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ミステリの祭典

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抹殺ゴスゴッズ

作家 飛鳥部勝則
出版日2025年08月
平均点8.50点
書評数2人

No.2 7点 レッドキング
(2025/10/19 20:21登録)
なんと久しゅう*飛鳥部勝則、新作ミステリ。ゴス・ゴッズ=ゴシックなゴッド達=奇怪な神々。十五年ぶり長編ミステリは、「大乱歩」オマージュと、十八番アートねた物の接合「大作」で、飛鳥部風の変態悪趣味**満載(それも、またよし)。本格具合は・・うーん、合格点はクリアかなぁ・・点数、復活ご祝儀相場。

* 近年、突然に短編出て来て、 嗚呼、無事に生きてたんだ(なんたる無礼 な "(-""-)" )と詠嘆。
** 二十歳そこそこで小説書いた麻耶雄嵩レベルの、「翼ある闇」超俗的とり澄ましと、「夏と冬の奏鳴曲」の眼を背けたくなる程の生臭い情感を、還暦過ぎに至るまで、払拭できない(であろう)感性。坂口安吾が書いてたな ” 青春二度と帰らず、は美しいが、青春未だ去らず、は情けない ”って。あと、誰だっけ? ” 十八歳でドストエフスキーに夢中にならない奴は見込み無いが、四十過ぎても夢中になってる奴はどうしようもない” とか。ま、いいや、これからも「本格」書き続けてチョ、門前典之とあんた(どーも麻耶はダメっぽく)にはキタイしてるヨ(ー_ー)!! 

No.1 10点 虫暮部
(2025/10/04 13:05登録)
 “あの頃僕は神を愛していた。”

 何て素晴らしいイントロ。或る種の小説は、文体によって成立している。或る種の小説は、物語性よりも世界観の構築によって成立している。
 その中でもこれは驚嘆すべき存在だ。だから、その “世界” の濃度に圧倒されて、相対的にミステリ的な謎解きが卑小に感じられても構わないのである。そもそも作中の仕掛けの多くは普通に読めばバカミスだろう。ところが、その全てをアリにする世界が、言葉の力によって私の眼前に立ち現れたのだから、抵抗しようが無いじゃないか。
 いい加減長かったけど、まだ終わるなと願いながら読んだ。ズブズブ分け入った彼岸から、最後に一歩こちら側へ戻って来る終章も完璧。あ、でも正直に懺悔すると、桜とカナヨの区別がイマイチ付かなかったな。

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