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ミステリの祭典

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kanamoriさんの登録情報
平均点:5.88点 書評数:2429件

プロフィール| 書評

No.1169 5点 夜宴―美少女代理探偵の殺人ファイル
愛川晶
(2010/09/19 15:11登録)
美少女代理探偵・根津愛シリーズの長編第1作。
扼殺死体が運転する車が高速道路から墜落。比較的長尺の物語をこの一つの不可能状況のみで引っ張っているのは結構キツイものがあります。ノベルズ版では解決編の部分を袋とじにしていますが、パズラーの趣向というより図解が読者の目に入らない配慮のようです。力技のトリックに対して、実際の事例を提示しての説明がくどいのは逆効果のような気がします。


No.1168 5点 ミスター・ディアボロ
アントニー・レジューン
(2010/09/18 16:51登録)
シルクハットにマントの謎の怪人、閉鎖空間からの人間消失に密室殺人と、前半部で立て続けにカーもどきの派手な展開を見せてくれますが、中盤以降は失速ぎみで、真相も分かりやすくやや拍子抜けでした。
しかし、よくこんなマニアックな本格ミステリを捜してくるなあと、扶桑社文庫には感心。よって採点にプラス1点。


No.1167 5点 シェルター終末の殺人
三津田信三
(2010/09/18 16:32登録)
三津田信三シリーズの番外編。
核爆発と同時に核シェルターに閉じ込められた作家の三津田ら見学者6名内に発生する連続殺人、そして・・・誰もいなくなった。
途中までサスペンス・ミステリとして面白く読めたが、もともとメタ・ミステリと分かっていても、この結末には壁本扱いされてもしょうがないでしょう。


No.1166 5点 ウルフ連続殺人
ウィリアム・L・デアンドリア
(2010/09/17 18:58登録)
「ホッグ連続殺人」に続く素人探偵ベイネデイッティ教授シリーズの第2作。
アルプス山中で開かれた国際的科学者集会を舞台にした連続殺人を描いていて、前作とは一転、非常にオーソドックスな本格ミステリになっています。
「ホッグ」のアイデアがあまりにもユニークだったため、本書は凡庸に感じてしまいますが、ていねいに伏線が張られていて、巷で言われるほど酷い出来とは思いません。まあ、現代のパズラーで狼男をネタに使うというのはどうかと思いますが。
少なくとも、残る未訳のシリーズ第3作を読んでみたい気にはなりました。


No.1165 7点 黒白の囮
高木彬光
(2010/09/17 18:30登録)
近松検事シリーズの第2長編。
前作はどちらかというと脇役に甘んじていた近松だが、本書は堂々の(といっても登場は物語の半ばから)名探偵ぶりでした。
ダミーの犯人にアリバイトリックを誘導させる手際とか、証拠を提示するタイミングなど偶然の多用が気になりますが、被疑者が二転三転するプロットは楽しめた。
ネタバレになるが、弁護士が張りきりすぎて、結果的に依頼人である真犯人を追い詰める決め手を提示してしまうという結末が皮肉に満ちていて面白い。


No.1164 7点 悪魔の涙
ジェフリー・ディーヴァー
(2010/09/16 19:24登録)
首都ワシントンを人質にしたタイムリミット・サスペンス。主人公が筆跡鑑定士というヒネリがはいっていても、基本的にリンカーン・ライムシリーズと同じジェットコースター・サスペンスで、最後の最後までどんでん返しで読者を翻弄してくれてます。
ライムやアメリア・サックスの特別出演ありの読者サービスというか”何でもサーガ症候群”は、コナリーともども米国人気作家の流行りなんだろうか?


No.1163 5点 浅草殺人案内
中町信
(2010/09/16 17:33登録)
東京下町の鮨屋・山内鬼一が探偵役を務めるシリーズ第1弾。
莫大な遺産相続を巡って3人の相続人が次々と殺されていくというお話。いくら被害者と面識があって担当警部と同級生だったといえ、単なる寿司屋の主人がそこまで捜査に突っ込めないだろうとか、”浅草のミス・マープル”こと鬼一の母親タツのあのキャラはどうなんだろうとか、例によってツッコミどころが多く楽しめた。


No.1162 6点 カナリヤの爪
E・S・ガードナー
(2010/09/15 17:59登録)
前作「どもりの主教」のエピローグで予告されていた「びっこのカナリヤ」事件。
依頼人女性の姉夫婦の家で発見された死体と、同時期に近所で発生した交通事故がどう結びつくのかがメインの謎で、お得意のトリックで意外な真相を見せてくれてます。カナリヤの爪はほとんど本筋と関係ありませんが。
最後に世界一周旅行に旅立つ船上で、メイスンが秘書のデラ・ストリートにプロポーズしますが、デラの返事とその理由がなかなかふるっています。


No.1161 6点 秋に墓標を
大沢在昌
(2010/09/15 17:45登録)
都会生活を捨て外房・勝浦で釣りをしながら気ままに暮らす男の前に、謎の女性が現れやがて失踪する。複数の組織の影を感じながら、その女性を追う主人公をしっとりとした文章で描いたハードボイルド。
「新宿鮫」などの派手なハードアクションものではありませんが、最近はこのようなゆったりと展開する物語が妙に読み心地よく感じる。


No.1160 6点 ホッグズ・バックの怪事件
F・W・クロフツ
(2010/09/14 17:57登録)
田舎に隠退した医者とその関係者が次々と失踪する事件にフレンチ警部が捜査に乗り出します。地元警察の自転車を借りて聞き込みに奔走するフレンチは、田園ミステリの趣があって新鮮な感覚がありました。
終盤の2章を使ったフレンチの謎解きがなかなか圧巻。推理の開陳場面では、小説のどのページに伏線が張られていたかという数十箇所の注釈付きという凝りようです。ただ、文庫の表紙絵はある人物の関与をあからさまに示唆するもので、アリバイ崩しが主とはいえフーダニットの興味を削ぐものになっています。


No.1159 6点 模像殺人事件
佐々木俊介
(2010/09/14 17:42登録)
山奥で道に迷いある屋敷に辿りつく探偵小説作家、顔を包帯で隠した二人の男の真贋問題、その物語を手記にして謎を解く構成など、扱われているガシェットは横溝正史や三津田信三を髣髴させるはずですが、淡々と煽りのない展開は全く異質な味わいがありました。
ミステリとしての本質の謎が何なのか解らないまま進展するプロットは読者を選びそうです。屋敷に住む人々の造形が書き込み不足なのですが、これは仕掛け上やむを得ないのかもしれません。


No.1158 6点 法廷外裁判
ヘンリー・セシル
(2010/09/13 18:39登録)
デビュー作「メルトン先生の犯罪学演習」で知られるヘンリー・セシルは、判事を務めながら余技的にミステリを書いていたようで、作品のほとんどが法廷ものです。
本書は、殺人容疑で終身刑を言い渡された主人公が脱獄し、判事や弁護士、事件関係者を監禁して私的に裁判をやり直しさせるというプロット。
訳文が古いのが玉に瑕ですが、嘘を吐いたことがないという主人公の設定が効いていて、洒脱で皮肉な真相が面白い。


No.1157 4点 『夢見』の密室
小森健太朗
(2010/09/13 18:25登録)
古代文明ミステリーファイルの第?弾。
エジプト、バビロニアなどを題材にしてきた当シリーズ、今回はマヤ文明ですが、歴史ミステリ的な趣向は一切なく、マヤ終末予言に関わる宗教団体を舞台背景にして、密室殺人をシリーズ探偵・星野君江が謎解くというストーリー。
ごく普通の本格ミステリになっていて期待はずれでした。宗教団体の施設が山梨山中にあるのは退いてしまいます。


No.1156 6点 呪い
ボアロー&ナルスジャック
(2010/09/12 14:58登録)
主要登場人物は、獣医夫婦と近くの島に住むアフリカ帰りの女の3人だけですので、ミステリ的な仕掛けは予想の範囲内ですが、二人の女性の間で揺れ動く獣医の心情描写とアフリカの呪術への恐怖心理でサスペンスを盛り上げていて面白く読めました。
満潮時には島へ渡る道が水没する趣向など、フランス映画を見るような目に浮かぶ舞台設定も秀逸です。


No.1155 5点 収穫祭
西澤保彦
(2010/09/12 12:24登録)
単行本二段組みで600ページを超える大作ですが、その分量に見合うほどの満足感は得られなかった。
30年近く前の台風の最中、ある村の一地区で起こった数家族の大量惨殺事件を、発見者である中学生少年の視点で描いた第1部まではよかった。ダークで性的雰囲気も漂うテイストで、作者のもう一つの持ち味が出ていると思う。
しかし、中盤以降失速してしまう。部分的記憶喪失というご都合主義の設定と”信頼のおけない語り手”の物語は、ミステリを読みなれていれば真相が透けて見えてきます。竜頭蛇尾に終わった惜しい作品。


No.1154 6点 聖アンセルム923号室
コーネル・ウールリッチ
(2010/09/11 23:00登録)
ウールリッチは長らく母親とともにホテル暮らしをしていて、そのホテルの一室に献辞をした作品もあったと記憶していますが、本書はホテルの一室自体が主人公のようなオムニバス短編集です。
19世紀末から20世紀半ば過ぎまでの60年間あまりの間、その部屋を利用した様々な人々の悲喜劇が綴られていて、ミステリ趣向はないものの、余韻が残る物語に溢れています。特に第1話と繋がる最終話のエピソードには参りました。さすが、ウールリッチです。


No.1153 7点 百舌の叫ぶ夜
逢坂剛
(2010/09/11 22:16登録)
公安警察VS百舌シリーズの第1弾。
組織暴力団、公安側ともにどこかダークな雰囲気が漂う人物達を配し、人間関係が複雑に絡み合うことで弩級のサスペンスを醸し出しており、最後の仕掛けも大いに楽しめた。
主要人物がバッタバッタと退場していって、シリーズ2作目以降は搾りかすのようになってしまいましたが。


No.1152 7点 災厄の紳士
D・M・ディヴァイン
(2010/09/11 15:06登録)
ディヴァイン後期の作品ですが、相変わらず人物造形を逆手にとったミスディレクションが巧妙で、読者の目を真犯人に向けないように構成されています。前半のジゴロ青年視点の倒叙形式から、一転してフーダニットに変わるプロット自体が仕掛けになっているなど騙しのテクニックは面白く読めました。
初期作ほど物語に深みがなく、後半の構図は「こわされた少年」とダブるなどの不満もありますが、まずまずの佳作だと思います。


No.1151 8点 国境
黒川博行
(2010/09/11 14:28登録)
ノワール風でありながら軽妙な語り口のクライム小説、二宮&桑原コンビの「疫病神」シリーズ第2弾。
北朝鮮に潜入する日本の極道、もうその設定だけで面白さは保障されてます。国境の凍結した川を渡るシーンなど、並みの冒険小説顔負けの緊迫感でありました。
しかし、将軍様のことを「あのパーマ・デブ」なんて言っちゃって大丈夫なのか?


No.1150 5点 泥棒が1ダース
ドナルド・E・ウェストレイク
(2010/09/10 21:01登録)
不運な泥棒・ドートマンダーシリーズの短編集。タイトルは「1ダース」ながら収録作はなぜか11編です。
完璧な犯罪プランのはずが、予想外の事態が発生して、とんでもないドタバタ劇に発展していくというのが長編の黄金パターンですが、短編だと無理な部分があるため多少物足りない作品が目立ちました。
それでも、「悪党どもが多すぎる」は長編さながらで、銀行の金庫に忍び込んだドートマンダーに待っていた不運は爆笑もの。編中では抜群に面白かった。

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