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ミステリの祭典

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文生さんの登録情報
平均点:5.86点 書評数:500件

プロフィール| 書評

No.180 6点 がん消滅の罠 完全寛解の謎
岩木一麻
(2020/08/13 18:28登録)
末期癌のはずの患者が次々と完治するという謎が強烈でぐいぐいと引き込まれていきます。物語の深みといったものには欠けますが、テンポよく読めるので暇つぶしには最適な作品だといえるでしょう。
ただ、肝心のトリックは専門知識を要するものであり、本格ミステリの面白さを期待した人はがっかりかもしれません。
その代わり、お勉強ミステリーとしてはなかなかの佳品です。


No.179 4点 僧正の積木唄
山田正紀
(2020/08/11 13:53登録)
― 僧正殺人事件は解決していなかった!アメリカに渡っていた金田一耕助けが真実を解き明かす!!
という非常にワクワクする内容なのに全然乗れなかったですね。
まず、山田正紀節と原典の雰囲気が水と油だし、本格ミステリとしてもこれといって魅力がない。
それに社会問題とかをこの題材に持ち込んでほしくなかったというのが正直なところ。
山田正紀自体は好きな作家なのだが、「桜花忍法帖」といい、パスティーシュ作品には向いていないと思う。
全部自分色に染めてしまうから。


No.178 5点 生首に聞いてみろ
法月綸太郎
(2020/08/09 13:49登録)
ミステリーとしては細部までよく考えられているものの、他の多くの人と同じで、ストーリーが起伏に乏しくて退屈に感じました。
また、ミステリーとしても丁寧ではあるのですが、今一つインパクトに欠ける点が残念です。
クオリティ自体は決して低くはないものの、結構長めの長編を支えるには魅力不足な気がします


No.177 4点 キドリントンから消えた娘
コリン・デクスター
(2020/08/07 19:19登録)
二転三転四転五転する多重解決ものでコリン・デクスターの代表作と目されている作品ですが、個人的にはイマイチでした。
まず、二転三転といっても一つ一つの仮説にさほどの根拠がなく、また、緻密なロジックによって導かれたものでもないので、それをひっくりかえされても特に驚きや衝撃を感じられなかったのが、楽しめなかった大きな理由として挙げられます。
それに、肝心の真相がぱっとしないうえに、すべての発端である手紙の送り主が不明のまま終わったのも大きなマイナス点です。
全体的な完成度はデビュー作である『ウッドストック行最終バス』のほうが遥かに上のような気がします。


No.176 6点 ウッドストック行最終バス
コリン・デクスター
(2020/08/04 19:56登録)
1万人の住人の中から容疑者を1人に絞り込むロジックには思わず笑ってしまいましたが、それ以外の仮説にはそれほど面白味を感じなかったのが残念です。二転三転する推理と聞いて『毒入りチョコレート事件』や『ギリシャ棺の謎』のように誤答の一つ一つに魅力のあるもの、あるいはもっとぶっとんだバカミスを想像していただけにその辺はちょっと期待外れでした。
ただ、唯一バカミスっぽかった1万人の絞り込みロジックや真相の意外性などを含め、全体的にはそこそこ楽しめた作品ではあります。


No.175 4点 ヒトクイマジカル
西尾維新
(2020/08/03 11:20登録)
初期の西尾維新ならではの萌えキャラ殺しはかなりのインパクト。
ただ、読みどころはそれだけ。
シリーズ最初の2作とは違ってもはやミステリーとはいえず、かといって、伝奇バトルとしてもスケール感に乏しい中二理論満載のよくわからない戦闘で面白くない。
この作者にバトルものは向いていないと思う。


No.174 5点 狂い壁狂い窓
竹本健治
(2020/08/01 18:43登録)
じめっとした雰囲気の和風幻想ミステリーの味わいは評価できるものの、本格ミステリとしてはこれといって面白味を感じられなかったのが残念。


No.173 6点 シャム双子の秘密
エラリイ・クイーン
(2020/08/01 18:25登録)
山火事に囲まれて逃げ場のない山荘で殺人事件が起きるという設定はかなりスリリングですし、終盤になるとクイーンが名探偵の存在意義に疑問を持つなど、後期クイーン問題の萌芽も見られます。読み応えという点ではなかなかの作品だといえるでしょう。
ただ、肝心の殺人事件を巡る推理がダーイングメッセージの解釈に終始するだけでかなり地味。
そこそこ楽しめはしたものの、できれば舞台装置に見合ったインパクトのある謎を用意してほしかったところです。


No.172 4点 ミステリ・オペラ
山田正紀
(2020/07/31 07:36登録)
『神狩り』や『宝石泥棒』といった著者のSF小説が大好きで、しかも、日本推理作家協会賞と本格ミステリ大賞のダブル受賞ということで大いに期待して読んだわけですが、どうにも良さが理解できませんでした。
個々のエピソードはそれなりに読ませるものの、「ミステリーの形を借りて描いた昭和史」というテーマ性がまったくピンとこなくて、最後まで物語に入り込むことができなかったのです。
本格ミステリとしては個々のトリックが凡庸すぎるということもあり、自分にとってはイマイチな作品でした。


No.171 7点 密閉山脈
森村誠一
(2020/07/29 09:35登録)
雪の降り積もった山頂で男が殺され、死亡推定時刻以降に雪は降っていないはずなのに犯人の足跡が見当たらないという、いわゆる雪密室ミステリーです。
分かってみれば単純なトリックながらも、ディクスン・カーの『白い僧院の殺人』や『貴婦人として死ぬ』などと全く異なるアプローチに創意工夫の跡が見られ、好感が持てます。


No.170 8点 エジプト十字架の秘密
エラリイ・クイーン
(2020/07/28 17:04登録)
無味乾燥で少々読みにくかった初期のクイーン作品に比べ、本作は連続首切り事件がサスペンスフルに描かれており、読んでいてぐいぐいと引き込まれていきました。
首のない死体ものとしてヒネリを加えたトリックにも驚かされます。
国名シリーズのなかでは一番好きな作品です。


No.169 8点 容疑者Xの献身
東野圭吾
(2020/07/27 09:54登録)
メイントリック自体はそこまですごいというわけではないのですが、倒叙風のプロットとの合わせ技で効果的に演出されているのが見事です。クセのある犯人像もインパクトがあり、さすがは代表作の一つに数えられているだけのことはあります。


No.168 3点 監獄島
加賀美雅之
(2020/07/27 09:38登録)
これほどまでに絶賛一辺倒なのがちょっと不思議な作品です。
自分の書きたいものを詰め込めるだけ詰め込むという姿勢はいいのですが、調理不足で小説としての完成度が今一つという印象を受けます。
ストーリーがやたらと冗長ですし、台詞などもわざとらしいほどに大時代的で読んでいてイラっとします。
肝心の不可能犯罪も偶然の要素が多すぎるのと独創的なアイディアに欠けるので高い点数はつけられません。
たとえ、既存のトリックでも使い方に工夫があればよいのですが、それも感じられませんでした。思い付きをそのまま、詰め込んだといった印象です。
全体として練り込み不足の感があり、一見豪華な肉料理だけど実は脂身ばかりの安肉を大量に食べているような感じで胃もたれを起こしそうでした。
作者が敬愛していたというディクスン・カーは自分も大好きなんですが、この作品は駄目でしたね。


No.167 6点 64(ロクヨン)
横山秀夫
(2017/11/11 07:05登録)
横山作品は骨太の人間ドラマとミステリーとしての仕掛けが両立している点が魅力であり、本作でもそれを十分に堪能することができる。ただ、いささかくどすぎる感もあり、ここまで長くする必要があったのかは疑問が残る。肝心の誘拐事件に関しても本格的に動き出すのがかなり終盤になってからなので、ミステリーと人間ドラマのバランスを欠いているようにも思う。半分の長さにすればもっと引き締まった作品になったのではないだろうか。


No.166 5点 致死海流
森村誠一
(2017/11/10 21:36登録)
森村誠一が本格色の強い作品を連発していたのは「高層の死角」から「日本アルプス殺人事件」までのわずか3年間であり、1972年に「腐蝕の構造」で日本推理作家協会賞を受賞してからは社会派に大きく舵を切っている。したがって、1978年の発表の本作は久しぶりの本格ミステリということになる。密室殺人とアリバイ崩しを盛り込んだ相変わらずの展開で楽しませてくれるものの、やはり初期作品と比べるとトリックが小粒になっており、アイディア枯渇の感は否めない。


No.165 6点 新幹線殺人事件
森村誠一
(2017/11/10 21:18登録)
第1の殺人と第2の殺人にそれぞれ鉄壁のアリバイが用意されているという初期森村作品らしいトリック大盤振る舞いの作品。ただ、最初のアリバイの方は凝った作りではあるものの、アリバイに共犯者が必要だという点がちょっとマイナス。第2のアリバイの方はアイデアはユニークだが、それを実行するにはあまりにもリスキーな気がする。力作ではあるけれど、傑作と呼ぶにはあと一歩及ばないといった感じです。


No.164 4点 宇宙捜査艦「ギガンテス」
二階堂黎人
(2017/11/10 20:36登録)
汎用小型宇宙惑星で起きた不可能犯罪に挑む宇宙捜査艦《ギガンテス》の活躍を描いたSFミステリー。しかし、SF的アイデアもミステリーとしてもの仕掛けもいささか凡庸でわざわざSF仕立てにした意味があまり感じられなかった。全体的にイマイチ感の漂う作品である。


No.163 6点 狂骨の夢
京極夏彦
(2017/11/10 14:57登録)
幻想的で不可思議な事件を魅力的なレギュラーキャラを交えながらムードたっぷりに描く手腕はさすがだが、それに対する真相がやや凡庸。ミステリー的な仕掛けも個人的にはデビュー作である「姑獲鳥の夏」がベストであり、作を重ねるごとにインパクトが薄くなっている印象を受ける。


No.162 7点 日本アルプス殺人事件
森村誠一
(2017/11/10 09:00登録)
写真を利用した古典的なアリバイ崩しものですが、山岳を舞台にした愛憎サスペンスとアリバイ崩しのプロセスがうまく絡まり合って、存外楽しく読むことができました。


No.161 6点 風の証言
鮎川哲也
(2017/11/10 07:43登録)
アリバイ崩しに焦点を当てた本格ミステリ。堅実な作品で読みごたえも十分ですが、カメラを使ったトリックは小粒で特にそれ以外の見所もないため、長編ミステリーとしてはやや物足りない。

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