まさむねさんの登録情報 | |
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平均点:5.86点 | 書評数:1195件 |
No.775 | 6点 | 少女を殺す100の方法 白井智之 |
(2018/09/04 23:10登録) タイトルどおり、たくさんの少女たちの死体が遠慮なく登場する短編集。作者らしいグロ鬼畜系の作品が揃っていますが、ミステリーとしてのバリエーションは意外に豊か(?)で、心に一定の壁を作って読めれば、楽しめるのではないでしょうか。でも、決して万人受けするとは思えないので、ご注意ください。我慢して読んでいくうちに慣れるという面もありますが。 ①少女教室 いきなり21人の少女が殺され、ある意味で圧倒されます。しかし、全短編読了後に振り返ってみると、この作品が最も王道路線だったような気もします。 ②少女ミキサー もう、タイトルから嫌な予感がしますよね。荒唐無稽な設定すぎて、絶対に人を選ぶ作品です。何が謎なのか、ちょっと判らなくなったりもします。ああ、ミキサー自体は謎じゃないのね…って感じ。 ③「少女」殺人事件 個人的にはこれがベスト。別に人が死ななくてもいいような気はするけど、メタミステリとして面白い。「ノックスの十戒は作者が守るルールであって、読者が守るルールじゃありません」…という台詞は名言。 ④少女ビデオ 公開版 作者らしいエログロが全編にわたって展開されます。白井ワールド全開で、好き嫌いは相応に分かれると思いますね。 ⑤少女が町に降ってくる これも、荒唐無稽すぎる設定。ああ、少女が空から降ってくること自体は、謎ではないのね…って感じ。 |
No.774 | 6点 | 虚栄の肖像 北森鴻 |
(2018/09/02 22:30登録) 絵画修復師・佐月恭壱シリーズの第二弾。 過去の恋人も登場し、佐月の過去も多少明らかにされています。シリーズとしての続編を期待したくなる締め方であるものの、もはや続編を読むことが叶わないことが残念でなりません。 |
No.773 | 3点 | ηなのに夢のよう 森博嗣 |
(2018/08/26 22:53登録) うーん、「F」以来読み続けて来た読者にとっては、コレはコレでいいのかもしれないけれども、もはやミステリーとは言えないのではないか?そして、正直、ファンに甘え過ぎなのではないか? ちなみに、私は、萌絵嬢はもとより、犀川も紅子も四季も好きになれないタイプなのに、何故にこのシリーズを読み進めているのだろうかと、今さらながら悩みだしています。 |
No.772 | 7点 | 眼球堂の殺人~The Book~ 周木律 |
(2018/08/24 23:41登録) メフィスト賞受賞作であり、現在も続く「堂シリーズ」の第一作。 舞台となる「眼球堂」の秘密については、序盤における建造物の図面や丁寧な伏線を把握する中で、全てではないにしても、その一部はかなりの読者が気付くような気がします。それをなぜ、天才数学者が気付けないのか等々、突っ込みたくなる点もございます。 とは言え、エピローグも含め、作者の気概は評価したい。現実味はともかく、志は天晴。続編も読んでみようかな…と思わせられた時点で、私の負け(?)です。 |
No.771 | 6点 | 朱色の研究 有栖川有栖 |
(2018/08/19 09:59登録) 放火殺人事件、海岸での殺人事件、マンションでの殺人事件を組み合わせ、朱色をキーワードに巧く纏めたなぁ…という印象。 次々とページをめくらされ、楽しめたことは間違いないのですが、読後の爽快感が何か物足りなく感じたのも事実。何故なのだろう。やはり、第二の事件の犯人の心情が、個人的にはイマイチ理解しにくかったからなのかな。 |
No.770 | 6点 | ヨギ ガンジーの妖術 泡坂妻夫 |
(2018/08/12 23:30登録) ヨギ ガンジーシリーズといえば、何といっても「しあわせの書」と「生者と死者」の仕掛けが有名で、読者の記憶にも強く残るのでしょうが、ガンジーの初出はこの短編集。なかなかの名探偵ぶりを発揮しています。 ベストは1作目の「王たちの恵み」。終盤の転換がお見事で、短編の見本のような佳作。他の作品のレベルはまちまちだったけれども、全体的にコミカルで読みやすいし、好きなタイプの短編集だったかな。マジックネタの勉強にもなったしね。 |
No.769 | 6点 | 深淵のガランス 北森鴻 |
(2018/08/11 18:53登録) 気品あるオトナの連作集。絵画修復師・佐月恭壱は勿論のこと、周りを囲む登場人物も魅力的です。緊張感のある展開で、殺伐とした何かを想定させながらの、何気な温かさも良かったな。 |
No.768 | 5点 | まっすぐ進め 石持浅海 |
(2018/08/05 23:39登録) 連作ミステリ仕立ての恋愛小説って感じ。作者としては珍しい分野ではありますが、酒飲みながら皆であれこれ推理してみたり…っていうパターンは一緒という見方もできます。 「砂糖合戦」ならぬ「ワイン合戦」における推理など、嫌いじゃない部分もあったけれども、正直、採点としてはこの辺りでしょうか。作者がよく手掛ける「人間の行動や心理をロジカルに考察していく」スタイルって、イマイチ好みではないのですよねぇ。何が正解なのか、よく分からないし。ちなみに、全体の真相としては、全く違った(捻くれた)パターンを予測していたのですが、結構ストレートでしたねぇ。 |
No.767 | 3点 | λに歯がない 森博嗣 |
(2018/08/04 21:56登録) 密室の研究所内で、四人の銃殺死体が発見された。殺された四人とも、死後に歯を抜かれていた…。 謎自体は興味深いのです。でも、解決編は尻すぼみで、もの凄くがっかり。あまり語りたくないほどに残念。うーん、ちょっと評価できないなぁ。 |
No.766 | 6点 | ダリの繭 有栖川有栖 |
(2018/08/03 22:59登録) 有栖川作品は、心穏やかに(?)安心して読めるので好きです。今回の火村シリーズ長編も安心して読める、手堅い長編と言えると思います。 決して派手なトリックがある訳ではないのですが、複数の容疑者を用意し、それぞれに容疑を高めつつも、一定の説明を経て圏外としていく丁寧な姿勢には好感を持ちました。(単に容疑だけ強めて、最終的に投げっぱなしにする作品も、世の中に多数ありますからねぇ…)。 【以下、微妙にネタバレっぽいかな?】 ただ1点だけ意見を。殺意を持っていた方(ある種の真犯人)が、死体を移動させ、殺害現場を偽装できると考えていたことに強い違和感。科学捜査で簡単にばれるよねぇ。「(真犯人が)慎重さによってカバーできる自信を持っていたのだろう」というフォローだけでは弱いような気がしましたねぇ。 |
No.765 | 6点 | 海のある奈良に死す 有栖川有栖 |
(2018/07/25 20:53登録) 以前から、有栖川作品にしては当サイトでの評価が随分と低いなぁ…と思っておりました。むしろ読みたくなっちゃいますよねぇ。 で、結論から言えば、個人的にはそれほど悪い印象は抱かなかったですね。確かに、2つ目の殺人については、トリック自体がアレですし、効果も疑問。また、そこまでして実行する意義も理解しがたい等々、指摘したい点は複数あります。 一方で、全体構成としては、伝説等の絡ませ方も含めて、比較的綺麗に纏まっているのではないかと感じました。終盤の絵解きもなかなか楽しかったし、記憶に残りそうではあります。 このサイトの平均点の低さは、有栖川作品への一般的な期待値の高さの裏返しなのであろうと、ファンとしては捉えたいと思います。 |
No.764 | 6点 | レタス・フライ 森博嗣 |
(2018/07/17 23:31登録) 文庫版で読了。10の短編・掌編で構成されています。うち、収録作品の中では長めの2短編の感想を。 「ラジオの似合う夜」は、それ単体でも読めるのですが、Vシリーズを読まれてからの方が「ああ、あの方ですね」という付加価値があって、より楽しめると思います。 「刀之津診療所の怪」も同様に、それ単体でも読めます。で、登場人物からして、こっちはGシリーズを読んでからなのでしょうね…と思わせておきながら、実はVシリーズとの関係が重要だったりするパターン。いや、正確にはVシリーズというよりも、これまで発表されてきた短編集の中の1編が重要なのかも。でもコレって、個人的には終盤1ページで「ん?何だっけ。記憶にあるような、ないような…」と気になり、最終的には他の方のブログで判明できたもの。確かに判明した後は「!」となりましたが、普通はソコまでは把握していないのではないかなぁ。真に楽しめるのは、コアな森ファン限定のような気がします。 他の短編&掌編は、如何にも作者らしい作品で、人によって好き嫌いが大きく分かれると思いますが、個人的には積極的な評価は控えたいかな。ちなみに、最終話の「ライ麦畑で増幅して」は、私が未読の作品(Xシリーズ?)と関連がありそうなのだけれども、現時点ではよく分からなかったですね。 |
No.763 | 6点 | ライオンは仔猫に夢中 東川篤哉 |
(2018/07/14 16:06登録) 近年、複数のシリーズによる短編を書き続けている作者。各シリーズの使い分けというか、シリーズの特徴について、作者はどこまで拘っているのか、微妙なところがあるのですが、ついこの間読んだ「探偵少女アリサ」シリーズと比べてみると、本書は、本格度はやや高め、ギャグは低めといったところでしょうか。短編自体の練り具合も、本書の方が堅実かも。気軽に読む分には、いいかな。 |
No.762 | 4点 | ホテル・カリフォルニアの殺人 村上暢 |
(2018/07/14 13:41登録) 「このミステリーがすごい!」対象の「超隠し玉」として刊行された作品。で、この「超隠し玉」というのは、「このミス」大賞15周年記念として、これまで応募された未刊行作品の中から、受賞には及ばなかったものの、編集部が「今こそ世に出したい」と選び抜いた作品だそうです。 まぁ、つまりは過去の応募作の中から掬い上げた(拾い上げた?)作品でして、私はこの点に興味をそそられて本書を手にしたわけですが、読後は「なるほど、その年に受賞等の栄誉に浴しなかったのは妥当というべきなのだろうなぁ…」と妙に納得したというのが率直な感想です。 このミス大賞としては珍しいド本格路線で、密室も含めて複数のトリックを詰め込んだ姿勢は、確かに一定評価するべきなのだろうと思います。 しかしながら、簡潔に述べるとすれば「全体的に荒く、そしてイタい」。まずは、トリックが荒い。現実味がなさすぎます。何でも音楽と結びつけようとする姿勢も個人的にはイタかった。登場人物の設定にも無理が目立ち、かつ、魅力も薄い。それと、作者には酷かもしれませんが、そもそもの文章力が・・・。 色々と書いてしまいましたが、本格愛を感じたのも事実。次作が発表されれば、何気に読んでしまう可能性はあります。 |
No.761 | 5点 | 探偵少女アリサの事件簿 今回は泣かずにやってます 東川篤哉 |
(2018/07/08 18:16登録) 探偵をやりたくて仕方がない10歳の美少女・有紗(アリサ)。しかも両親ともに名探偵で、国内外で活動中。なんか某アニメ作品の少女版って感じもしますねぇ。そして両親不在の際、アリサの子守役を依頼される「なんでも屋」の橘良太(31歳独身)。この2人のコンビによる連作短編集第2弾ですね。 正直、各短編のネタ自体は、どれも小粒です。何かに使えるかも…とネタ帳にメモっておいたヤツを引っ張り出してきました…ってところか。何気にテレビを見ていて思いついたネタもありそう。まぁ、軽く読む分には悪くないのだけれどもね…。 ちなみに、この2人のコンビって、アリサの両親の設定も含めて、結構使い勝手がいいような気がするので、大事に(?)使うって手法はないものかなぁ。逆に使い勝手がいいからこそ、軽い短編にフィットするものなのかな。 |
No.760 | 6点 | 御手洗潔のダンス 島田荘司 |
(2018/07/05 20:59登録) ミタライ感全開(?)の短編集。好き嫌いは結構別れるのかも。 ①山高帽のイカロス:これぞ島荘といった短編。この味を楽しめるかどうか。 ②ある騎士の物語:伏線が分かりやすいかも。ちなみに、実際に実行するのは難しいと思うなぁ…。 ③舞踏病:前2作ほどの「大技」はないのですが、何気に好き。 ④近況報告:石岡による、御手洗の近況報告。ここで触れられた分野がその後、御手洗作品のテーマになってくる。その意味でも、この短編は純粋に御手洗ファンに向けた作品と言えるのでは。 |
No.759 | 6点 | 少女キネマ 一肇 |
(2018/07/01 19:05登録) どのように分類すればよいのだろう。全編にわたり完全に青春小説であって、一部ミステリー要素も含むってところか。 作者の情熱を感じさせつつ語り口は軽妙で、癖のある登場人物たちも含めて、楽しませてはもらいました。青春小説として様々な要素を混ぜ込んだ姿勢も嫌いではない。 しかし、読中に何とも言えない暑苦しさと青臭さを感じたことも事実。例えば、「自分探しをするのは結構だけど、迷惑かけちゃだめだよね」とか、とある真相に対して「え?それだけのこと?」などと感じてしまったりね。嗚呼、私にとって青春はどんどん遠いものになっているのだなぁ、何とも面倒な中年になったものだなぁ…と、少し悲しくなったりして。 |
No.758 | 7点 | ブルーローズは眠らない 市川憂人 |
(2018/06/24 19:06登録) 鮎川賞受賞作「ジェリーフィッシュは凍らない」に続く、シリーズ第2弾。 二つのストーリーが交互に語られるスタイルの、正統派本格作品。トリック・プロットともに実に良く考えられています。色彩的な要素の絡ませ方にも好感。 一方、犯人として、目的を果たしたいのであれば、自分以外の第三者を巻き込まない、さらに安全で効果的な手法があったのではないか…との疑問が残ったのも事実ですね。 |
No.757 | 6点 | チョコレートゲーム 岡嶋二人 |
(2018/06/18 22:36登録) リーダビリティが高く、グイグイと読まされました。ほぼ一気読みに近かった。トリック自体に特筆すべき点はないのですが、伏線の配置や転換も含めて、巧く纏めている印象です。 他方、もっと根深い組織的な闇があるのかと思いきや…うーん、事件後になぜ同級生たちが揃って口を閉ざそうとしたのか、違和感も残りました。親父と警察が「チョコレートゲーム」に関して、しっかりと情報共有するべきであったろうに。ミステリとは直接関係ないけれども、何とも切ない話ではあります。 |
No.756 | 6点 | εに誓って 森博嗣 |
(2018/06/16 18:29登録) Gシリーズ4作目。今回は、どのシリーズでも作者が1度は仕掛けてくる、あっち系でございました。ストレスなく読み進められたし、個人的には好印象。ミステリーの中身としては、これまで読んだ4作品の中で最も整っていたような気がします。 |