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ミステリの祭典

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kanamoriさんの登録情報
平均点:5.88点 書評数:2430件

プロフィール| 書評

No.1090 6点 イニシエーションラブ
乾くるみ
(2010/08/27 18:05登録)
若者のありふれた恋愛小説が2部構成で綴られ、最後まで読むと巧妙な仕掛けが飛び出すという小説でした。
1つ目の欺瞞は、B面途中でなんとなく分かりましたが、もう1種類の叙述トリックの方は気が付きませんでした。たくさんの伏線というかヒントは、アラフォー世代ぐらいの方はより身近に感じられることでしょう。


No.1089 7点 殺戮にいたる病
我孫子武丸
(2010/08/27 17:55登録)
猟奇的連続殺人鬼・蒲生稔を主人公にしたサイコサスペンス、と思わせて、本書も叙述に仕掛けを凝らした騙し絵ミステリでした。
犯人の名前が最初から明らかにされており、最終的にも蒲生稔が真犯人として物語が閉じるわけですが、それでも意外な犯人を設定したミステリになっている構図はなかなかユニークですごいと思いました。


No.1088 7点 ハサミ男
殊能将之
(2010/08/27 17:42登録)
この作品も、叙述の工夫によって読者を誤誘導させるタイプのミステリでした。非常に典型的な叙述ミステリですが、前知識なく読んでいたので、まんまと騙されました。
再読すると作者の巧妙な書きぶりがよく分かります。文章も手慣れた感じで、スラスラと読める点が好印象でした。


No.1087 6点 星降り山荘の殺人
倉知淳
(2010/08/27 17:42登録)
なかなか巧妙な欺瞞が施された”雪の山荘”ものの本格ミステリでした。
都筑道夫の「七十七羽の烏」に倣った各章冒頭の説明文自体がミスディレクションになって、探偵役登場の章でまんまと騙されました。しかし、ほぼメインのアイデア一本のミステリでしたので、終盤までのベタでストレートな展開は少々だれる感じもありました。


No.1086 5点 R.P.G.
宮部みゆき
(2010/08/27 17:41登録)
宮部みゆき、まさかの新本格参入!?
まあ、既読感のある仕掛けに加えて、この記述方法はどうなんだろうという部分もありましたが、作者がこのタイプのミステリを書いたというだけで意外性充分。


No.1085 7点 聖女の救済
東野圭吾
(2010/08/26 18:56登録)
毒物混入トリック一本に絞った倒叙形式のハウダニット・ミステリですが、正直これだと短編ネタだと思いました。
しかし、さすがと思ったのは、その非現実的でありえないトリックを、ありえるかもと思わせる作者のストーリーテリングの巧さ。
また、本書でも探偵役から出た「虚数解」という思わせぶりな言葉は、本格ミステリ読みを惹きつける。ツボを押さえた小説創りのうまさはやはり一級品ですね。


No.1084 4点 智天使の不思議
二階堂黎人
(2010/08/26 18:20登録)
百のサークルに所属する大学生・水乃サトルを探偵役に据えた倒叙形式の本格ミステリ。
当シリーズは、1980年代後半を時代背景にしていますが、今回のメインの事件は、1953年(昭和28年)のもので既に時効が成立している殺人事件のアリバイ崩しに一生懸命勤しみます。
これは、紅白歌合戦の豆知識だけで思いついたようなアリバイ・ネタでした。


No.1083 6点 ペガサスと一角獣薬局
柄刀一
(2010/08/26 18:02登録)
南美希風シリーズの本格ミステリ連作短編集。
いずれも、幻想的で奇想天外な謎を冒頭に提示し、最後はロジカルに解明するというパターンで、とくに力技系の「龍の淵」など島荘の作品と言われても違和感がないほどテイストがそっくりです。
収録作のなかでは、「光る棺の中の白骨」が物語の雰囲気創りと強固な不可能性で一番出来がいいと思った。


No.1082 6点 後悔と真実の色
貫井徳郎
(2010/08/26 17:45登録)
連続殺人鬼”指蒐集家”を追う刑事群像を描いた警察小説風ながら本格ミステリ。
主人公格の西條を始め刑事たちの造形を、重層的に多視点で描いていて、ミッシングリンクものの本格ミステリ趣向がかすんでしまう程ですが、真相を知れば全て意味があったことが分かる。
しかし、探偵役の西條に対する後半の扱いは、いかにも「慟哭」の作者という感じでした。


No.1081 7点 文福茶釜
黒川博行
(2010/08/26 17:30登録)
古美術・骨董品の贋作を巡る騙し合いを扱った連作ミステリ。
このような題材だと北森鴻の一連のシリーズが頭に浮かびますが、本書の著者も負けていない得意の分野。
プロ対プロの騙し合いが、関西弁も相まってリアルに描かれています。コンゲーム小説と同等の趣があり、どちらが最終的に騙される側かというスリルも味わえる。


No.1080 8点 容疑者Xの献身
東野圭吾
(2010/08/25 21:08登録)
純愛ネタの文芸的テイストと、本格ミステリ的趣向を兼ね備えた小説で、読みやすく素直に楽しめた作品。
石神が採った究極の手段が文芸もののテイストと相容れないという意見はもっともですが、本格ミステリとして読んだので気にならなかった。探偵役の「幾何の問題と見せかけて、じつは関数の問題..」なんていう台詞はゾクゾクとさせるものがありました。
強いて注文をつけるとすれば、天才対天才という構図をもっと前面に出した方がよかったと思う。


No.1079 7点 どんなに上手に隠れても
岡嶋二人
(2010/08/25 20:45登録)
タイトルからも「あした天気に..」と同系統のサスペンス小説を感じさせ、そのとおりの身代金奪取の仕掛けと誘拐の目的に意外性を持たせたなかなかの良作でした。
複数の登場人物に色々思惑を持たせた関係で、ごたごたした印象がありましたが、本書も誘拐ミステリの秀作だと思います。


No.1078 5点 深泥丘奇談
綾辻行人
(2010/08/25 20:13登録)
幻想的怪奇譚の連作短編集。
京都を思わせる架空の街を背景に、小説家の「私」が遭遇する不可思議な事象の数々を、私小説風に淡々と描いています。
日常の謎ならぬ”日常の怪奇”という感じで、岡本綺堂などの昔の怪奇譚の趣があるといえば褒めすぎかもしれませんが、作者の別の一面を見せてくれている異色作だと思います。まさか奥さんの代作ではないでしょうね?


No.1077 6点 女王国の城
有栖川有栖
(2010/08/25 18:49登録)
人気シリーズ久々の第4弾という事で、期待が大きすぎたのか、自分のミステリ嗜好が変わったのか、微妙な読後感でした。
不満点を列挙すると、新興宗教集団と超常現象という陳腐な設定、初期の瑞々しい青春ミステリ風味の減退、無駄に長く横道にそれる前半部の冗長なプロット、既読感のある(たぶん、梶龍雄作品)隠された構図などがその理由だと思います。
ただ、終盤の解決へのロジック(とくに、凶器の拳銃に関するもの)などは初期作を彷彿させ、さすがと思いましたが。


No.1076 6点 怪盗グリフィン、絶体絶命
法月綸太郎
(2010/08/25 18:11登録)
ミステリー・ランド叢書の中には、これ本当に子供に読ませていいの?とトラウマを心配させる作品もあるように思いますが、本書はコンセプトどおり、大人も子供も楽しめる軽快な冒険スパイ小説でした。
正義の怪盗という主人公の造形や、テンポのいい二転三転するプロット、作者らしいロジカルな展開と、このタイプのミステリとしては過不足ない良作だと思います。


No.1075 7点 電氣人閒の虞
詠坂雄二
(2010/08/24 20:52登録)
遠海市の都市伝説・電気人間を探る人々が次々と不審死するというお話。前作の「遠海事件」とは直接繋がりはないが、小説家・詠坂も再登場します。
本書は、ワン・アイデアに支えられた騙りのミステリで、前例のあるトリックながら、電気人間のある特性によって、読者が絶対に見抜けない仕掛けになっている所が作者のアイデア。終盤のアノひと言はなかなか衝撃的ではありましたが一般受けは難しそう。
読み終えると、タイトルが別の意味を持ってくるところも感心しました。


No.1074 6点 遠海事件: 佐藤誠はなぜ首を切断したのか?
詠坂雄二
(2010/08/24 20:34登録)
「佐藤誠はなぜ首を切断したのか?」という副題が付いているように、首切断理由の分析も入ったホワイダニットには違いないのですが、周到な騙りに満ちたミステリでした。
小説家・詠坂雄二が書いた犯罪実録小説の体裁をとりながら、タイトル、副題、そして大量殺人犯という佐藤の人物造形までをもミスディレクションに繋げ、小説が終ったあとのページにも仕掛けを施すという凝りようです。
一読地味な印象ですが、読めば読むほど味が出る感じがする逸品です。


No.1073 5点 リロ・グラ・シスタ
詠坂雄二
(2010/08/24 18:50登録)
個人的に注目している作家ですが、デビュー作の本書は、色々と大掛かりなトリックを詰め込み過ぎの感じで、またアイデアは非常に面白いものの、いずれも前例があるものなので、手放しでは楽しめませんでした。
学園ものの本格ミステリながら、一人称ハードボイルドという特異なスタイルは、ある構図をミスリードするためとはいえ、どうもすっきりしません。また、各章毎に色つきのページを配する装丁には退いてしまいます。


No.1072 6点 新参者
東野圭吾
(2010/08/24 18:05登録)
よく言われるように、まさに東野版の捕物帳の味わいがありました。わざわざ、主人公を人形町界隈を所管する署に異動させて舞台設定に怠りなしです。
連作ミステリとしては、日常の謎テイストでツイストを効かせた第1話が秀逸ですが、終盤の数作品は、全体を貫く本筋の事件をまとめ上げるための物語になり完成度が落ちているように思いました。
しかし、第1話の掲載から5年間かけて断続的に書いた作品にしては巧く仕上げていると思います。


No.1071 6点 タイム・リープ あしたはきのう
高畑京一郎
(2010/08/24 17:40登録)
タイム・パラドックスを主題にした学園ものSFミステリ。
時間移動期間が1週間限定としている設定が、このタイプの小説の複雑さを回避していてるように思います。時間パズルの問題としてはライトノベルの水準を超えた質の高さでした。
読了後に、最初にもどりプロローグを読み返すと、読者をもタイム・リープさせる仕組みになっている所が面白い。

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