事件。予定と違う映像の操作を誰が行ったのか? また、本来なら不要なカメラ機能が何故ついているのか? アイスの件。数値化しづらい “冷え具合” を曖昧なまま進めており、あまり綺麗な論理ではないと思う。 |
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| No.2139 | 8点 | 蜘蛛の牢より落つるもの 原浩 |
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(2025/12/28 16:29登録) うわぁ吃驚した。完全に引っ掛かった。でも言われてみればその可能性の方が高い。単なる茶番にもなりかねないところを、“掘り出した女が埋めろと言って生き埋め” と言うイメージのあまりの怖さで全てを凌駕した。私は本作、予備知識ゼロで読めて良かったと思う。グッジョブ! |
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| No.2138 | 7点 | 白魔の檻 山口未桜 |
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(2025/12/28 16:29登録) 現代日本の医療制度に関する内部告発小説にしてパニック小説。犯人特定のロジックは細かくてちょっときつかった。と言うか、スリリングなパニックの展開に気を取られて、人の動きのアレコレまでは頭に残らない。作者の言いたいことは全部書きますと言った感じで、盛り沢山に過ぎる。 ああいう論理展開が可能なら、殺人事件だけに絞ってもっと純粋なパズラーにしても良いのに。と私などは思ってしまうが……。 あと、ミステリである以上、町長の件を曖昧なまま残してしまうのは如何なものか。あのエピソード、どうしても必要だろうか? |
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| No.2137 | 7点 | 人魚姫 北山猛邦 |
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(2025/12/28 16:28登録) ジュヴナイル風な境界領域を背景に、勇気とか信頼とかを上手く描いていると思う。みんなキャラが立っていて良い。感動した自分に驚いた。 ところで、あんな物理トリックが成立する構造は、そもそもセキュリティ上で問題があるよね(笑)。 |
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| No.2136 | 7点 | シュロック・ホームズの迷推理 ロバート・L・フィッシュ |
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(2025/12/28 16:28登録) “駄洒落を考えるのがだんだん難しくなり、発表される頻度が減った” と解説にあるが、逆に言えば作者はきちんとネタが溜まるまで堪えていたわけで、濃度は落ちていない。決して出涸らしなんかじゃないよ。 ボーナス・トラック的な他シリーズ及びノンシリーズの作品も面白い。問題は、前半三分の二でシュロック・ホームズの世界に浸っていたので、他作品の世界観の調整をどうすべきか迷ってしまうこと。 「ラッキー・ナンバー」はシュロックと似た世界だが、「クランシーと飛びこみ自殺者」は正統的な警察小説だし、「月下の庭師」「よそ者」もやや戯画的だがこちらの世界がベースになっている(筈)。それをついシュロックの気分で読んでしまったので、本来とは違ったイメージになってそう。 そして一つ突っ込みたいのが表題。当該シリーズに於いて、笑いは物語の中ではなく読者のメタ視点に属している。真面目な顔で変なことをするのを読者が “真面目な顔で変なことをしているな~” と認識するから生まれる笑いであって、作中の人々はそれが変だと認識してはおらずシュロックをあくまで “名探偵” として遇しているのだ。 であるなら、『迷推理』=“コレはギャグですよ~” な邦題はコンセプトから外れていると思う。格調高く、とは言わないが、『冒険』『回想』と来たのだから原典に倣って『シュロック・ホームズ最後の挨拶』とでもすべきではないだろうか。 |
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| No.2135 | 6点 | なんで死体がスタジオに!? 森バジル |
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(2025/12/28 16:27登録) 小粒ながら良品。ミステリ的な捻りとしてはさして珍しくもないけれど、上手に組み立ててあって成程ね~と思った。着地は意外におとなしくて、妥当とも無難とも言える。実在のタレント名を幾つも挙げているがTVは観ないので全然ピンと来ない。 |
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