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ミステリの祭典

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まさむねさんの登録情報
平均点:5.86点 書評数:1195件

プロフィール| 書評

No.415 6点 凍った太陽
高城高
(2013/09/24 23:24登録)
 国内ハードボイルド作品の黎明期を支えた作家の短編集。
 個人的には,作者が弱冠20歳の時(昭和30年)に新人懸賞で一席を獲得したデビュー作「X橋付近」を目当てに手に本書を手にしたのですが,その他の作品も十分に楽しめました。 特に,氏が東北大学を卒業し,北海道の地方紙記者となってから江戸川乱歩の奨めで書いたという,「賭ける」「淋しい草原に」「ラ・クカラチャ」「黒いエース」には,氏の力量を再確認させられる思いでした。(ミステリ的な側面は弱いかもしれませんが・・・)
 また,「賭ける」から始まる一連の由利シリーズ(表題作もこのシリーズ)や付属されているエッセイも興味深かったですね。
 ちなみに,舞台は一貫して仙台か北海道。この舞台がまたしっくりくるんですよねぇ。


No.414 6点 退職刑事2
都筑道夫
(2013/09/22 23:28登録)
 シリーズ第2弾も魅力的な謎に囲まれた安楽椅子モノ。
 ロジックというよりも想像に頼った部分が多いような…との印象もあって,正直第1集の方が好印象ではありますが,それはそれとして,やっぱり楽しめましたよ。


No.413 5点 人形式モナリザ
森博嗣
(2013/09/18 23:32登録)
 WHOを中心とするメイン(と言ってよいのか判断は迷うが)のトリックについては,標準レベルに達するのか微妙なところ。でも,終盤の“裏真相”やモナリザの謎,ラスト1行を加味すれば,一定楽しめたと言えるのかな。特に,“裏真相”については,前作の件もあっただけに,巧いことしてやられた感じです。
 しかし,色々と詰め込まれていて実際に驚きもあった割りに,読後にそれほど満足感を得られなかったのはなぜなのだろう。動機が,分かったようでイマイチ腑に落ちないからなのかなぁ。


No.412 6点 終末のフール
伊坂幸太郎
(2013/09/12 23:12登録)
 3年後に小惑星が地球に衝突し、人類は息絶えるだろう…という設定での連作短編。
 この事実が判明したのが5年前で,パニックによる殺人や強奪,はたまた自殺者続出という騒乱期を経たうえでの,小康状態とも言える時期を舞台としたところに,作者のセンスを感じました。確かに,一旦は自棄になりそうだけど,5年経ってしまえば,残りの3年間は逆に落ち着いて淡々とした生活を送るような気もしますね。妙なリアル感があって,実際に自分がこの状況に置かれたらどうなのだろうと考えさせられます。
 そもそも表題作が「ミステリーじゃないものを」との編集者の依頼に基づいて書かれたものだそうで,他の短編も含めてミステリーとは言いがたいのですが,伊坂さんらしい軽妙なタッチに中で,何気に自分の生と死を見つめ直せるような作品です。


No.411 6点 黒猫の三角
森博嗣
(2013/09/02 22:47登録)
 見事に,作者の罠にかかりました。出版順に手を出して正解でした。なんて素直な読者なのだろう(笑)。
 確かに,犯人はあの方しかあり得ないだろうと,頭の片隅では思っていたのですがねぇ…。見事にやられました。そういう驚きはウェルカムなのです。
 でもなぁ,どうしてもアンフェア感が払拭できないなぁ…。最初の密室もちょっと強引,というか無理筋じゃないかなぁ…。
 とはいえ,総合的には,S&Mシリーズとはまた違った雰囲気で,嫌いではないタイプ。シリーズ続編も早速読んでみます。


No.410 6点 よもつひらさか
今邑彩
(2013/09/01 00:06登録)
 12編からなる短編集。今邑さんの短編集の中でも,ホラー色がより強く出ている短編集かもしれませんね。
 結末が想像しやすい作品も正直あるのですが,総じて展開が巧く,終盤の捻りが効いています。読みやすい文章も良です。


No.409 5点 有限と微小のパン
森博嗣
(2013/08/25 22:35登録)
 長い作品だっただけに,真相には相当に微妙な印象を抱きましたねぇ。「あっ,そう」としか言いようがないような…。会話シーンなどは楽しかったのですがねぇ。
 ちなみに,真賀田四季に対する評価が(物語中でもこのサイトでも)異様に高いような気がするなぁ。個人的にはちょっとよく分からない。自分が凡才だからかなぁ。それほど興味を抱けないんだよなぁ…。


No.408 4点 ふたりの距離の概算
米澤穂信
(2013/08/17 21:32登録)
 うーん,正直私には合わなかったなぁ。
 そもそも,マラソンしながら推理していくという設定って,必要だったのかなぁ?それほど必然性を感じなかったなぁ…と。情報小出し方式は,別にマラソン大会中でなくても設定可能だろうし,特段緊迫感が増しているわけでもないし…。
 サッサと走り終えて,その後にゆっくりと考えればよかろうに…とか,マラソンのタイムも相当悪かったろうに…とか,つまらないことを考えちゃうのは,私のオジサン度が増しているせいなのかなぁ。


No.407 6点 奇面館の殺人
綾辻行人
(2013/08/12 22:09登録)
 首なし・指なし死体,仮面を被せられた招待客,10年に1度の大雪で閉ざされた“山荘”,その建物の設計は中村青司…という,何とも贅沢な(?)大盛りの設定です。
 読後の感想としては,ある意味この設定があってこその真相ですし,突っ込みたくなる点についても作者から一通りの説明(フォロー?)がなされているので,不満を抱くことは無かったですね。様々練られていますし,流石にそつが無い。
 ただ,ファンとしての我が侭を許していただけるのであれば,「驚き」という面では,シリーズ平均に届かなかったような…。まぁ,それだけ皆の期待度が高まるシリーズだということで,それはそれで凄いことですけどね。


No.406 5点 虚空の逆マトリクス
森博嗣
(2013/08/10 12:14登録)
 バラエティーに富んだ短編集と言えなくはないのですが,出来栄えは相当にマチマチだなぁ…という印象。不発っぽい作品も正直ありましたね。
 とはいえ,「ゲームの国」の回文ネタはなかなか楽しかった。それとファン限定でしょうが,S&Mシリーズの短編が挿入されていることにも,多少のお得感が。(どちらもミステリ的には軽いのですがね…)


No.405 7点 カマラとアマラの丘
初野晴
(2013/08/05 20:42登録)
 廃墟となった遊園地にある動物達の秘密の墓園。愛する動物をここに埋葬するには,墓守の青年・森野と月の深夜に交渉し,自分の最も大切なものを差し出す必要がある…という,何とも幻想的な設定のお話です。
 でもご安心(?)ください。幻想小説的側面とミステリ的側面が,非常に効果的に融合しております。 個人的には,幻想小説は好まない,というか苦手なのですが,この作品に限ってはむしろ「幻想的な側面があってこそ」という気にさせられました。
 メッセージ性もあって,考えさせられる内容でもあります。
 作者といえば,ハルチカシリーズなど「日常の謎系学園モノ」という印象が強かったのですが,こっちの分野もなかなかイケています。


No.404 5点 わたしたちが少女と呼ばれていた頃
石持浅海
(2013/08/02 23:23登録)
 碓氷優佳シリーズ第4弾。
 長編の前三作とは異なり連作短編形式。しかも,彼女の女子高時代を扱っているので前三作とは趣が違うなぁ~と思っていたら,最終的にはやっぱり碓氷優佳は碓氷優佳。どうしても彼女は好きになれない…。
 日常の謎系学園ミステリとしては,可もなく不可もなくといったところかな。


No.403 7点 日曜の夜は出たくない
倉知淳
(2013/07/28 12:53登録)
 猫丸先輩のデビュー連作短編集。
 いやぁ,最後の最後まで楽しめましたね。
 さらに特筆すべきは,決して「最後」に頼ることなく,バラエティに富んだ7短編それぞれが単独で十分に面白いこと。(特に「海に棲む河童」と「163人の目撃者」が良かったかな。)
 お買い得…というか「お読み得」な作品と言えましょう。


No.402 5点 探偵伯爵と僕
森博嗣
(2013/07/28 12:41登録)
 ミステリーランド作品。このシリーズは個人的にいつも評価に迷うのです。(でもソコがまた好きだったりもする。)
 解決までのストーリーは,大人としてはちょっと平板な感じもするのですが,子どもとしては一定楽しめるのかなぁ…という気もします。
 一方で,ラストの伯爵からの手紙はどうなんだろう。「!」となる子どもも確かにいそうだし,まぁ,良しとすべきなのかな。(個人的には,「へぇー」位だったですが…。子ども向けと捉えるとなぁ…。)


No.401 6点 猫柳十一弦の失敗
北山猛邦
(2013/07/28 12:20登録)
 猫柳十一弦シリーズ第2弾。
 個人的には前作の記憶が多少あやふやになっているのですが,前作以上に(良くも悪くも)サクサク読めちゃった気がするなぁ。
 言い伝えの残る山村…4姉妹…等々,いかにもな設定を講じながらの,軽快な内容&展開。この点の評価は分かれそうですが,作者らしいトリックも挟みこまれていたし,個人的には悪い印象ではなかったですね。
 ちなみに,クンクンと教授の関係ってこんな感じなのでしたっけ?


No.400 7点 しあわせの書―迷探偵ヨギガンジーの心霊術
泡坂妻夫
(2013/07/15 21:17登録)
 ストーリー自体は何とも平凡で,特筆すべき点はないですね。
 でも,アノ仕掛けには驚かされました。読み終えるまで全く気付かなかったことにも驚き。
 作者の遊び心というか努力というか…に敬意を表して加点します。


No.399 4点 完全なる首長竜の日
乾緑郎
(2013/07/09 22:36登録)
 現実か否か混然とした進行に頭がクラクラ。余韻もあるし,印象には残りそうです。これも確かな文章力があってこそで,その点は評価いたします。
 一方で,「なんでもできちゃう」設定や,混然としつつもある意味淡々とした進行ぶりから,終盤の肝は比較的想像しやすかったかも。
 個人的にあまり好まない作風であったこともあり,作者の力量は一定認めつつも,この点数とします。


No.398 5点 密閉教室
法月綸太郎
(2013/07/06 21:37登録)
 確かに,作者のその後の活躍を予感させる内容ではあります。終盤の連続反転も嫌いではないし,志の高さも感じます。
 しかし,登場人物の描写を含めて何とも青臭い。角が立っているというか…。
 良くも悪くも,若さに満ちた作品って感じかな。


No.397 5点 黒笑小説
東野圭吾
(2013/07/03 22:14登録)
 「~笑小説」シリーズの第3弾。
 東野作品は長編も勿論良作揃いなのだけれども,作者の性格が如実に表れている(と,個人的には思っている)このシリーズも結構オススメ。何より,作者が楽しんで書いているなぁ…という印象を受けます。
 この短編集の中では,ミステリ作家の哀愁(?)を綴った冒頭の4編が楽しい。他の短編は,気軽に読める点では良いのですが,私の好きな「バカバカしさ」という点ではシリーズ前2作の方に軍配。


No.396 5点 数奇にして模型
森博嗣
(2013/06/30 21:27登録)
 謎の提示(導入部)は結構好みのタイプで,期待が高まったのですが…。結果的にはそうでもなかったなぁ…という印象。
 もっとも,中だるみ感を抱かずに読み進められたし,登場キャラの個性もあって,シリーズファンとしては,まぁ楽しめたと言えるのかな。
 ちなみに,本作の個人的イチオシキャラは,国枝サン。(曾我医師も捨て難いか)

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