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ミステリの祭典

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kanamoriさんの登録情報
平均点:5.89点 書評数:2432件

プロフィール| 書評

No.312 5点 神南署安積班
今野敏
(2010/05/16 22:28登録)
東京ベイエリア分署・安積班シリーズの連作短編集。
とはいうものの、一旦安積班の面々が渋谷と原宿に挟まれた神南署に引越していた時期の作品集。何故か交通機動隊の速水もいっしょに異動しています(笑)。
署が変わっても内容は従来通りで、パターン化された刑事たちの活躍が楽しめました。
なかでは、須田刑事の個性が最大限に炸裂する「ツキ」が爆笑必至です。


No.311 7点 異郷の帆
多岐川恭
(2010/05/16 21:46登録)
江戸時代末期の長崎出島を舞台背景にした時代ミステリ。
オランダ語通詞の青年を主人公とした、密室状況の出島内の殺人と消えた凶器の謎を核とする本格ミステリですが、転びキリシタンなどを絡めた青春小説の趣もあります。
当時のエキゾチックな出島の情景が瑞々しい文体で描かれていて、非常に読み心地のいいミステリでした。


No.310 5点 高校殺人事件
松本清張
(2010/05/16 18:44登録)
高校生向け学習雑誌に「赤い月」のタイトルで掲載されたジュブナイル系ミステリ。
東京郊外の高校裏の沼で男子高校生が惨殺された事件を級友グループが解決に乗り出すというストーリーですが、高校生の一人称で語られる文章が重厚で格調高いのが笑える。ジュブナイルなのに、清張節はそのままでした。


No.309 6点 女王陛下のアルバイト探偵(アイ)
大沢在昌
(2010/05/16 18:28登録)
不良中年私立探偵とその息子の高校生・冴木隆が主役を張る軽ハードボイルド、シリーズの第3弾(長編としては第1弾)。
「このミス」88年版国内部門第15位、9点獲得(笑)。
六本木を中心としたアクションものだったのが、スケールが段々大きく国際的陰謀ものになってきて、今回は東南アジア某国の女王の護衛がお仕事。
お気軽で破天荒なアクションもので、サクサク読めるので楽しめました。


No.308 8点 ベルリン飛行指令
佐々木譲
(2010/05/16 18:05登録)
第二次大戦秘話三部作の第1作。
シリーズいずれも海軍省書記官・山脇の目線で描かれている傑作冒険小説です。世評では第2作の評価が高いと思いますが、最初に読んだ本作が印象に残っています。
ナチス・ドイツまでのゼロ戦の長距離飛行作戦が主題ですが、今作の主役・日米混血のパイロット安藤のストイックで正義感が強い時代遅れの男という人物造形が魅力的です。
日本を飛び立った後の冒険譚より、むしろ計画段階における山脇や安藤そして彼の妹などが絡む多彩な人間ドラマが面白かった。


No.307 6点 ダイナマイト円舞曲(ワルツ)
小泉喜美子
(2010/05/15 17:02登録)
地中海の架空の王国を舞台にした陰謀ミステリ。デビュー作から10年後に出版された長編第2作です。
国王の9番目の王妃と留学先で知り合いだった主人公女性の一人称で物語が綴られていきますが、一種メルヘンチックな雰囲気を醸し出しながら、サスペンス溢れる陰謀譚が描かれています。
王国の秘密とか不可解な出来事の真相はあまり独創的とは言えないですし、衝撃度はデビュー作ほどのものではありませんが、社会派全盛の時代に、このような洒落たミステリを書くこと自体非凡なセンスを感じました。


No.306 5点 しのびよる月
逢坂剛
(2010/05/15 16:26登録)
御茶ノ水警察署の斉木&梢田コンビのユーモア連作警察小説、シリーズ第1弾。
小学生時代の同級生でいじめっ子、いじめられっ子の関係にあった二人が、同じ警察署で上司部下の立場が逆転というシチュエーション・コメデイの設定が面白い。まあ、気軽に読めるのがなによりです。


No.305 5点 五つの標的
山田正紀
(2010/05/15 16:11登録)
「贋作ゲーム」同様に犯罪をゲーム感覚で描いたクライム・ミステリ短編集。
東京の地下鉄網を舞台に現金輸送車襲撃犯と捜査陣とのストレートで息詰まる追跡戦「地下鉄ゲーム」がベスト。
大地震の噂をコントロールする男「ひびわれた海」の予想外の結末も印象に残りました。


No.304 5点 赤い熱い海
佐野洋
(2010/05/15 15:53登録)
函館沖で墜落した航空機から消えた会社役員の謎。
複数の探偵事務所調査員の視点で、事件の真相解明の過程が描かれている点はなかなか面白く、そこに仕掛けがあるのも巧妙だと思いましたが、意外性を追求するあまり犯人の動機がどう見ても不自然になってしまったのは惜しい。


No.303 5点 帰らざる夜
三好徹
(2010/05/15 15:35登録)
犯人当て懸賞小説として新聞に連載された長編ミステリ。
失踪した新妻の行方を追う主人公という設定は、著者自身の「消えた蜜月」の男女裏返し版でもあり、いくつかの社会派ミステリで既読感のあるプロットですが、プロ野球選手の愛人殺し発生後に、妻をめぐる人間関係が錯綜してきてから本格ミステリの様相を呈します。
地名誤認トリックはともかく電話アリバイトリックはあまり感心できませんし、犯人の動機も納得いくものとは思えませんでした。


No.302 8点 山猫の夏
船戸与一
(2010/05/14 21:00登録)
<南米三部作>の第1作。
二つの旧家が対立するブラジル辺境の町を舞台にしたハード活劇小説。
突如現れた謎の日本人・山猫<オセロット>が触媒となって血と汗が迸る壮絶な戦いが勃発するという大筋のプロットは「赤い収穫」へのオマージュだと思いますが、山猫の助手を務めさせられる語り手の日本人バーテンダーの再生の物語でもあります。
山猫の隠された目的なども面白く、エンタテイメントに徹した傑作冒険小説でした。


No.301 6点 遥かなりわが愛を
笹沢左保
(2010/05/14 20:24登録)
警視庁・伊勢波警部シリーズ第1作。
作者の作風の特徴は甘くて暗めのロマンと本格トリックを合わせ持つ所だと思いますが、当シリーズは歴史ミステリの趣向が加味されています。
高野長英の曾孫と称する男からの殺人予告によって幕を開ける正統派のアリバイ崩しで、トリックは単純ながらなかなかのもの。探偵自身がアリバイの証言者という趣向も面白かった。


No.300 6点 長安日記
陳舜臣
(2010/05/14 18:50登録)
玄宗皇帝治世の長安を時代背景に、謎の日本人・賀望東が探偵役を務める連作ミステリ短編集。
エキゾチックな国際都市・長安の雰囲気がいかにも風で興味深く読めるうえに、密室殺人などの不可能トリックが満載されています。各編あっさり解決するのが物足りないですが、まずまず面白く読めました。


No.299 4点 火の路
松本清張
(2010/05/14 18:33登録)
女性考古学研究者を主人公にした、奈良・飛鳥村の巨石遺跡の謎と隠退した考古学者の過去が交錯するミステリ巨編。
大学の派閥争いや遺跡盗掘など陰謀めいた話は面白いが、核となる事件そのものがあやふやなまま、ゾロアスター教と飛鳥の関連を延々と論考するプロットには正直参りました。
結局、作者はミステリではなく、考古学論文を書きたかったのでは。


No.298 6点 鋏の記憶
今邑彩
(2010/05/14 18:06登録)
サイコメトリー(残留物感知能力)をもつ女子高生を主人公にしたミステリ連作短編集。角川ホラー文庫から出ていて設定も超常能力ものなのでホラー小説と思わせますが、本格ミステリ寄りの4編が収録されています。
どの作品もサクサク読めてよかったですが、「猫の恩返し」の真相が一番意表を突く出来でした。


No.297 7点 牡牛の柔らかな肉
連城三紀彦
(2010/05/13 19:07登録)
いわゆる悪女ものの系統に入る長編ミステリですが、物語がいったいどういう方向に向かっているのか把握できないプロットに翻弄されました。
主人公の香順尼と取巻きのダメ男たちを中心にした新興宗教もの風のクライム小説でありながら、次々と小さなどんでん返しを繰り返し、物語の様相が変化していきます。
短編のように最後の反転で驚かすタイプのミステリではありませんが、犯罪者が探偵に、逆に探偵役が犯罪者に変化したりする物語途中の構図の逆転が読みどころだと思います。


No.296 6点 赫眼
三津田信三
(2010/05/13 18:36登録)
ホラー系の短編集。
アンソロジーなどで発表済みの作品を集めた感があるラインナップですが、刀城言耶シリーズに繋がる世界のものや、三津田信三シリーズ、死相学探偵ものなどが収録されていて、氏の長編をある程度読んだ読者の方が楽しめるかと思います。
なかでは、ミステリ寄りの「灰蛾男の恐怖」がトンデモ系で印象に残りました。
実話風のショート怪談も挿入されていますが、そちらはいずれも微妙です。


No.295 5点 紅い蛾は死の予告
梶龍雄
(2010/05/12 22:47登録)
過去に一家全員が失踪した村を舞台に、その事件をテーマにした映画の撮影に来た女優が、ある事件に巻き込まれ真相究明に乗り出す話。
映画の脚本と現在の事件が交互に描かれていますが、悪い意味で読み手を混乱させています。読後にストーリーを整理して、作者が何をやりたかったか分かった次第ですが、アイデアは非常に面白いのに(のちの新本格や三津田作品に似たアイデアあり)プレゼンテーションが稚拙なため、スッキリと騙された気にならなかったです。


No.294 6点 紙の孔雀
斎藤栄
(2010/05/12 22:29登録)
作者はストーリーそのものにトリックを仕掛ける「ストリック」を提唱したとされますが、さしずめ本書とか「紅の幻影」なんかがその実践作かもしれません。
学生運動闘争中に暴行を受けた女子大生が真相を追究する話と、その父親である刑事がある殺人事件を捜査する話が並行して描かれていますが、どうも焦点が定まらない感じを受けます。
終盤近くになって、殺人事件の容疑者が台風で交通が遮断された三宅島から如何にして脱出したのかというアリバイの謎が提示され、やっと本格ミステリの様相になったと思ったとたん、予想外の展開が待っていました。
父親の捜査状況の描写など微妙でアンフェアと言われかねないのと、時代性を感じる大学紛争の話が冗長に感じましたが、意外な結末については楽しめました。


No.293 7点 あやかし砂絵
都筑道夫
(2010/05/11 21:44登録)
なめくじ長屋捕物さわぎシリーズ第4弾。
発端の不可解な謎の提示は、過去のシリーズ同様に魅力的ですが、解釈にやや捻りが不足するものが目立つように思いました。
なかでは、絵に描いた虎が人を喰い殺す「人喰い屏風」が謎の突飛な所がずば抜けています。動機の隠蔽もなかなかでホワイダニットの秀作だと思います。

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