home

ミステリの祭典

login
空想オルガン
〈ハルチカ〉シリーズ

作家 初野晴
出版日2010年09月
平均点6.25点
書評数4人

No.4 6点 まさむね
(2019/08/13 20:51登録)
 ハルチカシリーズの第三弾。今回は、清水南高校吹奏楽部が東海地区大会出場まで果たした夏の物語。本作の時点で主人公は高校2年生という設定なので、今後の成長も楽しみです。
 で、内容としては、切なさの中に連作短編最終話としての切れ味を感じた表題作「空想オルガン」が印象的なのですが、個人的には「ヴァナキュラー・モダニズム」の大技(?)も捨てがたいですね。へー、初野さんって、こういったタイプの作品も書かれるのですね…という軽い驚きがありました。

No.3 7点 青い車
(2016/09/22 23:40登録)
 シリーズ三作目ですが、暗号あり、怪奇現象ありで今回も楽しませてくれます。しかし、やはり表題作の収束性に尽きる本だと思います。ギミックとしてはありがちなのに、感動的な見せ方がうまく実に効果的です。青春小説としても、吹奏楽部の活躍が盛り上がり、いよいよ軌道に乗ってきた感があります。長い期間でコツコツ書かれてきただけあって、シリーズにまったく尻すぼみ感はありません。読み残している『千年ジュリエット』『惑星カロン』にも期待が持てます。

No.2 6点 メルカトル
(2014/08/03 22:00登録)
ハルチカシリーズ第三弾。相変わらず、学園ものの雰囲気を程よく醸しながら、各キャラの描き分けもきっちりできており、好感の持てる短編が並ぶ。今回はついに吹奏楽のコンクールに初出場し、しかしそちらに重心が傾くことなく、しっかりとミステリとしての体裁を保っている。
最終話ではこれまでにない構成が新味を出しており、さらにちょっとしたサプライズも用意されていて、素敵な佳作に仕上がっている。青春っていいもんだね、と再認識させられる。それも押しつけがましさがない辺りが、この作者の心憎いところじゃないかな。
『ヴァナキュラー・モダニズム』は一番のお気に入り。これは面白い、オチも最高。kanamoriさんと同じだね。

No.1 6点 kanamori
(2010/10/19 18:15登録)
学園ものの連作ミステリ、”ハルチカ”シリーズ第3弾。
高校の吹奏楽部メンバーが遭遇する”日常の謎”が4編収録されていますが、「序奏」として前2作のエピソードのおさらいがあり、主要部員の紹介がされていて本編に入りやすい。
収録作のなかでは、幽霊アパートの謎を扱った「ヴァナキュラー・モダニズム」が好み。ある個性的な人物の登場と島荘的奇想が楽しめる。最終話の「空想オルガン」は、連作特有の仕掛けもあるが、哀切で美しい結末が印象に残る作品でした。

4レコード表示中です 書評