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ミステリの祭典

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背徳のぐるりよざ セーラー服と黙示録
セーラー服と黙示録シリーズ/改題「ぐるりよざ殺人事件 セーラー服と黙示録」

作家 古野まほろ
出版日2013年10月
平均点6.67点
書評数3人

No.3 6点 メルカトル
(2021/07/13 22:47登録)
ミッション・スクールの名門「聖アリスガワ女学校」の生徒たちが、春期合宿に出発してゆく。ところが今日子の属する班は、目的地とはまるで異なる隠れ里に迷いこんでしまった。その村の名は「鬱墓村」。終戦を知らない不思議な人々。厳しい戒律と落ち武者の呪い。そして発生する、連続聖歌見立て殺人―犯人を推理する今日子、手口を推理するみづき、動機を推理する茉莉衣が解き放った、見立てと呪いの恐るべき真実とは―!?
『BOOK』データベースより。

すぐに明かされネタバレにはならないと思いますので、敢えて書きます。本作は横溝正史の『八つ墓村』へのオマージュであり、一種のパロディでもあります。外界から完全に閉ざされた八つ墓村ならぬ鬱墓村。双子の老婆、底の知れぬ鍾乳洞、落ち武者伝説、「たたりじゃー」の婆様。あ、それと「よーし、解った」もあります。これは角川映画ですけどね。その村とミスマッチなのが村人全員がキリシタンであり、正直族であるという事実。何となく雰囲気にそぐわない訳ですが、それ無しでは成立しない物語なのでやむを得ませんね。

別段読み難くはありませんが、それにしても長い。もうお腹一杯です。連続見立て殺人をホワイ、ハウ、フーに分けて、三人の女子高生が見事に解き明かします。それならもっと早い段階で解決しろよ、と思わないでもないですが、それすらも横溝を模倣しているのでしょうか。私的には探偵役の彼女たちにはあまり魅力を感じません、それは作者の筆致があまりにも情感に欠けている為にも思えます。それと、何故そんな事まで知っているのかと云うシーンが解決編に於いて幾つも見られます。そんな伏線あったかな?と思ってしまいました。

No.2 8点 いいちこ
(2018/02/28 15:35登録)
何と言っても「太平洋戦争終了直前から閉鎖されたカトリックのムラ社会」という奇想天外な舞台設定が奏功。
これにより本シリーズと横溝の名作の世界観を折衷し、十戒の遵守という設定により、本格ミステリと親和性の高い論理世界を実現している。
ホワイダニットを解明する前提となる真相は、その内容にやや疑問を感じる点が残るものの、そうした事態が発生する蓋然性は高く、本作のタイトルに込められた意図も含めて強烈な破壊力を持っている。
フーダニットは真相とそれを解明するプロセスもさることながら、その証明の手際が実に鮮やか。
以上、細部には毀誉褒貶があるものの、本格ミステリとしての骨格の堅牢さを評価してこの点数

No.1 6点 虫暮部
(2014/03/26 13:54登録)
洗濯板上等。
 “正直族”の設定はグッドアイデア。
 しかし相変わらず謎解き部分がくどい。ロジックを重視した結果だろうが、もう少し何とかならないだろうか。

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