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ミステリの祭典

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平均点:6.00点 書評数:1859件

プロフィール| 書評

No.99 5点 北の狩人
大沢在昌
(2009/10/08 22:48登録)
本作の舞台も「新宿鮫シリーズ」と同様、歌舞伎町なのですが、夜の新宿が似合う鮫島警部と違い、秋田から出てきた田舎の青年が主人公です。
やっぱり「新宿鮫シリーズ」には敵うべくもない、というのが感想ですね。
主人公が真相を追う事件の真犯人も確かに意外性はあるんですが、「さもありなん」という設定という感じですし・・・作品自体の盛り上がりとか緊張感に欠けてます。


No.98 5点 水晶のピラミッド
島田荘司
(2009/10/04 22:10登録)
御手洗潔シリーズがやたら長くなったシリーズ?の2作目。(1作目は「暗闇坂・・・」)
複数の方の書評にもありますが、エジプト云々とタイタニック号云々というサイドストーリーは本当に必要なのか誰か教えてほしいです。読み手にとっては、本題に入る前に挫折しそうになります。
まぁ、これも島田氏の器・スケールの大きさ故なのでしょう。御手洗もレオナとの絡みではやたら格好良く書かれているので、ちょっと好感度下がります。


No.97 5点 聖アウスラ修道院の惨劇
二階堂黎人
(2009/10/04 21:59登録)
二階堂蘭子シリーズの長編3作目。
初期の蘭子シリーズとしては出来の悪い部類でしょうねぇ。首切り殺人やキリスト教の暗部など、後の作品にも度々出てくるようなギミックも登場しますが、今回はいかんせんトリックがパッとしないです。
蘭子シリーズは、たびたび犯罪のバックボーンとして宗教絡みの話が出てきますが、なかなか呑み込めない部分がありますね。


No.96 7点 密室殺人ゲーム王手飛車取り
歌野晶午
(2009/10/04 21:40登録)
異色の連作短編集で、氏のプロットと技巧のうまさが光る作品。
個別の殺人事件についてチャットのメンバーで推理合戦をするということだけかと思いきや、バックに大きな秘密が隠されていた・・・という展開。
個人的には、最初のミッシングリンクの話が○○絡みで一番面白かったですね。あと、「生首に聞いてみる?」はタイトルが面白い。
とにかく氏のアイデアに脱帽です。続編も楽しみ。


No.95 8点 人形はなぜ殺される
高木彬光
(2009/10/03 00:11登録)
日本の本格推理小説における一つの金字塔なのは確かだと感じます。
まさに「様式美」ですね。神津恭介という稀代の名探偵やおどろおどろしささえ感じる犯人像、そして「読者への挑戦」の挿入・・・本格ファンが喜ぶ要素で一杯です。
多くの方の指摘どおり、本格物を読み漁っているファンであれば、真犯人に関しては途中で感付くと思いますが、そこでタイトルの謎が立ちふさがります。「人形はなぜ殺されるのかと」
まず、「読んでおくべき作品」という評価で間違いないでしょう。


No.94 5点 架空通貨
池井戸潤
(2009/10/02 23:47登録)
乱歩賞受賞後の長編第2作目。
ある大企業に牛耳られている地方都市を舞台に、その街だけで流通している”通貨”をめぐって起こる犯罪・・・というのが粗筋です。
ちょっと中盤ダレ気味になるのと、大きな風呂敷を広げた割にはラストがややしょぼいというのが読後の感想ですかねぇ。
まぁ、まだ作家としての方向性が定まっていない時期だったんでしょうし、仕方ないかな。


No.93 7点 幻影城の殺人
篠田秀幸
(2009/10/02 23:30登録)
氏の弥生原探偵シリーズでは一番出来のいい長編。
ホテルの一室で起こる「四重密室殺人事件!」が本作の白眉です。(犯人が現場に入れないし出られない)
一部過去の名作のトリックを借用していますが、なかなか綺麗な解決方法ですし、不可能状況の見せ方はうまかったですね。
ただ、角川映画(「人間の証明」とか「戦国自衛隊」とか…)
をモチーフとした架空の大型テーマパークを作品の舞台としているのが何か笑えます。(なぜか、薬師丸ひろ子も出てきますし・・・)


No.92 6点 黒猫館の殺人
綾辻行人
(2009/09/30 23:03登録)
「館」シリーズ。
プロット自体は割りと好きな作品ですが、「館」に関するメイントリックについては、さすがに途中で分かりました。伏線がかなりあからさまですね。
その他にはさしたる見所がないので、逆に言えば考え込まずにサクサク読める作品かもしれません。


No.91 6点 龍臥亭幻想
島田荘司
(2009/09/30 22:43登録)
「龍臥亭事件」の続編。本作で初めて、御手洗潔と吉敷警部が競演します。(一緒に登場はしませんが・・・)
それもこれも、龍臥亭で石岡と通子が出会ったからですね。
内容はと言えば、かなり幻想小説的です。特に、森孝魔王伝説に模した部分は甚だ現実感がありませんし、いくら理由があっても自分の体をそこまで痛めつけるなんて・・・想像できませんでした。


No.90 8点 双月城の惨劇
加賀美雅之
(2009/09/30 22:28登録)
作者初の長編であり、ベルトラン判事シリーズの第1作。
まさに某二階堂氏の「悪霊の館」と「人狼城の恐怖」を足して2で割ったような作品。(二階堂氏も巻末の解説でそう言ってます)
「人狼城」とは一部登場人物の名前まで被ってますし・・・
トリックの大掛かりさは島田荘司の往年の名作を彷彿させます。伏線はそこかしこに張ってありますが、特に二番目の殺人は相当高レベルな謎だと思います。(現実性は置いといて)
9点でもいいのですが、「監獄島」(9点)よりはマイナス1点としました。


No.89 5点 ユリ迷宮
二階堂黎人
(2009/09/26 23:56登録)
二階堂蘭子シリーズの短編集。
3つとも、氏の作品としてはあまり大仕掛けのない普通の作品という印象。
「ロシア館・・・」はたとえそういう理由で消失したとしても、何らかの痕跡くらいは十分残っているはずだと思うんですが・・・
「劇薬」はブリッジのルールがよく分からずに苦戦しました。ヴァン=ダインの「カナリア殺人事件」ばりの心理的解決方法は成功しているとはいえません。


No.88 8点 炎蛹 新宿鮫V
大沢在昌
(2009/09/26 23:49登録)
シリーズ第5作。シリーズの中でも好きな作品の一つです。
いつも単独で行動する鮫島ですが、今回はパートナーとともに捜査に当たります。
防疫官の甲屋は、私の好きなサブキャラクターで、ハードボイルドタッチの本シリーズにはないユーモアを感じさせます。
あと、あのオカマ・・・
いつもながら、刑事という職に対する鮫島の真摯な姿は読み手を熱くさせます。


No.87 7点 屍蘭 新宿鮫III
大沢在昌
(2009/09/26 23:38登録)
シリーズ第3作。今度の殺人鬼はおばちゃんです。
新宿鮫シリーズの中では比較的地味めな作品ですが、鮫島警部が犯人グループの罠に落ち、刑事職を追われる一歩手前まで追い詰められます。
その時の藤丸刑事部長の言葉がいいです。警察組織で四面楚歌の鮫島に対して、救いの手が差し延べられ、「・・・君はいい刑事だ・・・」という台詞。
しかし、このシリーズを読んでいると、新宿という街が本当に恐ろしくなってきます。


No.86 8点 孤島パズル
有栖川有栖
(2009/09/26 00:15登録)
有栖川作品の中では1,2を争う名作ではないかと・・・
とにかくロジックに徹しているのが良いと思います。伏線はきっちり張られていましたので、完璧じゃないにしろ真相に肉薄するのは可能でしょう。
まあ、逆に分かりやすいとは言えるかもしれませんが、純粋な謎解きが楽しめますし、メモを片手にとりながら読める、まさに本格推理小説「入門編」とも言うべき良作でしょう。


No.85 8点 冤罪者
折原一
(2009/09/26 00:06登録)
「~者」シリーズ第2作。シリーズ中では一番面白いと思います。
普通に読んでいれば絶対に騙されるでしょう。とにかく、途中から登場人物が入り乱れてきて、正直何が何だか分からなくなってきます。いったいどうなっているんだぁ・・・と思っているところへ、最後にどんでん返しがやって来て、なるほどねぇ・・・というラストです。折原作品としてはまとまった解決方法になっているでしょう。
ただ、ちょっと長いのが玉に瑕。途中、萎えそうになります。


No.84 6点 特急「白鳥」十四時間
西村京太郎
(2009/09/25 23:58登録)
十津川警部物ですが、通常のトラベルミステリーとはちょっと違いタイムリミット・サスペンス風です。
十津川警部のパートナーとして欠かせない亀井刑事が命を狙われますが、彼はあえて自身を囮として特急「白鳥」に乗り込みます。「白鳥」が青森駅に着く十四時間の間に犯人を捕まえることができるのかというのが粗筋。
通常の謎解きものにはない緊張感があり、他のトラベルミステリーよりはお勧めです。ちなみに、現在の「白鳥」は八戸~函館間を走る列車に変わっています。


No.83 4点 そして二人だけになった
森博嗣
(2009/09/23 21:24登録)
森氏の作品は、以前犀川&萌絵シリーズを何作か読んで以来でしたが・・・
途中二人になるまでは、どういう展開になるのか面白く読んでいましたが、ちょっと最後の方は理解できなかったですねぇ。
要はどこかで入れ替わりが発生しているのかなという予想はしてましたが、何か捻り方が違う方向というか違和感しか残りませんでした。


No.82 8点 ホワイトアウト
真保裕一
(2009/09/23 21:09登録)
やっぱり今のところは作者の最高傑作だと思います。
日本版(またはダム版)「ダイハード」という見方は正しいと思いますし、そういう意味では二番煎じなのですが、テロ集団に一人で戦いを挑む主人公の姿はやっぱりかっこいいと言わざるをえません。
とにかく読み始めたら止まらない。それが、よいエンターテイメント小説の証拠だと思える作品でしょう。


No.81 7点 誘拐者
折原一
(2009/09/23 20:53登録)
「~者」シリーズの第1段。(番外編ともいえますが)
新生児誘拐事件に端を発して、狂気に支配された2人の女の鬼気迫る姿がストーリーに何とも言えない緊張感をもたらしています。
話の視点(語り手)が次々変わっていくのは折原氏の十八番的展開ですし、最後の「やっぱりな」という感想もいつもどおりですが、本作は特に殺し屋・佐久間玉枝の描写が秀逸です。最後の年表(?)も分かりやすくて良いと思いました。


No.80 6点 犯人に告ぐ
雫井脩介
(2009/09/21 22:44登録)
今までになかった「劇場型捜査」に挑む巻島警部を主人公にした警察小説?
買ったときはもう映画が公開されていたので、読みながら豊川悦司扮する巻島警部が頭の中で映像化されているような気にさせられました。もろに映像が嵌まりそうな展開です。
やっぱりうまいですね。話の盛り上げ方が。引っかかる部分もほとんどなく、最後まで一気読みしました。
ただ、ミステリー的にはこの点数ですかねぇ。ちょっと軽いですし。

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