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ミステリの祭典

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平均点:6.00点 書評数:1851件

プロフィール| 書評

No.91 6点 龍臥亭幻想
島田荘司
(2009/09/30 22:43登録)
「龍臥亭事件」の続編。本作で初めて、御手洗潔と吉敷警部が競演します。(一緒に登場はしませんが・・・)
それもこれも、龍臥亭で石岡と通子が出会ったからですね。
内容はと言えば、かなり幻想小説的です。特に、森孝魔王伝説に模した部分は甚だ現実感がありませんし、いくら理由があっても自分の体をそこまで痛めつけるなんて・・・想像できませんでした。


No.90 8点 双月城の惨劇
加賀美雅之
(2009/09/30 22:28登録)
作者初の長編であり、ベルトラン判事シリーズの第1作。
まさに某二階堂氏の「悪霊の館」と「人狼城の恐怖」を足して2で割ったような作品。(二階堂氏も巻末の解説でそう言ってます)
「人狼城」とは一部登場人物の名前まで被ってますし・・・
トリックの大掛かりさは島田荘司の往年の名作を彷彿させます。伏線はそこかしこに張ってありますが、特に二番目の殺人は相当高レベルな謎だと思います。(現実性は置いといて)
9点でもいいのですが、「監獄島」(9点)よりはマイナス1点としました。


No.89 5点 ユリ迷宮
二階堂黎人
(2009/09/26 23:56登録)
二階堂蘭子シリーズの短編集。
3つとも、氏の作品としてはあまり大仕掛けのない普通の作品という印象。
「ロシア館・・・」はたとえそういう理由で消失したとしても、何らかの痕跡くらいは十分残っているはずだと思うんですが・・・
「劇薬」はブリッジのルールがよく分からずに苦戦しました。ヴァン=ダインの「カナリア殺人事件」ばりの心理的解決方法は成功しているとはいえません。


No.88 8点 炎蛹 新宿鮫V
大沢在昌
(2009/09/26 23:49登録)
シリーズ第5作。シリーズの中でも好きな作品の一つです。
いつも単独で行動する鮫島ですが、今回はパートナーとともに捜査に当たります。
防疫官の甲屋は、私の好きなサブキャラクターで、ハードボイルドタッチの本シリーズにはないユーモアを感じさせます。
あと、あのオカマ・・・
いつもながら、刑事という職に対する鮫島の真摯な姿は読み手を熱くさせます。


No.87 7点 屍蘭 新宿鮫III
大沢在昌
(2009/09/26 23:38登録)
シリーズ第3作。今度の殺人鬼はおばちゃんです。
新宿鮫シリーズの中では比較的地味めな作品ですが、鮫島警部が犯人グループの罠に落ち、刑事職を追われる一歩手前まで追い詰められます。
その時の藤丸刑事部長の言葉がいいです。警察組織で四面楚歌の鮫島に対して、救いの手が差し延べられ、「・・・君はいい刑事だ・・・」という台詞。
しかし、このシリーズを読んでいると、新宿という街が本当に恐ろしくなってきます。


No.86 8点 孤島パズル
有栖川有栖
(2009/09/26 00:15登録)
有栖川作品の中では1,2を争う名作ではないかと・・・
とにかくロジックに徹しているのが良いと思います。伏線はきっちり張られていましたので、完璧じゃないにしろ真相に肉薄するのは可能でしょう。
まあ、逆に分かりやすいとは言えるかもしれませんが、純粋な謎解きが楽しめますし、メモを片手にとりながら読める、まさに本格推理小説「入門編」とも言うべき良作でしょう。


No.85 8点 冤罪者
折原一
(2009/09/26 00:06登録)
「~者」シリーズ第2作。シリーズ中では一番面白いと思います。
普通に読んでいれば絶対に騙されるでしょう。とにかく、途中から登場人物が入り乱れてきて、正直何が何だか分からなくなってきます。いったいどうなっているんだぁ・・・と思っているところへ、最後にどんでん返しがやって来て、なるほどねぇ・・・というラストです。折原作品としてはまとまった解決方法になっているでしょう。
ただ、ちょっと長いのが玉に瑕。途中、萎えそうになります。


No.84 6点 特急「白鳥」十四時間
西村京太郎
(2009/09/25 23:58登録)
十津川警部物ですが、通常のトラベルミステリーとはちょっと違いタイムリミット・サスペンス風です。
十津川警部のパートナーとして欠かせない亀井刑事が命を狙われますが、彼はあえて自身を囮として特急「白鳥」に乗り込みます。「白鳥」が青森駅に着く十四時間の間に犯人を捕まえることができるのかというのが粗筋。
通常の謎解きものにはない緊張感があり、他のトラベルミステリーよりはお勧めです。ちなみに、現在の「白鳥」は八戸~函館間を走る列車に変わっています。


No.83 4点 そして二人だけになった
森博嗣
(2009/09/23 21:24登録)
森氏の作品は、以前犀川&萌絵シリーズを何作か読んで以来でしたが・・・
途中二人になるまでは、どういう展開になるのか面白く読んでいましたが、ちょっと最後の方は理解できなかったですねぇ。
要はどこかで入れ替わりが発生しているのかなという予想はしてましたが、何か捻り方が違う方向というか違和感しか残りませんでした。


No.82 8点 ホワイトアウト
真保裕一
(2009/09/23 21:09登録)
やっぱり今のところは作者の最高傑作だと思います。
日本版(またはダム版)「ダイハード」という見方は正しいと思いますし、そういう意味では二番煎じなのですが、テロ集団に一人で戦いを挑む主人公の姿はやっぱりかっこいいと言わざるをえません。
とにかく読み始めたら止まらない。それが、よいエンターテイメント小説の証拠だと思える作品でしょう。


No.81 7点 誘拐者
折原一
(2009/09/23 20:53登録)
「~者」シリーズの第1段。(番外編ともいえますが)
新生児誘拐事件に端を発して、狂気に支配された2人の女の鬼気迫る姿がストーリーに何とも言えない緊張感をもたらしています。
話の視点(語り手)が次々変わっていくのは折原氏の十八番的展開ですし、最後の「やっぱりな」という感想もいつもどおりですが、本作は特に殺し屋・佐久間玉枝の描写が秀逸です。最後の年表(?)も分かりやすくて良いと思いました。


No.80 6点 犯人に告ぐ
雫井脩介
(2009/09/21 22:44登録)
今までになかった「劇場型捜査」に挑む巻島警部を主人公にした警察小説?
買ったときはもう映画が公開されていたので、読みながら豊川悦司扮する巻島警部が頭の中で映像化されているような気にさせられました。もろに映像が嵌まりそうな展開です。
やっぱりうまいですね。話の盛り上げ方が。引っかかる部分もほとんどなく、最後まで一気読みしました。
ただ、ミステリー的にはこの点数ですかねぇ。ちょっと軽いですし。


No.79 6点 半落ち
横山秀夫
(2009/09/21 22:28登録)
世間的評価の高さに引かれて読破。
確かに「良い小説」だと思いました。空白の2日間にまつわる話も納得いくものだという感じ。(まぁ、驚きはないですが)
ただ、ミステリーとしての評点はこんなもんかなぁ・・・
ほかの作品も多分面白いだろうとは思うんですが、他の読みたい作品に優先して読もうとはなかなか思えないです。


No.78 6点 風果つる館の殺人
加賀美雅之
(2009/09/21 22:17登録)
ベルトラン判事シリーズの第3作目。
ある資産家の女主人の死による骨肉の相続争いをベースに、殺人事件が不可能状況で次々に起こります。
作者によれば、本作は「犬神家の一族」へのオマージュ(骨肉の相続争いにまつわる連続殺人ですから・・・)ということですが、島田氏の「魔神の遊戯」ともスコットランドの巨人伝説で被っています。
大掛かりなトリックということではこれまでの2作と変わらないですが、”迫力”という点では劣りますかねぇ。そのトリックもちょっと分かりにくい。(特に最初のやつ)
ただ、雰囲気は相変わらず好きです。


No.77 7点 天井裏の散歩者 幸福荘殺人日記
折原一
(2009/09/19 21:36登録)
連作短編集(?)
叙述トリック云々というより、単純に読み物として面白い作品。こういう作品は、あら探しをあれこれするよりも、単純に展開を楽しんでしまいます。
読んでいくうちに、どんどん不思議感は広がっていくんですが、ちょっと最後のオチはいただけなかったですね。「それかよ!」という感じ。
でも、初期作品は最近の作品にない明るさやマヌケさがあって好きです。


No.76 5点 魔神の遊戯
島田荘司
(2009/09/19 21:24登録)
普通の作家だったらもっと高い評点でもいいと思いますが、島田氏の作品なのでこの点数です。
読んでいる間ずっと御手洗に違和感を感じてましたが、なるほどそういうラストが用意されてましたか・・・という感想です。
スコットランドの大男伝説については、某加賀美氏も作品の中で引用していましたが、加賀美氏の方がむしろ往年の島田氏を彷彿させるトリックだったような気がします。(あまり成功したとは言えませんが・・・)
やっぱり、近年の氏の作品は何か「キレ」が足りないですね。


No.75 7点 扉は閉ざされたまま
石持浅海
(2009/09/19 17:18登録)
賛否両論いろいろある作品みたいですが、素直に作品世界に浸れば、かなり面白い作品じゃないかというのが感想。
よく言われている「動機の弱さ」は気になりませんね。本作の試みに「動機」は特別重きは置かなくてよいでしょう。
倒叙形式の場合、犯人の心理描写に関してで如何に読者を引き付けるか、という点が大事だと思いますが、そういう意味で伏見氏の心理描写(徐々に追い詰められていく)も十分楽しめました。


No.74 5点 焦茶色のパステル
岡嶋二人
(2009/09/19 17:00登録)
競馬の世界で言う「生産牧場」の不祥事に殺人事件を絡めた作品。競馬+ミステリー好きの私にとっては興味のある作品でしたが・・・
殺人の方はなにかすっきりしない印象。最後にちょっとしたドンデン返しがあるんですが、とって付けたような真犯人みたいで、2時間ドラマのラストシーンみたいですねぇ。
その代わり、パステルにまつわる謎についてはなかなか面白く読ませていただきました。遺伝の件(くだり)も思わずニヤツ。


No.73 4点 千一夜の館の殺人
芦辺拓
(2009/09/15 22:36登録)
実際、あまり氏の作品は読んでいないんですが、「うーん、何か印象に残らない」というのが正直な感想ですねぇ。特にラストが。
本作も謎の提示はいいと思うのですが、いかんせん途中から急にトーンダウンしたという感じです。森江春策もどうも人物像が想像しにくいんですよね・・・
他に評価の高い作品もあるので、決め付けず読んでみようとは思います。


No.72 7点 終戦のローレライ
福井晴敏
(2009/09/15 22:28登録)
太平洋戦争を舞台とした一大スペクタクル小説。
まさに福井版「沈黙の艦隊」といった趣きで、読んでいる間、自分がまるで当時の潜水艦の中にいるかのような臨場感を味わえます。
「亡国の・・・」は上官と部下の信頼・友情をテーマにしていますが、本作はラブストーリー的要素も結構入っています。(映画では妻夫木と香椎由宇でしたね)
個人的には、「亡国」の方が好みなのでこの点数としましたが、時間のあるときに一気読みすることをお勧めします。

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