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ミステリの祭典

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虫暮部さんの登録情報
平均点:6.20点 書評数:2154件

プロフィール| 書評

No.154 4点 てのひらに爆弾を
黒武洋
(2014/05/09 10:03登録)
なんだかバランスの悪い、歪な作品。
 ラムちゃんと警察官が親子、という偶然は許容範囲を超えているし、その割にストーリー上の効果は乏しいと思う。


No.153 7点 消失グラデーション
長沢樹
(2014/05/07 11:01登録)
気になるのは、ヒカルという御都合主義的に特殊なキャラクターの存在が事件の成立に不可欠であること。しかも彼が事件に関わったのは全くの偶然であること。
 まあそれはそれとして、びっくりはさせられたし、良く出来た青春ミステリだと思う。


No.152 6点 ロスト・ケア
葉真中顕
(2014/05/07 11:00登録)
序章で、いやもっと言うなら新聞広告の謳い文句で、着地点がなんとなく見えちゃっていた。ミステリ的な驚きに満ちた作品というわけではない。
 とはいえ見えているラストへ上手く導くのも作家の腕であり、そういう意味で評価は出来る。作者の本気度が問われる題材だが説教臭くなる前に上手く引いていると思うし、思想の対立する登場人物それぞれにきちんと説得力があるところも良い。
 くさか里樹のコミック『ヘルプマン!』と併せて読みましょう(?)。


No.151 5点 襲名犯
竹吉優輔
(2014/05/07 10:59登録)
前半は面白かったが、着地点があまりピンと来なかった。
 あと、「信」と「仁」という双子の名前。日本語の感覚だと「シン」が主で「ジン」が従、というイメージにならないだろうか(私の個人的な言語感覚?)。双子にそういう対等ではない名付けをする親、というのが納得出来なかった。というかふたりの出生にまで遡る何らかの伏線かと深読みしてしまった。
 図書館の内幕をサイド・ストーリーにするのはズルい(褒め言葉)。読書家なら食い付かずにはいられないだろ。


No.150 5点 公開処刑人 森のくまさん
堀内公太郎
(2014/05/07 10:58登録)
現実ではなく小説である以上、“一見関係ないけれど実は関係がある”事柄がピックアップされて並べられているわけで、どうしてもそのこと自体が伏線になってしまうという問題がある。
 本書の場合、真犯人になり得るポジションの登場人物が限られているので、登場人物の視点では意外な犯人なのだが読者としてはそうでもない、という状態になっている。シリアル・キラーものだから止むを得ないかもしれないが、それを補えるほどの別の売りがあるかというとやや物足りない。ラストの嫌な余韻は良い感じ。


No.149 5点 だるまさんが転んだら
堀内公太郎
(2014/04/24 13:40登録)
折原一みたい。いや別に盗作だとか言うことではなくて。 


No.148 7点 生存者ゼロ
安生正
(2014/04/23 07:47登録)
このアイデアは凄い。前半を読んで、これは超自然現象を持ち出さないと辻褄が合わないだろうな、と思ったが見事にリアルな範囲内で説明している。
 第四章、TR102で××××を発見してから結論が出るまで一週間もかかっているのは疑問。発見した時点で、学術的解説はすっ飛ばして“これが原因か!?”という結論に飛び付かないかな。
 また、博士の父親が事故に関わっているというのは偶然過ぎる(し、そんな偶然を持ち込んでもストーリー上のメリットになっていない)と思う。その他、登場人物の言動でところどころ首をひねる部分が無くもない。
 三人称なのに妙に感情的な文体も気になった。


No.147 7点 よろずのことに気をつけよ
川瀬七緒
(2014/04/17 07:51登録)
吸引力抜群の冒頭からラスト前の八分目あたりまではスリリングで大変面白い。
 ただ、バランスを考えると、結末で明かされる祖父の過去の行為が全て伝聞で、妙に整理されて説明的なため、“59年に亘る呪詛”とつりあうだけの重さが感じられないきらいがある。一人称の文だから仕方ないかもしれないが、変則的にその部分だけ三人称で直接描写しても良かったと思う。
 味のあるキャラクターなのに湯山の出番が少ないのも勿体無い。 


No.146 5点 リバーサイド・チルドレン
梓崎優
(2014/04/10 20:05登録)
粗筋紹介には“鎮魂と再生の書”と謳われているが、そういう類の感動的な文章にしよう、とし過ぎている気がした。そのせいか語り手の感情の動きがやたら大仰でわざとらしい。ハイここで感動して下さいね、と判り易く誘導されている気分で、勿論それでは感動出来ないのである。


No.145 5点 人外境ロマンス
北山猛邦
(2014/04/07 12:46登録)
 ミステリというよりはファンタジー寄りの短編集。秀逸なもの幾つかと、まあまあなもの幾つか収録。
 タイトルになっている『人外境ロマンス』=ひとならぬ者との出逢い、というコンセプトは両刃の剣である。なにがしかの雰囲気を醸し出している反面、登場人物誰かが実はモノノケ、というのがお約束になってしまうので予想し易く、意外性を感じづらいところがあるのだ。但し、その点を配慮したのかどうか判らないが、収録順はなかなか考えられていると思う。


No.144 6点 五覚堂の殺人~Burning Ship~
周木律
(2014/04/03 20:00登録)
 色々趣向を凝らしているのは判るけど、前2作より少し落ちるかな。あまりにパズル的でひとの行動の動機を軽視している点が物足りない。
 志田悟についての叙述トリックはすぐに気付いた。不自然な記述が判り易過ぎ。


No.143 4点 シュークリーム・パニック Wクリーム
倉知淳
(2014/04/02 20:01登録)
コミカルな筆致が空回りして裏目に出ちゃっている印象が強い。猫丸先輩シリーズではあれだけフィットしているのに。不思議だ。


No.142 9点 亡霊ふたり
詠坂雄二
(2014/03/31 12:22登録)
これは傑作。屈折した青春小説にして、“名探偵”システムに対する批判。米澤穂信あたりと並べても遜色なし。主人公に結構共感出来たこともあって、読みながら私のハートも20年前にトリップしてしまったことであるよ。 


No.141 6点 背徳のぐるりよざ セーラー服と黙示録
古野まほろ
(2014/03/26 13:54登録)
洗濯板上等。
 “正直族”の設定はグッドアイデア。
 しかし相変わらず謎解き部分がくどい。ロジックを重視した結果だろうが、もう少し何とかならないだろうか。


No.140 6点 わたしはここにいます
篠田真由美
(2014/03/26 13:53登録)
“奇矯な館に怪しげな登場人物たち”更に“嵐の山荘”というパターン化した設定ではあり、またいかにもなオカルト要素がちりばめてあり、文章の巧みさで救われてはいるが少々長過ぎてくどく既読感も大きい。とはいえエピローグのカタルシスなどはこの長さあってのものかという気もする。
 “名前の付け方”ネタは面白かった。 


No.139 7点 衛星を使い、私に
結城充考
(2014/03/14 12:01登録)
警察小説はあまり読まないので、本作がジャンル内でどういった位置付けになるのかは良く判らないが、定番のネタを並べるだけでなく、独自の視点によるプラスアルファによって野暮ったさを上手く払拭していると思う。


No.138 8点 名無しの蝶は、まだ酔わない 戸山大学〈スイ研〉の謎と酔理
森晶麿
(2014/02/28 11:12登録)
“ミステリ”よりも“青春”に重点を置いた青春ミステリ。謎の要素は弱いがストーリーを構成するピースとして適切に機能しており好感が持てる。そしてこの作者の、バランス感覚と読み易さを備えつつも品性と遊びを失わない美文は要注目。
 セイヤーズとかジャプリゾとか言っている主人公が、第5話で今更『オリエント急行殺人事件』を読んでいるのは何だ? 第4話でクリスティの別作品のネタを使っている伏線、いや伏線のほうが後では伏線にならないのだから、ちゃんと承知の上でやっていますよ、というエクスキューズだろうか。
 しかしブラーはともかくトラヴィスと来るか♪


No.137 6点 致死量未満の殺人
三沢陽一
(2014/02/20 19:17登録)
弥生のキャラクターだが、そんなに“悪魔みたい”“殺されてもおかしくない”とは感じなかった。それは“殺されてもいい人間なんていない”といった意味ではなくて、彼女の行動なんて所詮は大学生レヴェルの悪行じゃないかということ。他の登場人物の育ち方が健全だから悪意に対する耐性がなかっただけじゃないの、と思う。あまつさえ15年が経過しても悪魔扱いというのは、共感出来ない。
 トリックについては評価したい。毒物がそんなに計算通り作用するのか、という点についてはこの際ミステリの美学として目を瞑っても良い。


No.136 5点 シュークリーム・パニック  生チョコレート
倉知淳
(2014/02/03 07:11登録)
「強運の男」はミステリではなく、奇妙な味の短編といった類のものである。私はミステリのつもりで読み始め、“これをどうやって着地させるのか?”と前半とても興奮し、後半で肩透かしを食らった。ミステリという先入観なしで読めばもっと楽しめたはず。 
 作者が倉知淳である以上、その先入観はいかんともしがたい。かといって、“ミステリ作家として認知されているひとはミステリだけ書いてくれ”というのもなんだし。どうしたものか。


No.135 5点 星籠の海
島田荘司
(2014/01/16 13:21登録)
御手洗潔シリーズで上下巻、となるとそれだけでもう驚天動地の大トリックを期待してしまうものだが、本作はそういうものではなく、寧ろ人の世の諸々が絡み合って生み出す不可解なタペストリー、といった類の作品。“難病の子供”というベタな要素を持ち込むのはズルい、とはいえ面白かった。
 しかし先入観ゆえの物足りなさも否めない。これ、御手洗モノである必然性は希薄なんじゃないの?ノンシリーズにしてニュートラルな気持ちで読ませたほうが楽しめたんじゃないの?という気もする。

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