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ミステリの祭典

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殺しにいたるメモ
ナイジェル・ストレンジウェイズシリーズ

作家 ニコラス・ブレイク
出版日1998年03月
平均点7.00点
書評数4人

No.4 8点 ◇・・
(2025/03/04 20:31登録)
連合軍の勝利に沸く一方で、奇妙な雰囲気が漂い始めた戦意昂揚省の広報宣伝局を舞台に、やり手の局長ジミー・レイクの愛人だったアシスタントのニタ・プリンスが衆人環境のパーティの席上で毒殺された事件を巡って、自らも犯行現場に居合わせたナイジェルが独自の捜査を展開する。事件は男女の複雑な四角関係に起因するものなのか。密室状態の犯行現場から消えた毒入りカプセルの行方は。そして、省内の同僚たちが示す不審な働きと毒殺事件の繋がりは。
容疑者たちの何気ない言動を細かく分析して、犯行の全容を少しずつ導き出していくナイジェルの推理は切れ味が鋭く、名脇役ブランド警視との気心の知れたディスカッションは、これぞ探偵小説の醍醐味という知的な興趣にあふれている。盲点を突いた毒殺トリックも、決して派手なものではないが、伏線の張り方やディテールの細かいところが良く考え抜かれていて感心させられた。

No.3 6点 nukkam
(2016/06/22 09:57登録)
(ネタバレなしです) ニコラス・ブレイクは第二次世界大戦中は情報局に勤務しており、「雪だるまの殺人」(1941年)以降は作品を発表していませんでしたが戦後の1947年になって再び筆をとって発表したのがナイジェル・ストレンジウェイズシリーズ第8作となる本書で、さぞや当時のファンは復帰を喜んだことでしょう。もっともナイジェルの妻ジョージアが空襲で死んだという一文を読んでショックを受けた読者も少なくないと思いますが。中盤にちょっとしたアクションシーンがあったり終盤では容疑者同士のスリリングな告発があったりと部分部分では光っていますが全般的には盛り上がりに乏しいプロットです。また原書房版の紹介では不可能犯罪的要素をアピールしていますが、それが小さなカプセルが見つからないことというのは重要ではあっても謎のスケール感が小さく、宣伝として逆効果ではないでしょうか(隠しトリックは印象的ではありますけど)。

No.2 6点 kanamori
(2010/08/31 21:20登録)
第二次大戦終戦直後の帰還兵の歓迎会での毒殺事件を扱った本格ミステリ。
衆人環視の毒殺トリックがメインで、ハウダニット興味充分ですが、意外と早めにその真相が明かされ、フーダニットの方に移ってしまうのはちょっともったいない感じがします。しかし、終盤のナイジェルのロジカルな推理はなかなか圧巻で、エラリイ・クイーンはだしです。

No.1 8点 mini
(2008/10/14 10:23登録)
ニコラス・ブレイクと言えば「野獣死すべし」の名がどうしても出てくるが、「野獣」は特別な作品で、他の作品は普通の本格が大半なようだ
例えば「死の殻」などは陳腐な仕掛けにがっかりする出来だったが、「野獣」に対抗できる正攻法な本格が1作あるのだ
それがこの「殺しにいたるメモ」で、原書房のハードカバーでしか読めないので、文庫しか読まない人は見逃してしまうのが残念だ
ブレイクってこんなにロジックにこだわる作家だったっけ、と再確認してしまうような王道直球な本格だ
本来は私はこういう真っ当過ぎる本格は好みではないのだが、この作は黄金時代本格の呪縛から免れているのが良い
黄金時代本格の雰囲気を引きずった「死の殻」などより数段進歩しているのだ
登場人物の台詞などに現代感覚が有り、作者ブレイクの持ち味が良く発揮されている
それでいて本格としての謎解きと上手く融合しているのである
ラストが引っ張り過ぎなのが唯一の難で、終盤をもう少しすっきりまとめていたら9点でもよかったかな

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