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ミステリの祭典

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メルカトルさんの登録情報
平均点:6.04点 書評数:2035件

プロフィール| 書評

No.75 8点 眩暈
島田荘司
(2010/07/03 23:45登録)
冒頭の一見荒唐無稽な手記を、現実の出来事として解釈し、実証してみせる豪腕は相変わらず見事と言ってよいだろう。
しかし、マンションとエレベーターのトリックや、手記の両性具有者のくだりは疑問視せざるを得ない。
まあ、そんなことを差し引いても傑作だとは思うし、御手洗シリーズらしい雰囲気は十分楽しめる。


No.74 6点 暗いところで待ち合わせ
乙一
(2010/07/03 00:01登録)
もっと感動させる事もできるストーリー展開なのに、描写の仕方は意外と平坦である。
個人的にはやや起伏に欠ける、感情を押し殺したような文体が若干残念な気がする。
もう少し盛り上がりが欲しかったし、二人の感情にさらにもう一歩踏み込んでも良かったのではないかと思う。
だが、静かな感動を読者に与える佳作であるのは否定できない。


No.73 4点 黒祠の島
小野不由美
(2010/07/01 23:59登録)
「獄門島」を意識した訳ではないだろうが、プロットや設定はそれを思わせる。が、そんな魅力的な舞台設定を全く生かしきれていないのは残念である。
確かに小野不由美の作品でなかったら、これ程評価されなかったであろう、まさにイマイチの作品。


No.72 6点 完全犯罪に猫は何匹必要か?
東川篤哉
(2010/06/29 23:11登録)
地の説明文がくどかったり、会話文に不要と思われるような記述があったりと、全体に間延びした感は否めない。
しかし、十年前の殺人の動機には思わず唸らされた、これは猫捜しに大金を払うはずだ。
メイントリックはやはり無理があるような気がするが、一応論理的ではあり、まずまず頷ける。
タイトルは?な感じだが、要所要所で猫が活躍するので、猫好きは必読かも。


No.71 5点 長い家の殺人
歌野晶午
(2010/06/28 23:34登録)
著者の本格に対する情熱は十分伝わってくるのだが、いかんせん分かり易過ぎるトリックが決定的にマイナス要素。
探偵の信濃譲二も個人的にはあまり好みではないし、登場人物にもあまり個性が感じられない。
デビュー作にしては可もなく不可もなくといったところか。


No.70 4点 焦茶色のパステル
岡嶋二人
(2010/06/27 22:58登録)
乱歩賞を受賞した本作だが・・・。
競馬にもサラブレッドにも詳しくない私にとっては、今ひとつ楽しめなかった。
文体も私には合わなかったし、全体の印象も薄く、インパクトに欠ける。
乱歩賞をますます信用できなくなった、残念な作品。


No.69 5点 独白するユニバーサル横メルカトル
平山夢明
(2010/06/26 23:48登録)
完全に一線を越えてしまった、危険な短編集。
軽い気持ちで読んでみようかなどと考えると、後悔する事必至。
勿論、残酷描写や痛いホラーが好きな方はその限りではないが。
究極の苦痛の先には、快楽が待っているのだろうか、などとくだらない事をつい考えてしまう、一般のミステリ読者には決してお薦めできない一冊である。


No.68 7点 夜歩く
横溝正史
(2010/06/25 23:39登録)
もしあのトリックが前例のないものだったとしたら、間違いなく満点をあげるのだが、残念だなあ。
しかし本作は、首なし死体=入れ替えトリックのお手本としての評価は高いと思う。
また、金庫に保管された日本刀の謎は見事であり、そこから犯人を推理する事もできる、とてもよく出来たアリバイトリックである。


No.67 7点 ふたたびの虹
柴田よしき
(2010/06/24 23:55登録)
優しく暖かい、そして切ない連作短編集。
舞台は東京は丸の内にある小料理屋「ばんざい屋」。
京風の「おばんざい」に誘われて夜毎集まる客たちの、ある時は悩みを聞き、ある時は客の持ち込む謎を鮮やかに解く女将の、安楽椅子探偵ぶりを情感豊かに描く佳作。
それぞれの短編の読後には何かしらの余韻を残すヒューマンスミステリであり、あくまで優しく、しかしどこか芯の強さを感じさせる女将は魅力的である。
女将の恋の行方も気になるところだ。
また、タイトルにも秘密が隠されている。


No.66 7点 粘膜蜥蜴
飴村行
(2010/06/23 23:45登録)
第63回日本推理作家協会賞受賞作。
ホラーでもない、ミステリでもない、SFでもない、ファンタジーでもない、それらのエッセンスをそれぞれ良いとこ取りしたような作品。
あらゆるジャンルを超越した、現代の奇書と呼んでも差し支えないであろう。
舞台は第一章と第三章が、戦時下の大病院。
主人公はその病院の御曹司で国民学校初等科に通う、雪麻呂。
彼を巡るさまざまな惨劇と、従姉妹に対する愛、失踪した母親への思いなどが読みやすい文体で描かれる。
第二章は雪麻呂の友人、真樹夫の兄で青年将校の美樹夫が主役を務める。
敵地ナムールで軍部の要人をある村に無事送り届ける為、ジャングルを巨大な虫どもと戦いながら踏破する物語。
とにかく全編に亘って、残酷描写をところどころに散りばめながら、様々なジャンルの要素をぶち込んだごった煮的な作品である。

また、へルビノと呼ばれる爬虫人(頭が蜥蜴で首から下が人間)の存在が要所で重要なポイントとなってくる。
ただ、ミステリとはとても呼べない本作が日本推理作家協会賞を受賞した理由は私には理解できない。
面白く、興味深い作品には違いないが。


No.65 7点 コズミック
清涼院流水
(2010/06/22 21:27登録)
これはミステリではありません。
ミステリとしてはトリックもへったくれもないので、そう思って読むと腹が立つわけである。
しかし、キャラクター小説としてはかなりよく出来ていると感じる。
際立った活躍をするでもない探偵達だが、それぞれの個性は描き分けられていて見るべきものがある。
あくまでキャラを楽しむ小説としてこの点数。


No.64 7点 慟哭
貫井徳郎
(2010/06/21 23:42登録)
新興宗教とミステリは何故こんなに相性が良いのだろう。
そんな絶妙なブレンドを、デビュー作にも拘らず、老練ともいえる文体で見事に描き切った快作。
最後で作者の仕掛けにまんまと嵌められたわけだが、そこにはカタルシスの欠片もない。
読後はこれでもかというくらい、どんよりとしている。
しかしそれこそが作者の狙いであり、貫井氏の持ち味とも言えるのだろう。


No.63 8点 殺戮にいたる病
我孫子武丸
(2010/06/20 23:49登録)
本作はあのトリックがなくても、我孫子氏の最高傑作だと思う。
この作品なくして我孫子氏は語れない。
だから当然低い点数は付けられない。
それまではどちらかと言うと、ユーモアミステリ的な作風を主体としてきた作者だけに、このような作品も書けるのだと言う事を世に知らしめる為に描かれた様なふしもある。
所謂サイコホラーとしても一級品だし、新本格の心意気も忘れていない稀代の名作だ。
尚、グロさはそれ程醜悪というほどではないので、その意味で敬遠されている方は是非とも読んでいただきたいものである。


No.62 4点 支那そば館の謎
北森鴻
(2010/06/18 23:48登録)
北森氏の『狐闇』が予想以上に楽しめたので、勢いで本作も読んでみたが、正直あまりパッとしなかった。
ユーモアミステリが狙いなのだろうが、いまいち笑えない。
また、京都を舞台にしているが、残念ながら京都独特の雰囲気も私には伝わらなかった。
この作者はやはりプロット重視の本格ミステリが似合っているようだ。


No.61 3点 黒死館殺人事件
小栗虫太郎
(2010/06/18 21:29登録)
この作品は著者が自己満足のために書いたとしか思えない。
あまりの難解さと鬱陶しいほどのぺダントリーに何度も挫折しそうになりながら、何とか読了したが、二度と読む気は起こらなかった。
ミステリに限らず、読者に退屈を覚えさせるのは最悪だが、苦痛を強いるのは作家にとって最大の罪である。
その意味で本作はおそらくミステリ史上最も罪深い作品だと思う。
だから奇書なのか?


No.60 6点 幸福な朝食
乃南アサ
(2010/06/17 21:49登録)
読み終えた直後は多分すぐ忘れてしまうだろうと思っていたが、意外に印象に残っているシーンが多い、不思議な作品。
女性の幸せは美人に生まれる事とは限らない、美人に生まれたからと言って必ずしも幸せにはなれない、という教訓を読者に知らしめる。
幸せな人生はどれも似たようなものだけど、不幸な人生は様々だと思い知らされた、そんなちょっと怖いお話。


No.59 6点 葉桜の季節に君を想うということ
歌野晶午
(2010/06/16 21:55登録)
評判が良かっただけにハードルが上がって、辛口の採点になってしまった。
ハードボイルドはもともとあまり好みではない為、ストーリー自体も今ひとつ楽しめなかった。
最後に叙述トリックが仕掛けられているのだが、作者の狙いほどは驚けなかったのは残念である。
まあタイトルは秀逸だけど。


No.58 6点 密室の鍵貸します
東川篤哉
(2010/06/16 21:45登録)
密室とアリバイトリックの豪華二本立て、しかし全体の印象は地味である。
前半のまったりした雰囲気の描写の中に、ほとんどの伏線が張られているので要注意、うっかりしていると作者の術中に嵌る事になる。
最初の殺人の動機や二番目の殺人の真相はやや疑問視せざるを得ないが、今時珍しいユーモアテイストの本格ミステリであり、良心的な作品と言える。
謎の解明も細かい点までよく練られているし、警察、探偵共に一応の面目を保ってエンディングを迎えている点も好感が持てる。


No.57 7点 人形館の殺人
綾辻行人
(2010/06/15 23:54登録)
「びっくり館の殺人」とはまた違った意味での番外編的作品。
舞台は雨がそぼ降る京都は北白川。
個人的には綾辻作品で最も情景が眼に浮かぶ逸品である。
全体的に評価は低いようだが、私が読んだ中では綾辻氏らしさが非常によく出ている作品だと思う。
「館シリーズ」ブランドを上手く利用した仕掛けは、ここでみなさんがっかりされるのだと思うが、私はありではないかと考える。
本シリーズ中では疵も多いが氏らしい異色作であることは間違いない。


No.56 7点 グッドバイ 叔父殺人事件
折原一
(2010/06/15 00:53登録)
この作品も折原ワールド全開とはいかず。
しかし特筆すべきはなんといっても、ワゴン車で集団自殺に向かう道行の圧倒的な緊迫感である。
まるで自分がその場にいるかのように錯覚させるほどの臨場感は、息詰まるほどであり、その描写力だけでこの点数を献上したい。
尚、叙述トリック及びオチはあまり期待しないほうが無難であろう。

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