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ミステリの祭典

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まさむねさんの登録情報
平均点:5.87点 書評数:1196件

プロフィール| 書評

No.296 5点 4ページミステリー
蒼井上鷹
(2012/06/24 21:04登録)
 タイトルどおり,4ページの掌編のみで構成。思わずニヤリとさせられる作品も確かにあるのですが,ちょっと意図が分からない作品もありましたねぇ。
 まぁ,スキマ読書としては便利(?)だったのでこの点数としますが,さすがにこのページ数だとミスリードにも限界があって,「オチが読みやすい」面は否定できません。それと,60作品を通読するのは結構辛いと思いますので,ちょっとずつ読んでいく方がベターかも。


No.295 4点 僕と先輩のマジカル・ライフ
はやみねかおる
(2012/06/22 23:22登録)
 児童向けミステリー界における超売れっ子作家(ちなみにウチの娘もよく読んでました)が,一般向けミステリーも書いていると知り,試読してみました。
 感想としては,ズバリ“空気が合わない”。長曽我部先輩の存在意義もよく分からないし…。ミステリとしてのラインは保っていると思うのですがねぇ。


No.294 7点 スイス時計の謎
有栖川有栖
(2012/06/16 18:47登録)
 国名シリーズの前作「ペルシャ猫の謎」が(平凡な)変化球であったのに対し,この短編集はど真ん中の剛速球といった感じです。
 特に,表題作はロジック全開。フーダニットとしても良質。読者を楽しませるのに,必ずしも派手な演出はいらないという好例。短編というよりも中編といった分量ですが,内容からすればベストの長さ。
 他の3短編も,水準級以上にはあります。個人的には,「あるYの悲劇」も推したいんですけどねぇ。でも,これは評価が分かれるかぁ(笑)。
 ともかく,「本格短編読みたいな」って方にはオススメでしょう。


No.293 6点 わが身世にふる、じじわかし
芦原すなお
(2012/06/09 10:58登録)
 シリーズ第3弾ですね。たいへんに読み心地が良いです。主人公,奥さん,同級生刑事の軽妙な会話と食事シーンが,何とも言えない雰囲気を醸し出しています。癒されます。
 ミステリ度は決して高くないですが,ゆったりとした読書は楽しめましたね。


No.292 6点 嫁洗い池
芦原すなお
(2012/06/02 14:33登録)
 前作「ミミズクとオリーブ」の雰囲気がよかったため,続編を手にした次第。
 密室モノもあったりして,ミステリ度は,前作よりもアップしています。
 でも,やはりこのシリーズの最大の魅力は,主人公,奥さん,同級生刑事の軽妙な会話と雰囲気。主人公が本当に羨ましく思えるんですよねぇ。立て続けにシリーズ第3作も読んでみます。


No.291 6点 覆面作家は二人いる
北村薫
(2012/05/27 21:14登録)
 現実味のない,漫画的キャラ設定ではあるのですが,私には「割り切って読めちゃう」っていうメリットの方が印象に残りましたね。
 ソフト・タッチとはいえ,ミステリ的味付けも効かせてますので,肩肘張らずに読書したい気分の方にはオススメですね。そんな気分のときに,続編も読んでみようかなぁ。


No.290 5点 さみしさの周波数
乙一
(2012/05/26 17:16登録)
 乙一らしい短編集。
 収録作の中では,作者本人が「書きたいと思ったから書いた」と述べている「手を握る泥棒の物語」がベストでしょうか。
 「失はれた物語」の世界も,ミステリ云々はさて置き,深い印象を与えてくれますね。


No.289 5点 遠まわりする雛
米澤穂信
(2012/05/26 17:00登録)
 古典部シリーズの短編集。今回もホータロー君がご活躍です。
 個々の短編の内容というよりも,高校1年生の1年間について,短編を時系列順に配置することで4人の「変化」を描こうとした試みを評価します。ラストも綺麗ですね。


No.288 5点 玉村警部補の災難
海堂尊
(2012/05/26 16:11登録)
 「このミス!」に掲載された4作品を集めた短編集。
 監察医制度,Ai(死体画像診断),DNA鑑定,歯の治療痕照合…と,いかにもこの作者らしいテーマが揃っています。
 一方,ミステリ的なレベルはまちまちで,個人的な判断基準でミステリと言ってよいのは「青空迷宮」くらいかも。「四兆七千億分の一の憂鬱」もギリギリセーフかなぁ…って感じでしょうか。その点は大きな期待をせずに,医療エンタメとしてお楽しみいただくのが無難かもしれませんね。


No.287 6点 消失グラデーション
長沢樹
(2012/05/26 15:58登録)
 横溝正史ミステリ大賞受賞作。昨年度の各種ミステリランキングでも,なかなかの高評価でしたね。
 この作品の「肝」は何点かあると思うのですが,そのうちの1点は,結構序盤からプンプンとした臭いが。とは言え,完全に見切ることはできず,大胆かつ巧妙な仕掛けには感心いたしました。
 ちなみに,読後に検証してみたのですが,どうしても腑に落ちない「表現」がございますねぇ。そこがちょっと不満です。


No.286 6点 ミミズクとオリーブ
芦原すなお
(2012/04/30 22:21登録)
 ミステリとしては相当に弱いです。
 でも,楽しい。ひょうひょうとした主人公のキャラは勿論,奥さん,同級生刑事との軽妙な会話も良いですねぇ。とても羨ましくなる雰囲気。何というか,いいなぁ。
 これでミステリ度が上がれば申し分ないのですが…。続編もそのうち読んでみます。


No.285 6点 中途半端な密室
東川篤哉
(2012/04/14 15:10登録)
 プロデビュー前の作品を中心とした短編集。ユーモアや文章は,完成途上(?)との印象も受けましたが,内容自体はまずまず楽しめました。
 良かったのは,表題作と「南の島の殺人」。前者はロジカルな展開が楽しく,後者は巧妙な仕掛けが楽しい。
 「十年の密室・十分の消失」は,興味深い設定ではありますが,「そこまでやるか」感も。ラストの人物像の反転は結構好み。


No.284 5点 境遇
湊かなえ
(2012/04/01 22:29登録)
 ヒトコトで評すれば,「薄いコーヒー」。
 湊サンお得意の複数視点。スラスラと読めるし,まぁ,飲める(読める)のではないでしょうか。
 いや,コーヒーは好きなんですよ。でも,薄いなぁ。濃くしようとしているのが,むしろ薄さを助長しているような気も…。
 って思いながら読み終えて知ったのですが,これってドラマありきの作品なのね?そうだったかぁ。なら,已む無し。


No.283 5点 まどろみ消去
森博嗣
(2012/04/01 21:58登録)
 短編集です。おそらくは,作者の実験場なのでしょう。そう!実験!
 実験としては,「やさしい恋人へ僕から」と「悩める刑事」に一応の意義があったのでは。(あくまでも,実験の意図が分からない作品よりは良いという趣旨ですよ。念のため。)
 いや,実験ってのは,「失敗」をどう活かすかが重要なのでしょうなぁ。さすがは理系作家。勉強になりました。


No.282 5点 彼女はもういない
西澤保彦
(2012/03/25 22:53登録)
 「R‐18ミステリ」と言うだけあって,グロテスクな犯罪シーンもあり,苦痛に感じる方も相当いらっしゃると思います。ご注意ください。
 その点を別にすれば,一気に読ませるプロットで,思ったほどの嫌悪感は無かったです。あれ?いつもとはちょっと作風が違うのか?と思わせておきつつ,最終的には「やっぱり西澤サンだったよ!」って感じ(敢えて多くは語りませんが)。読後に振り返ってみると,タイトルと表紙にも味わいがあります。
 惜しいのは,主人公の狂気発露の理由(同窓会名簿のヤツ)が常人にはピンと来ないこと,さらに城田理会警視の存在が中途半端なこと。
 ちなみに,西澤さんは,同窓会名簿が好きですなぁ。きっと,短編集「必然と~」と同時期に構想したのしょうねぇ。


No.281 5点 ちょっと探偵してみませんか
岡嶋二人
(2012/03/21 21:22登録)
 25個の推理クイズ集。ショートショートとして結構いい味を醸し出している作品から,なんだこりゃって作品まで,レベルは幅広いです。
 全体的に難易度は低めですが,その辺の推理クイズ本と比べると,さすがというか,筆力の違いは明確。スキマ読書として丁度よかったです。


No.280 5点 必然という名の偶然
西澤保彦
(2012/03/18 19:01登録)
 「櫃洗市」で起きる6つの事件を描いた連作短編。サクサク読めます。
 大富豪探偵ヒロっち&オヤカタ&ケージの同級生トリオは,キャラも立っていて,今後も使い出がありそう。だから最終話の書き下ろしで再登場させたのでしょうが,コレはちょっと不発でしたか…。
 他の単独作品も含めて,読み手によって評価が分かれるかもしれません。ちょっと強引過ぎると感じる方もいるかも。


No.279 4点 人面屋敷の惨劇
石持浅海
(2012/03/15 23:22登録)
 「非日常的な空間又は条件におけるロジカルな心理戦」がこの作者の持ち味なのでしょうが,登場人物の行動倫理には共感しがたい点ばかり。そんな登場人物たちが語るロジックなんぞは片腹痛い,というか苦痛。
 以上が,これまで蓄積してきた,作者に対する個人的な印象。本作を読み,その印象はさらに強いものとなりましたね。特にこの作品は,作者の意図がよくわからず(仮に予測どおりだとしても,成功しているとは言いがたい),ことさら空疎感を抱きました…。


No.278 4点 封印再度
森博嗣
(2012/03/11 20:02登録)
 正直,微妙です。
 「良かった」と言えるのは,壺・鍵・箱・凶器の謎,そしてタイトルくらい。強引過ぎる箇所が複数あるし,内容に比して無駄に長すぎます。
 ちなみに,萌絵嬢ってこんなキャラだった?急激にイヤな感じに成長しちゃいましたねぇ。犀川センセの魅力まで吸い取る魔力。要するに,二人とも「おこちゃま」ってことで1点減点ですな。萌絵嬢は、この作品では不要というかもの凄く邪魔。


No.277 6点 贖罪の奏鳴曲
中山七里
(2012/03/08 22:47登録)
 「どんでん返し」については,ミステリー的にそれほどでもないかなぁ…っていう印象(嫌いではないケド)。
 しかし,小説全体を見通せば,オセロ的な白黒逆転自体に意味を含ませているのであろうし,ミステリーの「折込み具合」に難があるとも感じなかったので,私としてはこの位で丁度良いのだろうと感じました。
 ちなみに,リーダビリティは高く,少年院での出来事や法廷シーンも(最高裁法廷であんな事があり得るのかは別として),なかなか面白いです。ちょっと未消化の伏線がないわけでもないですが…。

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