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ミステリの祭典

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螺旋の底

作家 深木章子
出版日2013年03月
平均点6.40点
書評数5人

No.5 7点 斎藤警部
(2025/12/31 22:31登録)
つらつら夢のように読めてしまうサスペンス。 舞台はナチスとレジスタンスの噴煙いまだ燻る、20世紀中盤のフランス片田舎に建つ名家の豪邸と、時々パリ。
豪邸の地下室には xxxxxxxx との、事実上事実のような噂が沈降している。

田舎のスキャンダラスな視線に晒された “夫婦” の視点交替で進行する、ホワットダニット+ホワッツゴーイングオンの、微妙にずれる二刀流。 夫婦はお互い腹に一物。 二人の出逢いは或る交通事故を通じての事。 そこでは死人が出ている。
さて二人の “腹に一物” には(ミステリ的に素敵な)重みの不均衡があるようだが。。

“一つのことにあまりにも神経を集中させていると、宇宙に放り出された恒星のように、まわりが見えなくなる。”

やがて邪悪な行為がエスカレートする。 物語のなかば、絶妙なタイミングでサスペンスの向かう標的がチェンジする、あるいは分散の上で再構築、特定される。
なんと、主役級人物と読者とのすれ違い! これは効いたよなあ。
おっと、何かがクロスした。 直後、意外過ぎる暴風展開に、次々と場を掻き乱す死体また死体。

“彼らはふたたび気を引き締めたが、その意気込みは、続いて起きた大騒動の前に吹き飛ばされることとなった。”

呆気なく突入したエピローグは、混乱と整理収束の場となった。
意外な所で解説が入る、ヴィジュアル鮮やかな物理トリックは、或る意味タイトルと鮮烈に切り結んだ。
目次に明記されている通り、この小説はエピローグではまだ終わらないのだ。

真相には、思い至らなかったな ・・・

さて、頭から読み返しますか。

No.4 8点 虫暮部
(2020/12/27 13:30登録)
 うわっ、全然気付かなかった。スカッと騙され気分爽快。
 
 ……で済めば良かったんだが。同作者の後年の某作って本書の焼き直しじゃない? 私は逆順で読んじゃったけど。本書の方が圧倒的に上。

No.3 6点 まさむね
(2019/06/20 21:45登録)
 舞台は北フランスの小村。そして中世の城のような石造りの館。謎めいた登場人物…ということで、まずは作品を包みこむ薫りがイイですね。
 そして、高いリーダビリティ―に裏打ちされた伏線の細やかさが見事(読了後に気付いたのですがね)。目新しさという観点では多少消極的な評価になりますが、非常に楽しませていただいたことも事実。作者の裾野の広さも感じることができました。

No.2 5点 HORNET
(2016/09/24 20:44登録)
 村の名士のもとに嫁いだ女性。その住処である古い館には、大戦のころ、いわれのない罪を着せて処刑された村人たちの遺体が隠されているという。
 現在は時を経て、平穏に見える村だが、夫も、妻も、何かしらの企みをもっているような不審な行動が続く。いったい村に何が起きているのか、妻のねらいは何なのか…。
 外国を舞台にした話にしては、展開に平易なところがなく、面白く読み続けることができた。ただ、最後の真相が、ちょっと・・・フェアじゃないとまでは言わないけど、「え-・・・そう来る―?」という感があったので・・・この点数。

No.1 6点 kanamori
(2013/05/12 11:02登録)
北フランス小村の丘に建つ古い館を舞台に、共に秘密を抱えた新婚夫婦の思惑を交互に描くサスペンス小説。

三階から地下室までつづく螺旋階段という舞台設定や前妻の影など、ゴシック小説の雰囲気を漂わせ、前2作とちょっと作風が違いますが、作品全体の構成に仕掛けを施し、最後にサプライズを演出する手法は同じです。トリックに既視感はあるもののなかなか巧妙に騙られていると思います
ただ、物語に膨らみがないので、読み応えという点では物足りない感じを受ける。

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