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ミステリの祭典

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まさむねさんの登録情報
平均点:5.88点 書評数:1269件

プロフィール| 書評

No.349 6点 ドS刑事 風が吹けば桶屋が儲かる殺人事件
七尾与史
(2012/12/24 22:33登録)
 サクサクっと進行させつつの,終盤の捻りはなかなか良かったですね。単なるキャラ小説かと勝手に思い込んでいたことが功を奏した(?)のか,個人的には,結構ベタなネタながらも想定以上に楽しめましたよ。
 ちなみに,主人公の性癖と「ドS」とは全く異質のものであります。さらに,そもそも彼女がドS気質であるのかも怪しい。確かに,タイトルには相当の違和感があります。


No.348 4点 沈没ホテルとカオスすぎる仲間たち
七尾与史
(2012/12/21 23:18登録)
 「日本社会から脱落したバックパッカーの皆様の生態」という側面を除けば,かなり平凡な作品という印象は拭えません。「新しさがあり,感動がある。」とカバーの裏に書いてあったのだけれども…そうかなぁ?
 ちなみに「はい!コレ伏線(orミスディレクション)です!」って声高に叫びすぎかなぁ…と。一応フーダニットってコトなのでしょうが…。


No.347 6点 ビブリア古書堂の事件手帖3
三上延
(2012/12/19 21:54登録)
 どんどん安定感が増している印象です。安心感をもって読書できるシリーズがあるということは,何とも幸せなことだなぁ…と感じ入っています。
 「栞子さんの家族の秘密」については,結構引っ張るなぁ…というもどかしさと,簡単に秘密の開示がなされシリーズ終了ってのも困る…という,相反した心情を持っています。それも,このシリーズにハマっている証拠か。早く次作を読みたいですね。


No.346 8点 とむらい機関車
大阪圭吉
(2012/12/16 11:12登録)
(創元推理文庫版)
 戦前の探偵小説作家の中で,本格度の高さ,手法の先駆性という意味においては,やはり大阪圭吉氏は外せない…旨の薦めを目にし,かつ,個人的には唯一読んだことのある短編「デパートの絞刑吏」が良かった記憶もあったため,何気なく手にした次第。
 結論から言えば,「坑鬼」と表題作がずば抜けて面白かったですね。
 「坑鬼」は,極めて完成度の高い本格中編。海底炭鉱という,現代では想像しにくい舞台ながらも,最後まで読めば,決して「時代が違うお話」とは思えない辺りが相当に趣深いです。今だからこそ読むべし。傑作。
 また,表題作も記憶に残ります。「豚の連続轢死事件」「鉄道会社を退職した理由」という謎が魅力的ですし,ラストの反転も見事。「日常の謎系」の原型とすら言いたくなるプロットです。
 他にも,倒叙形式の「雪解」,ホワイが魅力の「気狂い機関車」など,多種多彩。若くして戦地に散ってしまわれたことが,本当に惜しく,悔しい。


No.345 6点 ビブリア古書堂の事件手帖2
三上延
(2012/12/15 21:14登録)
 有意義な読書時間を頂戴いたしました。キャラの魅力,古書の薀蓄,温かな雰囲気などなど,確かに売れる要素が多いですねぇ。読者層も幅広いのではないでしょうか。早速続編も読むことになりそうです。


No.344 5点 魔法使いは完全犯罪の夢を見るか?
東川篤哉
(2012/12/10 23:35登録)
 魔法使いと本格ミステリという突っ込みどころ満載の設定(笑)を,逆に上手く使ってまとめていますねぇ。そこは流石人気作家。
 ただし,ネタとしてもギャグとしても小粒だったという印象。(1時間ドラマには,キャラ設定を含めて丁度良い塩梅かもしれません。むしろ狙っているのか?)
 個人的には,烏賊川市シリーズか鯉ヶ窪学園シリーズの方が好みかな。


No.343 3点 ケルベロスの肖像
海堂尊
(2012/12/08 11:22登録)
 「バチスタ・シリーズついに完結!」という謳い文句の割には,何とも微妙な内容。これまでの作品で散らかしまくっていた種を,無難に(無理やり?)押し込めた感じでしょうか。
 したがって,バチスタ・シリーズはもとより,さらに広い範囲の桜宮シリーズ(特に「螺鈿迷宮」と「ブラックペアン1988」)を読んでいないと,ちょっと意味不明に感じるものと思われます。なお,ミステリ的要素を期待してはいけません。
 個人的には,これまでの作品に対する「懐かしさ」は感じたものの,本作品自体はかなり散漫であり,駄作と言わざるを得ません。
注:シリーズファンなら楽しめる作品なのかも。私は,シリーズの初期は結構楽しんで読んでいたのですが,途中でどうしても作者の作風が肌に合わなくなったものですから…。


No.342 7点 ビブリア古書堂の事件手帖
三上延
(2012/12/02 18:30登録)
 店長の栞子さん,アルバイトの五浦クンその他登場人物も魅力的で,非常に読み心地のよい連作短編ですね。売れるのも素直に頷けます。…と言うか,こういう作品が売れるってこと自体で,何かいい気分になれるなぁ。そのうち続編も読んでみます。


No.341 5点 午後からはワニ日和
似鳥鶏
(2012/11/29 22:46登録)
 動物園を舞台としたミステリ。目次のタイトルから勝手に短編集又は連作短編だと思い込んでいたのですが,途中で長編と気付いてびっくり。
 なかなか興味深い舞台ですし(久しぶりに動物園に行って,飼育員さんも含めて観察してみたくなった!),雰囲気としてはこれまでの学園モノよりも好印象。個々のキャラも個性的で,ユーモアも嫌味に感じなかったため,読み心地は良かったです。
 しかし,ミステリ長編としては,フー・ハウ・ホワイいずれをとってもちょっと弱いか。ガッツリ読みたい方には不向きかもしれません。一方で動物好きの方は,きっと私よりも楽しめるでしょう。


No.340 5点 びっくり館の殺人
綾辻行人
(2012/11/25 21:50登録)
 「ミステリーランド版の館シリーズ」ってことになるのでしょうが,内容的には「館シリーズ」にこだわる必要は無かったような気も…。でも,例えば小学生の頃に本書を読んで,その流れで十角館…っていう子もいそうですし,未来のミステリ界にとっても,まぁ,アリということで自分を納得させました。
 しかし,こういう作品は評価が難しいなぁ…。純粋にジュブナイルとして見ればもっと高評価でも良いのですが,一方で「もう一捻り欲しい感」が残ったのも事実ですし…。悩んだ末にこの点数で。


No.339 4点 林真紅郎と五つの謎
乾くるみ
(2012/11/21 23:41登録)
 タイトルどおり,5編から成る短編集。林真紅郎(シンクロー)さんが「シンクロ推理」という設定自体で「なんだかなぁ…」って感じなのですが,収録作品の出来栄えもまさにそんな感じ。
 唯一「過去からきた暗号」は,暗号嫌いの私でも楽しめた佳作。この作品に限って「シンクロ推理」が不発で,それが効果的な捻りに繋がっています。何とも皮肉なものですねぇ。この作品に免じて…という気持ちもあるのですが,やや厳し目にこの採点とします。


No.338 5点 10分間ミステリー
アンソロジー(出版社編)
(2012/11/18 11:28登録)
 「このミス」大賞の創設10周年を記念した,同賞出身作家によるショート・ショート集。29作家の作品が掲載されていますが,ショート・ショートはごまかしが利かないだけに,出来栄えには相当の差を感じましたねぇ。これは,作者間の力の入れようの差なのか,ズバリ力量の差なのか…。
 マイベスト5(というか,悪くなかった作品)を挙げるとすれば,友井羊氏・乾緑郎氏・佐藤青南氏・ハセベバクシンオー氏・喜多喜久氏の各作品か。
 スキマ読書には便利だったのでこの点数に。


No.337 6点 盗まれて
今邑彩
(2012/11/13 23:47登録)
 今邑さんの短編は「つかみ」がウマイ,というのが個人的な印象でしたが,まさにその印象どおりの短編集。読みやすさも手伝って,途中で止められなくなるのですねぇ。決して大技が炸裂する訳ではなく,何となく先が見える展開ではあるのですが,終盤の捻り又は余韻のある結末は好きですね。マイベストは,あの分量での連続反転が綺麗だった「情けは人の…」でしょうか。


No.336 8点 天啓の殺意
中町信
(2012/11/11 22:30登録)
 氏の長編6作目である「散歩する死者」(1982年初版)を全面改稿し,改題のうえで文庫化されたものだそうです。
 前半の端正さから一転する後半部分が読みどころ。ちょっとゴチャゴチャして混乱しつつの不思議な爽快感。個人的には嫌いではないです。敢えて多くを語らず「いろんな意味で,面白かった」とだけ述べさせていただきましょう。


No.335 4点 空飛ぶ馬
北村薫
(2012/11/10 22:01登録)
 文章は美しかったですねぇ。しかし,冗長で盛り上がりに欠ける印象を受けてしまったのも事実。ミステリとして見ても,それほど魅かれなかったなぁ…と。まぁ,好みの問題もあるでしょうし,そういう観点で判断すべき作品ではないという意見もありましょうが…。
 ちなみに,発表当時,作者の素顔を知らされない中でこの作品を読んだならば,私などは完全に騙されたでしょうね。コレこそが最大のトリックかも。
 最後に,採点分布がなかなかに興味深いですねぇ。個人的にも採点に迷う作品でした。


No.334 5点 まもなく電車が出現します
似鳥鶏
(2012/11/04 17:56登録)
 短編集です。最終話の「今日から彼氏」が無ければ,マイナス1点でしたね。とはいえ,この作品もシリーズ読者でなければ(柳瀬先輩を知らなければ),面白みは半減するような気がします。
 他の作品は,正直言って面白みが薄いです。ロジカルではあるのですがねぇ。食いつきどころが無いというか…むしろ食欲がわかない感じかな?


No.333 7点 密室の鍵貸します
東川篤哉
(2012/10/31 21:53登録)
 今更ながら氏のデビュー長編を読了。その後の烏賊川市シリーズは何作か読んでいますが,キャラの印象が微妙に異なっていたりして,逆に新鮮で楽しめました。
 内容としては極めて端正な本格モノ。大仕掛けはないものの,むしろその端正さが好みという同志もいらっしゃるはず。すっとぼけた登場人物やユーモアも効いています。
 ノベルス版のカバー折り返しに書かれたという,有栖川氏のコメントが非常に的を得ています。「ストライクゾーンからストライクゾーンに切れ込む鋭いシュートだ。」確かに,その後の活躍も素直に頷けるレベルの第一長編と感じましたね。6.5点の気持ちですが,切り上げてこの点数に。


No.332 6点 さよならの次にくる 新学期編
似鳥鶏
(2012/10/28 17:55登録)
 前作「卒業式編」の書評で述べたとおり,「卒業式編」と「新学期編」をセットで読まないと,ほとんど意味を成さないです。卒業式編のモヤモヤとした「肩透かし感」があるからこそ,新学期編での爽快な「やられた感」に繋がる訳ですが,卒業式編だけを読んでイマイチと判断し,続編読まない人もいると思うのですよねぇ。読者にとっても作者にとってももったいない。読みきってしまえば,その意図はよく分かるのですが,仕掛け部分についてはもっとコンパクトに工夫できたような気もします。
 しかしながら,ラスト部分は一気に読ませてくれましたし,次回作(短編集)も読んでみようという気にはさせられました。


No.331 4点 さよならの次にくる 卒業式編
似鳥鶏
(2012/10/27 16:31登録)
 デビュー作「理由あって冬に出る」が,まずまずの印象だったため,手にした次第。
 この作品は,やはり続編である「新学期編」とセットで評価しないといけない感じですねぇ。無理やり「卒業式編」のみで評価するとすれば,伏線が放っとかれているのは止むを得ないとしても,単品の仕掛けも肩透かし気味ですので,この辺りの点数になっちゃいますかねぇ。
 急ぎ続編を読んでいる最中ですので,総合評価はその際に。


No.330 4点 マツリカ・マジョルカ
相沢沙呼
(2012/10/24 22:40登録)
 正直,私にはフィットしなかったです。謎の高校生(?)女王様マツリカにも,気弱な高校生柴山クン(通称:柴犬)にも,結構イラッとしましたねぇ。写真部の小西さんは好印象だっただけに,残念。ミステリ部分も,あまり印象に残らないと言いますか…。
 マツリカの正体などが放置されっぱなしですし,ラストからも何となく続編を意識しているように感じます。仮に,続編が出されるのであれば,盛り返しに期待しましょう。(手に取るかどうかは別として…。)
 ちなみに,この作者の描く高校生は,マジシャン探偵シリーズを含めて,太ももに弱すぎ。分からなくはないけれども,単に作者の嗜好性だけが理由だったりして(笑)。

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