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ミステリの祭典

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まさむねさんの登録情報
平均点:5.88点 書評数:1258件

プロフィール| 書評

No.338 5点 10分間ミステリー
アンソロジー(出版社編)
(2012/11/18 11:28登録)
 「このミス」大賞の創設10周年を記念した,同賞出身作家によるショート・ショート集。29作家の作品が掲載されていますが,ショート・ショートはごまかしが利かないだけに,出来栄えには相当の差を感じましたねぇ。これは,作者間の力の入れようの差なのか,ズバリ力量の差なのか…。
 マイベスト5(というか,悪くなかった作品)を挙げるとすれば,友井羊氏・乾緑郎氏・佐藤青南氏・ハセベバクシンオー氏・喜多喜久氏の各作品か。
 スキマ読書には便利だったのでこの点数に。


No.337 6点 盗まれて
今邑彩
(2012/11/13 23:47登録)
 今邑さんの短編は「つかみ」がウマイ,というのが個人的な印象でしたが,まさにその印象どおりの短編集。読みやすさも手伝って,途中で止められなくなるのですねぇ。決して大技が炸裂する訳ではなく,何となく先が見える展開ではあるのですが,終盤の捻り又は余韻のある結末は好きですね。マイベストは,あの分量での連続反転が綺麗だった「情けは人の…」でしょうか。


No.336 8点 天啓の殺意
中町信
(2012/11/11 22:30登録)
 氏の長編6作目である「散歩する死者」(1982年初版)を全面改稿し,改題のうえで文庫化されたものだそうです。
 前半の端正さから一転する後半部分が読みどころ。ちょっとゴチャゴチャして混乱しつつの不思議な爽快感。個人的には嫌いではないです。敢えて多くを語らず「いろんな意味で,面白かった」とだけ述べさせていただきましょう。


No.335 4点 空飛ぶ馬
北村薫
(2012/11/10 22:01登録)
 文章は美しかったですねぇ。しかし,冗長で盛り上がりに欠ける印象を受けてしまったのも事実。ミステリとして見ても,それほど魅かれなかったなぁ…と。まぁ,好みの問題もあるでしょうし,そういう観点で判断すべき作品ではないという意見もありましょうが…。
 ちなみに,発表当時,作者の素顔を知らされない中でこの作品を読んだならば,私などは完全に騙されたでしょうね。コレこそが最大のトリックかも。
 最後に,採点分布がなかなかに興味深いですねぇ。個人的にも採点に迷う作品でした。


No.334 5点 まもなく電車が出現します
似鳥鶏
(2012/11/04 17:56登録)
 短編集です。最終話の「今日から彼氏」が無ければ,マイナス1点でしたね。とはいえ,この作品もシリーズ読者でなければ(柳瀬先輩を知らなければ),面白みは半減するような気がします。
 他の作品は,正直言って面白みが薄いです。ロジカルではあるのですがねぇ。食いつきどころが無いというか…むしろ食欲がわかない感じかな?


No.333 7点 密室の鍵貸します
東川篤哉
(2012/10/31 21:53登録)
 今更ながら氏のデビュー長編を読了。その後の烏賊川市シリーズは何作か読んでいますが,キャラの印象が微妙に異なっていたりして,逆に新鮮で楽しめました。
 内容としては極めて端正な本格モノ。大仕掛けはないものの,むしろその端正さが好みという同志もいらっしゃるはず。すっとぼけた登場人物やユーモアも効いています。
 ノベルス版のカバー折り返しに書かれたという,有栖川氏のコメントが非常に的を得ています。「ストライクゾーンからストライクゾーンに切れ込む鋭いシュートだ。」確かに,その後の活躍も素直に頷けるレベルの第一長編と感じましたね。6.5点の気持ちですが,切り上げてこの点数に。


No.332 6点 さよならの次にくる 新学期編
似鳥鶏
(2012/10/28 17:55登録)
 前作「卒業式編」の書評で述べたとおり,「卒業式編」と「新学期編」をセットで読まないと,ほとんど意味を成さないです。卒業式編のモヤモヤとした「肩透かし感」があるからこそ,新学期編での爽快な「やられた感」に繋がる訳ですが,卒業式編だけを読んでイマイチと判断し,続編読まない人もいると思うのですよねぇ。読者にとっても作者にとってももったいない。読みきってしまえば,その意図はよく分かるのですが,仕掛け部分についてはもっとコンパクトに工夫できたような気もします。
 しかしながら,ラスト部分は一気に読ませてくれましたし,次回作(短編集)も読んでみようという気にはさせられました。


No.331 4点 さよならの次にくる 卒業式編
似鳥鶏
(2012/10/27 16:31登録)
 デビュー作「理由あって冬に出る」が,まずまずの印象だったため,手にした次第。
 この作品は,やはり続編である「新学期編」とセットで評価しないといけない感じですねぇ。無理やり「卒業式編」のみで評価するとすれば,伏線が放っとかれているのは止むを得ないとしても,単品の仕掛けも肩透かし気味ですので,この辺りの点数になっちゃいますかねぇ。
 急ぎ続編を読んでいる最中ですので,総合評価はその際に。


No.330 4点 マツリカ・マジョルカ
相沢沙呼
(2012/10/24 22:40登録)
 正直,私にはフィットしなかったです。謎の高校生(?)女王様マツリカにも,気弱な高校生柴山クン(通称:柴犬)にも,結構イラッとしましたねぇ。写真部の小西さんは好印象だっただけに,残念。ミステリ部分も,あまり印象に残らないと言いますか…。
 マツリカの正体などが放置されっぱなしですし,ラストからも何となく続編を意識しているように感じます。仮に,続編が出されるのであれば,盛り返しに期待しましょう。(手に取るかどうかは別として…。)
 ちなみに,この作者の描く高校生は,マジシャン探偵シリーズを含めて,太ももに弱すぎ。分からなくはないけれども,単に作者の嗜好性だけが理由だったりして(笑)。


No.329 6点 理由あって冬に出る
似鳥鶏
(2012/10/20 23:06登録)
 単なる学園コミカル系かと思いきや,プロット自体はなかなかに骨太。意外性も相まって,印象は悪くないです。次回作も読んでみようという気にはさせられました。


No.328 6点 黒猫館の殺人
綾辻行人
(2012/10/20 23:05登録)
本当に偶然なのですが,道東地方の旅行中に読んだのですよねぇ。雰囲気が出ましたねぇ。一方,あれほど散りばめられた伏線をスルーしていたのは,きっと旅行中であったせいだと,自分を納得させている今日この頃であります。


No.327 6点 虹果て村の秘密
有栖川有栖
(2012/10/18 22:41登録)
 正統派ド真ん中の「ミステリーランド作品」と言えましょう。子ども達に対する愛情を感じますね。
 なお,有栖川氏とジュブナイルって,よくよく考えてみると,とても相性が良いような気がします。また同じ感じで書いてくれないかなぁ…


No.326 6点 スタジアム 虹の事件簿
青井夏海
(2012/10/18 22:35登録)
 安楽椅子モノの連作短編。
 ミステリ部分は,正直特筆すべきモノはないのですが,登場人物が揃って魅力的で,野球を絡めた展開も面白いです。万年最下位のプロ野球球団の女性オーナー(しかも野球オンチ)を探偵役に設定したことで,膨らみが増しています。
 ちなみに,個人的な話で恐縮ですが,私は大のパ・リーグファン。なので,結構楽しめたわけです。プロ野球好きの方は,どうぞ。


No.325 6点 鍵のない夢を見る
辻村深月
(2012/10/14 17:07登録)
 直木賞受賞作。すべて,女性視点一人称の短編集。短編のタイトルとは裏腹に,ミステリ度は相当に低いのですが,特に女性心理を捉えた人間ドラマとしては良なのかも(評価は分かれそうですが…)。
 ちなみに,登場人物については,「分かるな~」ってよりも,イライラすることの方が多かったですね。単に私が「女性心理」に疎すぎるからなのかもしれませんが。
①仁志野町の泥棒
 ノンミステリ。うーん,分かるような,分からないような。
②石蕗南地区の放火
 うーん。どちらにも腹が立つなぁ。これもミステリとは言い難い。
③美弥谷団地の逃亡者
 うーん。特にコメントなし。
④芹葉大学の夢と殺人
 この短編集中でベストの印象。日本推理作家協会賞(短編部門)ノミネート作品だそうで。で,います,います,この類のオトコ(とオンナ)。
⑤君本家の誘拐
 うーん。分かるんだけれども,小説としては,何ら驚けないような…


No.324 5点 暗い宿
有栖川有栖
(2012/10/13 22:45登録)
 廃業した民宿,高級リゾートホテル,温泉旅館,都心の高級ホテルといった「宿泊施設」を舞台にした短編集。作品によって出来栄えはマチマチです。
 結構すぐに忘れてしまいそうな作品もあった中で,最も記憶に残りそうなのは「ホテル・ラフレシア」でしょうか。謎がぼやけている印象もありますが,「ホテル・カルフォルニア」のメロディや歌詞とともに,その美しくも怪しいムードが心に残ります。


No.323 6点 怪盗グリフィン、絶体絶命
法月綸太郎
(2012/10/13 10:10登録)
 「へぇ~,法月さんって,こういうタッチもOKなんだ」という,個人的な発見が。ミステリーランドだからこその発見ですね。
 反転の妙もあり,冒険スパイ小説として十分に楽しめました。


No.322 5点 魔王城殺人事件
歌野晶午
(2012/10/09 22:11登録)
 トリック自体は,敢えて云々言うまでもないレベルなのですが,ミステリーランドの趣旨を勘案すれば非常に「正しい」作品であり,好感を持ちました。(注:私がこれまで読んだミステリーランド作品は麻耶氏の「神様ゲーム」のみであるため,何をもって「正しい」とすべきなのかは,自分でもよく分かりませんが…。)
 多くの皆様のおっしゃるとおり,なるほど,ミステリーランドは様々に楽しめますねぇ。どんどんノベルス化・文庫化されているようですし,今後,積極的に読んでいくことになりそうです。


No.321 4点 人形館の殺人
綾辻行人
(2012/10/06 20:26登録)
 館シリーズの中でも,ひときわ異彩を放つ作品ですねぇ。好き嫌いがはっきり分かれそうですが,私にとっては相当に期待はずれ。「館シリーズに求めているのはソコではない」とでも言いましょうか…。
 館シリーズを順に読むとすれば,コレを飛ばして時計館ってことでもOKですね。と,言いますか,個人的にはコレを館シリーズに分類すべきなのか,悩ましさすら感じます。


No.320 3点 殺人現場は雲の上
東野圭吾
(2012/09/30 18:47登録)
 スチュワーデスの通称エー子とビー子が遭遇する事件を扱った短編集。
 ミステリ的に中身が薄いうえに,登場人物の設定や描写に相当な「やっつけ感」を抱いたため,ちょっと読み進めるのが辛かったですねぇ。作者に期待するレベルとの落差が凄かったので,マイナス1点ですな。(既読の氏の短編集の中で,ワーストのような気がします。)


No.319 7点 迷路館の殺人
綾辻行人
(2012/09/24 23:14登録)
 全体構成(特に作中作の使い方)が絶妙です。結構キワドイ面もあるのですが,個人的にはセーフかな。建物のトリック自体は「うーん…」といった印象なのですが,後半の畳掛け具合は流石に巧いと思いますね。ある意味で「新本格」の王道か?
 ちなみに,時計館を先読していたため,かなり損をした気分(完全に個人的な事情であって作者に非はないのですが…)。その事情なしにこの作品に出会っていれば,さらに高評価にした可能性が大です。

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