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ミステリの祭典

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誘拐者

作家 折原一
出版日1995年08月
平均点6.38点
書評数8人

No.8 8点 測量ボ-イ
(2023/03/07 21:22登録)
叙述トリックの名手である氏の意欲作であり、力作です。
単なるありきたりの誘拐ものとは異なる趣向があります。
章によって時制が変わったり語り手が変わったりでいろんな
人物や事実が錯綜し、読者を混乱させます。
そしてスッキリと騙されます 笑
そこが良いところでもあり、人によっては向かないかも。
筆者の場合も、話しの最後に事実が時系列で書いた表があっ
たので把握できましたが、これがなかったらいまだにわかっ
てなかったかもです。
難点は他の方も指摘のように、ちょっと無駄に人が殺されて
る感がありますが、敢えて減点にはしませんでした。

No.7 7点 ぷちレコード
(2023/01/15 22:54登録)
様々な夫婦関係が錯綜している。一人の男に妻と内縁の妻がおり、その内縁の妻が失踪した後で別の内縁の妻が出来て、しかもそのうちの一人には離婚歴があるから、当然「前夫」なるものが存在する。夫婦関係の重複は複雑で、「夫」とか「妻」という表現では、いったい誰を指すのか曖昧になる。そして玉突き事故のように起きた二つの新生児誘拐に続いて、似通った名前の子供たちを巡る誘拐事件が描かれる。夫婦関係、親子関係、犯人、被害者関係などなど、「関係の相似性」は見事な計算の上に錯綜してゆく。
複雑すぎて理解に苦労する。それほどに作者の策略は手が込んでいる。叙述トリックを背景に、被害者・加害者の逆転というモチーフが潜在しているために、真相のインパクトが大きい。

No.6 7点 蟷螂の斧
(2012/07/11 19:01登録)
長編ですが、だらけることもなく謎とサスペンス感を保ちながら物語は進行しています。普通の誘拐物と違って、事件(誘拐)の20年後から物語が始まります。中年の女性(元妻、元同棲者、現同棲者、元囚人、元妻と名乗る者、記者の恋人)が入り乱れ混乱(いい意味で)させられますが、最後は時系列でスッキリさせてくれています。中年の看護婦が男性主人公(偽名を使っている)を本名で呼ぶシーン(看護婦は本名を知らないはず)があり、これは犯人が看護婦であったという伏線?と思いましたが、関係ありませんでした。ただの誤記???。

No.5 7点 E-BANKER
(2009/09/23 20:53登録)
「~者」シリーズの第1段。(番外編ともいえますが)
新生児誘拐事件に端を発して、狂気に支配された2人の女の鬼気迫る姿がストーリーに何とも言えない緊張感をもたらしています。
話の視点(語り手)が次々変わっていくのは折原氏の十八番的展開ですし、最後の「やっぱりな」という感想もいつもどおりですが、本作は特に殺し屋・佐久間玉枝の描写が秀逸です。最後の年表(?)も分かりやすくて良いと思いました。

No.4 7点 三流亭読手
(2009/07/25 22:56登録)
はじめての折原作品でした。後半はかなり良かったです。
ただ、無意味に人が殺されすぎます。情景描写を省略すれば
もっと簡潔になり、緊迫感が出るような部分も感じました。
平均点以上の作品だと思います。

No.3 7点 ざき
(2004/07/10 22:07登録)
上手く騙されました。なかなかすっきりしてるし、登場人物の異常性もこれぐらいなら余裕で許します。ちゃんと記述にうそを書かなかったので、この作品好きです。

No.2 3点 ごんべ
(2003/09/19 17:34登録)
先に採点された方も書かれていますが、何度も挫折しそうになりながら(理由は登場人物の異常性が第一ですね)も何とか一気に読みきりました。
もう折原作品の叙述ミステリはお腹一杯状態ですね(とは言っても数作品しか読んでませんが)。
何か、無理矢理異常性のある設定を造り上げた感じがしましたしね。
『…者』の中ではやはり『冤罪者』が一番良かったですね。最初に読んだ作品だったと言う事もありますが…

No.1 5点 BJ
(2003/04/14 20:52登録)
 怨念と狂気に当てられ、一度挫折したものの何とか読みきった。
 話が叙述トリックを仕掛けるがための2次的なものになっている気が強くする。
 折原好きの私にとっても辛い一編だった。

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