home

ミステリの祭典

login
泥棒が1ダース
泥棒ドートマンダー

作家 ドナルド・E・ウェストレイク
出版日2009年08月
平均点5.00点
書評数2人

No.2 5点 E-BANKER
(2012/06/27 22:04登録)
作者の代表的キャラクター、泥棒のドートマンダー氏が活躍する作品集。
ハヤカワ・ミステリの「現代短編の名手たち」シリーズで読了。

①「愚かな質問には」=妻を騙して渡した“偽物の”ブロンズ像を巡ったトラブルに巻き込まれたドートマンダー氏。帰るはずのない時間に帰ってきた妻にバッタリ出くわしピンチに陥るが・・・
②「馬鹿笑い」=牧場からのサラブレッド強奪に協力するハメになったドートマンダー氏。しかし、相手は人間の意志が通じない「ケモノ」たちで、ついには隣の果樹園を巻き込んだ大騒動が起こってしまう・・・
③「悪党どもが多すぎる」=銀行強盗に入ろうと地下金庫に大穴を開けたドートマンダー氏と相棒。しかし、何とその銀行にはすでに別の銀行強盗が押し入っていた・・・。これはなかなか面白いプロット。
④「真夏の日の夢」=NYから逃げ出したドートマンダー氏が匿われたのが田舎の芝居小屋。しかし、そこで売上金強盗が出没し、その容疑者にされてしまう・・・。
⑤「ドートマンダーのワークアウト」=なぜかショート・ショート。
⑥「パーティー族」=盗みに入ったパーティー会場で、警察が押し入ってくるピンチ・・・。とっさにドートマンダー氏の取った行動は、ウェイターへの変身。
⑦「泥棒はカモである」=警察からの追っ手を撒くため逃げ込んだポーカー台。ところが、そこにも警察がやってきてさらなる大ピンチに陥る・・・。ラストはなかなかヒネリが効いてる。(まさに「カモ」)
⑧「雑貨特売市」=ドートマンダー氏の商売仲間・アーニーの自宅で起こった騒動。大量のテレビをアーニー氏に売り付けようとした男女二人組には思わぬ秘密が・・・(そうきたか!)
⑨「今度は何だ」=ダイヤを盗んだはいいが、それを運ぶのに悪戦苦闘するドートマンダー氏。地下鉄やらタクシーやら利用する交通機関ごとに“たいへんな目に合う”ことに・・・特にラストは笑ってしまった。
⑩「芸術的な窃盗」=昔の泥棒仲間が足を洗い、画家の道へ。そして個展を開いているというその男からある仕事を依頼されるドートマンダー氏。だが、そこはやっぱり一筋縄にはいかないわけで・・・
⑪「悪党どものフーガ」=これだけはドートマンダーではなく、ラムジーを主人公とした作品。よく分からなかったが・・・

以上11編+作品紹介の序文あり。
作品のプロットとしては、スマートな泥棒であるはずのドートマンダー氏が、依頼人や相棒たちの不手際によりピンチに陥り、ラストには解決・・・ということでほぼ共通。
アメリカンジョークっぽく「ニヤッ」と笑える作品も多く、さすがに「名手」という気もするが、個人的には好きなタイプではなかった。
(ウェールズ系の「ディダムズ」ネタで何回も笑わせようとしているが、アメリカ人には「ツボ」なのだろうか?)

No.1 5点 kanamori
(2010/09/10 21:01登録)
不運な泥棒・ドートマンダーシリーズの短編集。タイトルは「1ダース」ながら収録作はなぜか11編です。
完璧な犯罪プランのはずが、予想外の事態が発生して、とんでもないドタバタ劇に発展していくというのが長編の黄金パターンですが、短編だと無理な部分があるため多少物足りない作品が目立ちました。
それでも、「悪党どもが多すぎる」は長編さながらで、銀行の金庫に忍び込んだドートマンダーに待っていた不運は爆笑もの。編中では抜群に面白かった。

2レコード表示中です 書評