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ミステリの祭典

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合理的にあり得ない

作家 柚月裕子
出版日2017年02月
平均点5.00点
書評数4人

No.4 5点 まさむね
(2020/12/12 13:08登録)
 謀られて弁護士資格を剥奪された「上水流涼子」と、IQ140を誇る助手「貴山伸彦」で運営される探偵エージェンシー。このコンビで依頼を解決していく過程は、なかなかに痛快です。予測しやすい短編も複数あって、ヤラレタ感は少ないのですが、サクサク読み進められる短編集で、軽い気分で読む分にはいいのではないでしょうか。ちなみに、過去に謀られた人物への「仕返し」としては、ちょっと弱すぎるのでは、とも感じましたね。

No.3 5点 E-BANKER
(2020/11/02 21:45登録)
過去、仕組まれた事件で弁護士資格を剥奪された探偵・上水流涼子。彼女は頭脳明晰な助手・貴山とともに探偵エージェンシーを設立。金と欲にまみれた人たちの難題を知略と美貌を武器に解決に導く・・・
という連作短編集。単行本は2017年の発表。

①「確率的にありえない」=“未来が見える”という男。彼は、目の前ですべての競艇レースの着順を当てるという離れ業を演じて見せる・・・。もちろんトリックがあるのだが、そんなうまくいくかねぇー、面前だし。
②「合理的にありえない」=今度は“未来が予測できる女”が登場するのだが、実はこの女の正体は上水流涼子自身。身勝手な依頼人をギャフン(死語)と言わせて、報酬はしっかり頂く。でも、このトリックは身も蓋もないだろ!
③「戦術的にありえない」=ヤクザ同士の賭け将棋。イカサマがあるんじゃないかという依頼が上水流の元へ。そうか「鬼殺し」か・・・。使ったことないな。でも、このブロックサインは気付かれるんじゃないの?
④「心情的にありえない」=かつて上水流を嵌め、弁護士資格を失わせるきっかけを作った男。その男からの依頼に応じることが=心情的にありえない、ということ。作品のプロットは平板。
⑤「心理的にありえない」=最後の舞台はなぜか大阪。それもミナミのコテコテの大阪・・・。筋金入りの阪神ファンに対して野球賭博で嵌めようとした男が逆に・・・という展開。

以上5編。
今回、作者の初読みなのだが、こんな作家だったけ?
最近だと「孤狼の血」なんかの影響で、ハードで重めの作風だと思ってたけど、これは・・・軽いね。
それに探偵事務所が舞台で、舞い込んだ奇妙な依頼を紆余曲折の末、解決していくというプロット。最近よくお目にかかるような気がするのは気のせい? 単なる偶然?

まぁそれは置いといても、あまり感心する出来栄えではなかった。
上水流のキャラも最初は神秘的な美女という設定だったのに、徐々に崩れて、むしろ助手の方が目立つことに。(狙いか?)
ひとことで表現するなら「安易」ということになるんだけど、「探偵事務所」なんていう使い古された設定で、何とかして目新しさを出そうとしてうまくいかなかったということかな。
評価としてはまぁこんなものでしょう。
(結局は①が比較的ましかな)

No.2 5点 人並由真
(2018/03/19 17:05登録)
読み物としての連作キャラクターミステリ的には、決して悪くないと思う。ただし最初のニセ天才預言者のカラクリを暴く話、あまりにもトリックが昭和で、21世紀の現代にこれはないのでは、と呆れた。
 総じて軽く読めることは悪い事じゃないんだけどね。
 
 それにしても作者は美人ですな。数年前のミステリマガジンをたまたま読み返していて、インタビュー記事で、ハッと思いました(汗・笑)。 

No.1 5点 HORNET
(2017/10/21 20:40登録)
 もと弁護士の上水流涼子が運営する探偵エージェンシーに舞い込む「〇〇的にあり得ない」依頼。IQ140のアシスタント、貴山と共に痛快に解決していく、連作短編集。
 見目麗しい美女と、天才アシスタントの二人三脚による勧善懲悪的ストーリー。ドラマ化とか向いてるかも。読み物として普通に面白かった。

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