致死海流 那須警部シリーズ |
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作家 | 森村誠一 |
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出版日 | 1978年06月 |
平均点 | 4.67点 |
書評数 | 3人 |
No.3 | 5点 | 文生 | |
(2017/11/10 21:36登録) 森村誠一が本格色の強い作品を連発していたのは「高層の死角」から「日本アルプス殺人事件」までのわずか3年間であり、1972年に「腐蝕の構造」で日本推理作家協会賞を受賞してからは社会派に大きく舵を切っている。したがって、1978年の発表の本作は久しぶりの本格ミステリということになる。密室殺人とアリバイ崩しを盛り込んだ相変わらずの展開で楽しませてくれるものの、やはり初期作品と比べるとトリックが小粒になっており、アイディア枯渇の感は否めない。 |
No.2 | 5点 | kanamori | |
(2011/02/23 18:18登録) 作者のこの時期の作品にしては珍しく社会派寄りではなく、密室&アリバイ・トリックを核とした本格ミステリでした。 犯人の工作に予想外の事態が発生して事件が複雑になっている点が面白かったですが、その反面、プロットがごちゃごちゃしていて整理しきってない感じを受けます。読後すぐに内容を思いだせなくなるようなタイプのミステリです。 アリバイ・トリックに関する犯人側のこのような設定も好きになれない。 |
No.1 | 4点 | 空 | |
(2009/07/26 11:11登録) 作者自身のあとがきによれば、5年ぶりに書き下ろした本格派推理小説だそうで、期待もしたのですが… 密室トリックの原理には前例がありますし、もっと単純な方法をなぜ使わなかったのかという疑問に対する答にあまり説得力がありません。また、殺害後に合鍵を部屋に戻した(機械的あるいは心理的方法で)可能性を否定する根拠がはっきり示されないのも、説得力を弱めています。ただし、証拠となる指紋には感心しました。 アリバイ・トリックもアイディア自体はいいと思うのですが、それを崩していく過程に面白味がなく、もう一つの事件とのからみも、すっきりできないのです。 途中にはさまれるフラッシュ・バックの章も効果的とは思えず、少々がっかりな出来でした。 |