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ミステリの祭典

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法廷外裁判

作家 ヘンリー・セシル
出版日1960年01月
平均点5.50点
書評数2人

No.2 5点 クリスティ再読
(2025/04/01 21:18登録)
苦手感の強いヘンリー・セシル。でも昔読んだこともあるから、再読リストに載っている。終身刑の判決を受けた主人公が、脱獄して判事の家を占拠して、関係者をすべて招集して裁判をやり直す話。クイーンの「ガラスの村」に近いけど、あれほど無茶苦茶裁判ではない(クイーンはいろいろ狙ってムチャしているのが凄い)。

で評者の苦手感の理由は、やはりこの人のユーモアセンスが評者にはまったく合わないんだな。笑わせるところで全然おかしくない。だからか戦前派作家だと思ってたのだが、実は戦後デビュー。本作も1959年作品。まあ、生まれは1902年で弁護士生活を経て40代なかばに「メルトン先生」で作家デビュー。1977年まで作品を出しているよ。

でミステリとしては、この私的裁判でのポイントは細かいものだが、これはまあまあか。しかし、大枠の真相は何か馬鹿にされたような気にもなる。「嘘アレルギー」というお笑い込みのポイントを生かしている、といえばそうなのかもしれないが...

まああと「判事に保釈なし」はやる予定。

No.1 6点 kanamori
(2010/09/13 18:39登録)
デビュー作「メルトン先生の犯罪学演習」で知られるヘンリー・セシルは、判事を務めながら余技的にミステリを書いていたようで、作品のほとんどが法廷ものです。
本書は、殺人容疑で終身刑を言い渡された主人公が脱獄し、判事や弁護士、事件関係者を監禁して私的に裁判をやり直しさせるというプロット。
訳文が古いのが玉に瑕ですが、嘘を吐いたことがないという主人公の設定が効いていて、洒脱で皮肉な真相が面白い。

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