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ミステリの祭典

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kanamoriさんの登録情報
平均点:5.89点 書評数:2432件

プロフィール| 書評

No.412 6点 神国崩壊
獅子宮敏彦
(2010/06/02 18:20登録)
中国を模した架空の王朝を舞台背景にした本格ミステリ。
入れ子構成で4つの短編が入っていて、本編よりそちらのエピソードがブラウン神父や亜愛一郎シリーズ並みの奇想に溢れていて面白かった。
城壁をすり抜ける軍隊の謎「マテンドーラの戦い」と、街一つまるまる消失させた「帝国撹乱」が印象に残りました。
文章がちょっと読みづらいのが難点ですが、この辺が解消されれば、将来楽しみな作家だと思いました。


No.411 7点 風塵地帯
三好徹
(2010/06/01 21:00登録)
インドネシアへ特派員として派遣された記者の一人称で描かれた国際謀略小説。
東南アジアを舞台とした巻き込まれ型のスパイ小説ということで、結城昌治の「ゴメスの名はゴメス」との類似性が言われるようです。リアリズムに関しては本書の方がやや劣る気がしますが、逆にエンタテイメント性が高いとも言えます。
特殊カメラの扱いなど通俗的な面もありますが、書かれた時代を考慮すれば、なかなかの傑作だと思いました。


No.410 6点 はだかの探偵
辻真先
(2010/06/01 20:28登録)
サウナ風呂の常連客・布袋老人が探偵役、可能克郎がワトソン役?を務める安楽椅子もの連作ミステリ。
旅館の屋上への墜落死体の謎にはじまり、日常の謎、ダイイングメッセージものなど、趣向の異なる謎が提示され、最後はこういったタイプの連作短編集のお約束が待っています。
飛びぬけて光った作品はありませんが、手堅くまとめた感じです。


No.409 6点 グリーン車の子供(創元推理文庫版)
戸板康二
(2010/06/01 18:52登録)
歌舞伎役者・中村雅楽シリーズ全集の第2弾。
「密室の鎧」とか「ラスト・シーン」という本格編もありますが、多くは日常の謎を扱った作品がそろっています。
その代表作が「グリーン車の子供」だと思いますが、真相は何か?以前の、謎は何か?を問う構成がユニークです。
この作品集は続けて読むとちょっとシンドイ面もあり、まったりと空いた時間に少しづづ読むのがいいように思います。


No.408 5点 赤い影の女
島田一男
(2010/06/01 18:28登録)
ミステリ中編2本収録されています。
表題作は男女カップルがファッション界の殺人事件に巻き込まれる話ですが、通俗ミステリそのもので駄作。タイトルも意味不明。
併録の「山荘の絞刑史」は探偵探し&犯人探しという設定が面白かった。嵐の山荘もので、強盗殺人時効寸前の主人公が宿泊人の中にまぎれこんだ警察官は誰かを推理しながら、新たに発生した殺人の犯人探しをせざるを得なくなる。よく似た設定の海外ものには劣りますが、まずまず楽しめました。


No.407 6点 悪魔はあくまで悪魔である
都筑道夫
(2010/05/31 21:31登録)
初期のショートショート系短編集(角川文庫版)。
ホラーとか恐怖小説と呼ぶのが一番近いと思いますが、単純なジャンル分けが難しい奇妙な不思議小説が19編収録されています。よくある悪魔との契約ものに捻りを利かせた表題作をはじめとして、独特の軽妙な語り口ゆえに、内容の割に恐怖感があまりないのが共通しているテイストです。


No.406 7点 公園には誰もいない
結城昌治
(2010/05/31 21:05登録)
私立探偵・真木シリーズの第2作。
失踪した売出中の女性シャンソン歌手探しが発端で、殺人事件の発見者になり、関係者への聞き込み調査と続く物語はハードボイルド小説の定番のプロットで、このマンネリ感が逆に心地いい。
本家のロス・マクと同様に意外な結末を設定しているのも高評価の一因ですが、全篇にわたって「公園には誰もいない」のメロディが流れているような暗い雰囲気創りがよかったです。


No.405 5点 繭の密室
今邑彩
(2010/05/31 20:42登録)
密室状態のマンション7階からの転落死の謎と女性誘拐事件が絡む本格ミステリ。
短めの長編で、あまりにも真っ当な本格編のため味気ない印象を受けました。シリーズ探偵の貴島刑事も個性に欠けます。
密室トリックは少々意外でしたが、現実的ではないですね。


No.404 6点
仁木悦子
(2010/05/31 18:56登録)
ミステリ短編集(講談社文庫版)。
表題作のほかに、「明るい闇」「山のふところに」「幽霊と月夜」「誘拐者たち」「うさぎと豚と人間と」の6編収録されています。
子供や社会的弱者を主人公にした陰惨な事件を描いた作品が多いですが、不思議と読後感はよかったです。
養護施設内の殺人事件に知恵遅れの子供たちが重要な役割を果たす「うさぎと豚と人間と」が一番の力作だと思います。


No.403 6点 21時間02分の密室
池田雄一
(2010/05/31 18:37登録)
大阪-札幌間を走る豪華寝台特急内を「舞台」に、個室での密室殺人に始まり謎の集団による列車ジャック、列車内の私的裁判というふうに次々と物語が展開します。
探偵役は劇団の女性脚本家とツアー添乗員ですが、登場人物の多視点で描かれた物語は全体像が見えにくくなっていて、最後に大仕掛けが炸裂するという構成です。
B級のトラベルミステリという先入観で読んでいたので、××ネタには不意を突かれました。同じ年に同じトクマノベルスから出版された超流行作家の某作とネタが被っていますが、本書のほうが少し早く出版されているようです。


No.402 5点 高すぎた代償
佐野洋
(2010/05/30 22:23登録)
長編ミステリ第2作。
連れ込み旅館経営者の未亡人とヒモ的同居人の新米私立探偵が、客室の録音テープから不審な心中事件を追っていくと・・・というストーリー。
半世紀前の作品で時代性を感じさせる情景もあり、通俗的で2時間ドラマ風ですが、これは終盤のある仕掛けに驚きました。おそらくこの手の仕掛けでは先駆的な作品といえると思います。
なお、後に同じ設定の「密会の宿」シリーズを書いていますが、主人公名など若干本書と異なるようです。


No.401 5点 初陣
今野敏
(2010/05/30 21:45登録)
隠蔽捜査シリーズ初の短編集。
「隠蔽捜査3.5」というサブタイトルからして苦笑ものですが、主人公の大森署長・竜崎という特異なキャラクターを友人の刑事部長伊丹の視点で軽妙に掘り下げていて、お笑い警察小説として充分に楽しめました。
前作「疑心」の裏話である「試練」ほか、各編とも軽めの語り口のためスラスラ読めます。


No.400 8点 あした天気にしておくれ
岡嶋二人
(2010/05/30 19:07登録)
倒叙形式で描く競走馬の狂言誘拐から、謎の介入者による身代金略取計画に変わる物語のツイストが非常に巧妙です。このような面白いプロットを書かせたら、この時代では著者が抜群のナンバーワンでしょう。
身代金略取のトリックに関して、夏樹静子の某短編との類似性とか現実的に実現不可能とかイチャモンがはいったようですが、本書の肝は倒叙ミステリとフーダニットを両立させたプロットの妙にあると思います。


No.399 5点 51番目の密室
アンソロジー(出版社編)
(2010/05/30 18:17登録)
”世界ミステリ全集・37の短編”からのセレクト第2弾。
第1弾の「天外消失」が好評だったのか、続けて出版されましたが、今回は他のアンソロジーなどで読める作品がほとんどでした。この企画が20年ほど早ければもう少し高評価でしたが。
マクロイ「燕京綺譚」やヴィカーズ「百万に一つの偶然」をはじめ、カー、ブランド、ライス、ホックなどをいまさら選定する編集方針は大いに疑問です。


No.398 6点 天外消失
アンソロジー(出版社編)
(2010/05/30 18:00登録)
伝説の選集”世界ミステリ全集第18巻・37の短編”からセレクトした傑作選。
元本の中から他のアンソロジーでも読めない作品を中心に選定したと解説にありますが、リドル・ストーリーの代名詞「女か虎か」とかF・ブラウン「後ろを見るな」なんかは、いまさら感があります。
ロースン「天外消失」は不可能トリックものが多い作者の代表作で、マジックのネタを見るよう。
エリック・アンブラー唯一の本格ミステリ「エメラルド色の空」とかバロウズ「ジャングル探偵ターザン」なんかの珍品が読めたのは収穫でした。


No.397 7点 開幕ベルは華やかに
有吉佐和子
(2010/05/29 22:47登録)
帝劇を舞台に大物女優の殺害脅迫事件を描いた劇場ミステリ。
こういったミステリは役者同士の人間関係のアヤが読みどころのひとつですが、この小説の場合は脅迫対象の女優の存在感に尽きると思います。共演男優との陰湿な駆け引きとか、2億円の要求額が少なすぎると怒りだすシーンなどで引き込まれます。
犯人の設定は、女優の人物造形からある意味分かりやすくなっていますが、サスペンスに溢れたなかなか面白いミステリに仕上がっていると思います。


No.396 3点 狐の密室
高木彬光
(2010/05/29 22:13登録)
ともにシリーズ探偵である神津恭介と大前田英策の共演作。
新興宗教の教祖の雪の密室殺人を描いていますが、密室トリックが情けないほどしょぼい上に、物語自体に斬新さがなく、まったく面白くありませんでした。
如実に筆力の衰えが表れている作品です。


No.395 5点 禁じられた手綱
佐野洋
(2010/05/29 22:02登録)
競馬騎手の義姉の誘拐事件に複数の殺人が絡む本格ミステリ。
登場人物が多く人間関係が複雑な上に、義父の事故死や心中事件など次々と物語が展開していくのは、週刊誌連載小説ゆえの弊害だと思います。
小額の身代金の理由など誘拐事件の謎に焦点を絞ったプロットにしていれば、スッキリしたミステリになっていたと思いますが。


No.394 6点 白夜街道
今野敏
(2010/05/29 17:35登録)
公安部・倉島警部補を主人公にしたハード・アクション小説、シリーズ第2弾。
著者の主要ジャンルである警察小説と格闘小説を合体させたようなシリーズで、倉島の公安部職員としての成長物語であるとともに壮絶な活劇・銃撃シーンに溢れています。
裏の主人公・元KGBの殺し屋ヴィクトルの人物造形に非凡なものがあり、むしろ彼のシリーズともいえますが、第3作に登場しないのは残念です。


No.393 5点 踊り子殺人事件
嵯峨島昭
(2010/05/29 17:15登録)
女性二人組の旅芸人が全国各地を巡行する中で遭遇する殺人事件を、ひょうんなことから同行者となった普通の会社員の視点で描いています。
後の作品でシリーズ探偵役となる酒島章(さかしましょう)警部は人妻とゴルフばかりして、なぜか最後にちゃかり解決する。
ミステリの趣向として面白いのは、”人物に関するトリック”が4種類も入っているところで、通俗小説として読んでいるとまんまと騙されます。

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