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ミステリの祭典

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ビロードの爪
ペリイ・メイスン

作家 E・S・ガードナー
出版日1954年11月
平均点6.00点
書評数7人

No.7 7点 弾十六
(2018/10/27 11:22登録)
ペリーファン評価★★★★☆
1933年3月出版。ペリー メイスン第1話。
弁護士が行動派探偵という設定は先行例があったのでしょうか?開始早々にパンチを繰り出す荒ぶる弁護士、それが初期ペリーです。デラはapproximately twenty sevenで、シリーズ唯一ちょっとだけ生い立ちが語られます。デラのセリフでI've known you [Mason] for five years (...) Some of your clients got hung. ということはメイスンは無敗ではなかった?今作ではメイスンの無茶な行動は控えめですが、依頼人に翻弄されながらも上手く切り抜ける姿が見もの。法廷場面はありません。ところで私が見た原文では、デラの人物紹介がDella Street – who was a faithful Girl Friday (also Sunday and Monday, if not quite always).となっていました。(正しい意味がよく判りません…)
銃は32口径コルト・オートマチック、シリアル127337が登場。シリアルから判断すると1912年製のM1903 Pocket Hammerless, Type IIIだと思われます。
ところで原文にはロサンジェルスもカリフォルニアも出てきません。(いつ明示されたかは、その作品の評に書くことにします)

No.6 7点 nukkam
(2016/08/27 07:08登録)
(ネタバレなしです) 米国のE・S・ガードナー(1889-1970)は130冊以上の作品を残した大変な多作家です。350冊以上のカーター・ブラウン、400冊以上のジョルジュ・シムノン、550冊とも600冊ともいわれるジョン・クリーシーなどの怪物的作家もいますけど、ガードナーはほとんどの作品が国内に翻訳紹介されているのが凄いです。82冊も書かれた弁護士ペリイ・メイスンシリーズは依頼人のためには権力にも屈しない姿勢と行動力が描かれてハードボイルド風な要素もありますが過激な暴力シーンやエログロシーンはなく、本格派推理小説の謎解きの面白さも楽しめることが幅広い人気の秘密だと思います。1933年発表の本書は記念すべきシリーズ第1作です。第1作ゆえかメイスンと秘書のデラの信頼関係は後年の作品群と比べると微妙な距離感がありますね。どんでん返しの逆転がシリーズ通じての特徴の一つですが本書は特に印象的、あそこまで決定的だと思われる容疑にまさかあんなひっくり返し方があるのかとびっくりしました。

No.5 7点 ロマン
(2015/10/24 23:07登録)
ペリイ・メイスンのシリーズ一作目。ロスに事務所を置き、美人秘書のデラ・ストリートと共に依頼人のためなら、違法すれすれの手段をとってでも闘う行動派弁護士。このシリーズの特徴に、人間的に好きになれないタイプの依頼人が多く、周りの人達は有罪を決めつけている中で、ひたすら論理的に無罪を勝ち取って行く。そう言う意味で、今回の依頼人は最初にして最高に嫌な依頼人だ。ビロードの爪とは、美しい人妻の見た目と攻撃手段を隠し持っている処から想像がつくと思う。シリーズを通してのメイスンの弁護姿勢が、分かる作品。

No.4 3点 斎藤警部
(2015/07/06 19:03登録)
どうも自分とは肌が合わないと憂いつつ、その題名の面白さに惹かれ、思い出した頃にまたリトライしてみるこの作家。 この第一作、またしてもダメだった。。 それなりに読めるけどイマイチ、ってのではなく、ズバリ面白くなかったな。。 それでも最悪とは程遠い。

No.3 5点
(2014/06/08 16:08登録)
内容は全く記憶になかった作品ですが、再読してみると、シリーズ第1作らしく、ペリー・メイスンが弁護士としての自分の信念を語るところがかなりあります。他の作品でも自分を闘士だと言うことはあるのですが、これほど闘志をむき出しにして、人をぶんなぐることまでする(話の展開としては意味のないところで)のは、他に思い当りません。
タイトルはデラが依頼人を評した言葉で、その嫌な性格がりゅうさんも書かれているようにうまく活かされています。ストーリーは快調ですし、読み終えてみると彼女の言動に説得力があるのは高く評価したいのですが、実はメイスンの最後の推理には矛盾点があります。手がかりの一つ、読者の記憶にもはっきり残る方が、犯人の行動を辿ってみればあり得ないことがわかります。凶器について指紋が全く問題にされていないのも、論理的には不満なところです。

No.2 7点 りゅう
(2012/01/10 20:08登録)
 ペリー・メイスンシリーズの最初の作品。メイスンは血気盛んで、ハードボイルド弁護士といった感じです。それにしてもとんでもない依頼人です。大嘘つきで、男性の前では弱々しそうに見せながら、影では舌を出してアカンベをしているような女性が依頼人です。挙句の果てには、メイスンが犯人であるかのような供述までします。この依頼人の嫌らしいキャラクターが真相にうまく活かされています。メイスンはこの依頼人を見捨てることなく、様々な策略をめぐらしながら不利な状況を突破していきます。残り60ページぐらいを残してほぼ大勢が決したかのように思わせますが、最後の捻りにはなるほどと唸らされました。謎解きの要素は薄いのですが、2つの事柄の違和感からのメイスンの推理は鮮やかでした。

No.1 6点 kanamori
(2010/09/03 18:56登録)
80冊以上書かれたペリー・メイスン弁護士シリーズの第1作。
このシリーズはあまり読んでないのですが、少なくとも本書のメイスンは思っていたより熱血漢でハードボイルド的なところがあったのが意外でしたね。
本書は、法廷ミステリの趣向がないのが物足りないですが、そこそこのどんでん返しがあり楽しめました。

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