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ミステリの祭典

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探偵術教えます

作家 パーシヴァル・ワイルド
出版日2002年11月
平均点6.00点
書評数3人

No.3 5点 E-BANKER
(2021/04/29 22:21登録)
~お屋敷付の運転手モーランは通信教育の探偵講座を受講中。気分はすっかり名探偵の彼は、習い覚えた探偵術を試してみたくてたまらない。ところが、シロウト探偵の暴走が毎回とんでもない騒動を引き起こすユーモア・ミステリ連作集~
米EQMM誌に1943年から1947年まで掲載された後、同年に作品化されたもの。

①「P.モーランの尾行術」=実に不親切な通信講座とモーランのやり取りから始まり、実際の事件発生⇒何だかんだあってなぜか解決、という本作の道筋が示される初っ端の作品。途中が・・・よく分からん。
②「P.モーランの推理法」=作中ではなぜかモーランは「推理」ではなく、「論理」「論理」と間違い続ける。でもラストのどんでん返しっていうか、「結果オーライ」の展開がなかなか楽しい。
③「P.モーランと放火犯」=これまたドタバタ劇(死語?)が展開される第3編。なのだが、やはり最後は上手い具合に解決してしまうモーラン。結局、犯人は何をやりたかったのかイマイチ不明。
④「P.モーランのホテル探偵」=ホテル付の探偵として臨時に雇われることとなったモーランに再びドタバタ劇が巻き起こる。これもよく分からなかったんだけど、最後にはなぜか解決してた! なぜ?
⑤「P.モーランと脅迫状」=町の教会に届いた1通の脅迫状を巡る探偵譚。当然、誰がなぜ出したのかが問題になるわけで・・・。そんなこんなでモーランのああでもないこうでもない推理が展開される。
⑥「P.モーランと消えたダイヤモンド」=大勢の人の目の前で忽然と消えたダイヤモンド。今回モーランの助手役となる女性=マリリンは有名ミステリー作家たちの作品を参考に謎を解こうとするのだが、それが間違いの始まり。迷走に告ぐ迷走で、依頼人は何とかモーランたちの暴走を止めようとする。ハチャメチャ。
⑦「P.モーラン、指紋の専門家」=これはラストのツイストが効いた最終譚。まさか通信講座のやり取りが最後になって効いてくるとは・・・

以上7編。
これって、やっぱり「ユーモア・ミステリー」なんだろうな。ユーモアという言葉自体死語だけど、アメリカンジョークみたいな雰囲気の「ユーモア」を読ませられても、なかなか大爆笑というわけにはいかなかった。
ただ、さすがに筆達者な作者だけあって、なかなか小気味いいプロットではある。

通信講座を巡るやり取りもなかなか。モーランが単語の間違いを連発していた前半。後半はなんと講師役の主任警部までも綴りを間違うことに・・・。こんなこともアメリカン・ジョーク?

No.2 8点 mini
(2012/11/27 09:55登録)
ちょっと怪我で入院している間に芸能界から忘れられるんじゃないかとスギちゃん心配してたぜぇ~、退院後も頑張るぜぇ~
栞代わりに本に付いてる紐を引きちぎってやったぜぇ~、でもどこまで読んだか分からないから紙の栞を挟んでるぜぇ~
ワイルドだろぉ~

ワイルドと言えば「探偵術教えます」も有るぜぇ~、作者晩年の連作短編集だぜぇ~、でも相変わらずらしさが出てるぜぇ~
通信教育探偵て事はエリス・パーカー・バトラーの「ファイロ・ガッブ」の後継作品だぜぇ~、先駆と言う意味では負けるけど面白さでは上回ってるぜぇ~
流石ワイルドだろぉ~
特に翻訳者の巴妙子さんの訳は【実才】的に工夫されてるぜぇ~、【官能】的ドライブには笑ったぜぇ~、巴さん自身も笑いながら訳したんじゃないかとスギちゃんも【論理】しちゃったぜぇ~
ただ1つだけ不満なのは題名だぜぇ~、原題通りに『通信教育探偵P・モーラン』としておけば国書刊行会の「通信教育探偵ファイロ・ガッブ」と対になったのに、題名の付け方が平凡になっちゃった印象だぜぇ~
まぁ晶文社「探偵術教えます」の方が刊行が先だったから仕方ないんだろが、将来文庫化した時は題名を変更して欲しいぜぇ~

ところで論創のTwitterでワイルドのミステリー第1作への刊行要望出してる人が居たぜぇ~
どうせ”雪の山荘テーマ”ってのが興味惹いたんだろうぜぇ~
でもその人が期待するような一般的なCCものみたいな感じじゃないんじゃないかと思うぜぇ~
だって作者がワイルドだろぉ~

No.1 5点 kanamori
(2010/09/02 18:09登録)
通信教育探偵もののユーモア連作ミステリ。
探偵を目指すお抱え運転手モーランが、通信教育で学んだ探偵テクニックを実践する段階で起す騒動を、教育担当の主任警部との往復書簡の形式で描いています。
なかでは、「モーランと消えたダイヤモンド」が、過去の消失トリックを扱った探偵小説のパロディとモーランの暴走ぶりが楽しい。

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