タラント氏の事件簿 |
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作家 | C・デイリー・キング |
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出版日 | 2000年04月 |
平均点 | 5.50点 |
書評数 | 4人 |
No.4 | 6点 | ボナンザ | |
(2016/09/19 21:13登録) 本格短編集である一方、キャラクター達にも愛着がわくストーリー。 一方で解決がやや乱暴だったり最後があれなのがやや残念。 カーの某作品見たいにどっちともとれる様なのならむしろ良かったかもですがね。 |
No.3 | 5点 | nukkam | |
(2016/08/31 11:47登録) (ネタバレなしです) 不可能犯罪の謎を次々に解いていく名探偵トレヴィス・タラントの活躍を描いた本格派推理小説ばかりを8編収めて1935年に発表された短編集です。いづれも説明不可能な状況の現象を伴う事件ばかりで発端の不可思議性という点では文句のつけようもありませんが残念ながら腰砕けの結末の作品が多く、特に「『第四の拷問』」のトリックに至っては唖然とさせられました。世評の高い「釘と鎮魂歌」も謎の演出は見事ですが使われているトリックは(ネタバレ防止のため詳細を書きませんが)当時でも使い古しのトリックで感心できません。まずまずの出来なのはトリックに無理のない「古写本の呪い」あたりでしょうか。なお最後に置かれた「最後の取引」は非ミステリー作品です(絶対最後に読むこと)。ミステリー作品が合理的な解決になっているのに対してこの作品のみ合理的でも論理的でもない理由に基づく結末を迎えているのがとても異色です。空さんのご講評に私も同調します。これはなぜ書かれたのだろう?【追記】その後キングは4作のタラントシリーズ短編を書き、エドワード・D・ホックが2003年にこの4作を追加した全12作の完全版を出版しています。なぜか創元推理文庫版は日本独自編集にこだわってホックの序文を除外したり作品収録順を変えたりしています。この4作の中の「危険なタリスマン」(1951年)が「最後の取引」の後日談の設定なのですが、謎解きに集中するためなのかもしれませんが後日談としては肩透かしな内容でした。 |
No.2 | 6点 | kanamori | |
(2010/08/31 20:09登録) ミステリ連作短編集。 超常現象的な不可解な謎・不可能トリックが多用されていて、そこそこ楽しめました。また、レギュラー・メンバーが固定されていて、作品ごとに人間模様が変化していく所も面白い。 収録作の中では、古写本の消失トリックもの「古写本の呪い」、マリー・セレスト号事件に挑戦したような「第四の拷問」が印象に残るパズラー作品。「最後の取引」は、賛否が分かれるかもしれませんが、それまでのホラー要素の作品があってこそで、連作を締めくくる手法としてアリだと思いました。 |
No.1 | 5点 | 空 | |
(2008/12/15 22:12登録) 全体的に話自体もトリックも、なんとなく堅苦しい印象を受けました。同時代の巨匠たちの短編はそんなことはないので、古い作品だからというわけでもないでしょう。 密室トリックとしては珍しいパターン「釘と鎮魂曲」、ぞっとさせる真相(科学的にはあり得ませんが)の「第四の拷問」、いかにもの不可能犯罪「消えた竪琴」あたりが楽しめました。最後の「最後の取引」は全くミステリではなく超自然的なテーマを扱っていて、小説としては悪くないのですが、このような連作短編集の最後に入れるべき作品であったかどうか、疑問は残ります。 |