| メルカトルさんの登録情報 | |
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| 平均点:6.04点 | 書評数:1979件 |
| No.219 | 6点 | 6時間後に君は死ぬ 高野和明 |
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(2012/06/02 23:49登録) 表題作の第一話とファンタジーっぽい第二話を読み終えた時点では7点か8点付けるつもりだったが、以降トーンダウンしてしまい、この点数に。 しかしまあ、全体として楽しめたのは確かだし、一読の価値はあると思う。 最終話で、なかなかのサスペンス振りを発揮しているのはいい感じで、ハッピーエンドにしたのは正解だったろう。 ただ、ミステリとして捉えるとやや弱いのは残念な気もする。 |
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| No.218 | 4点 | スロウハイツの神様 辻村深月 |
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(2012/05/05 21:31登録) スロウハイツは、小説家と脚本家を中心に、漫画家や画家の卵などが集う、言わば現代のトキワ荘である。 特に目立った事件が起こるわけでもなく、物語は淡々と進んでいく。 一種の青春群像を描きたかったのだろうか、その意味では一応頷ける気もするが、お世辞にも読みやすいとは言えないし、無駄に長い。 一応、核となる過去の事件が存在するのだが、詳細は最後の最後まで明かされずに終わってしまっているのもいかがなものか。 最終章は多少心動かされるものがある。 どうせなら、最終章とその前の章のみで短編を書けばよかったのにと思うと返す返すも残念である。 |
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| No.217 | 6点 | 交渉人 五十嵐貴久 |
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(2012/04/23 22:12登録) これは・・・何を書いてもネタバレしそうだ。 取り敢えず、最終章までと最終章との落差にびっくり。 読者はよく注意して読まなければならない、もし中盤までに何らかの違和感を覚えたのならば、それが真相を暴くヒントになるだろう。 総合病院をジャックした犯人と、交渉人である警視正石田のやりとりはどことなくのんびりした雰囲気が漂っていて、緊迫感に欠ける。 勿論それには理由があるのだが・・・ これ以上は書けないな。 |
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| No.216 | 5点 | 幽談 京極夏彦 |
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(2012/04/19 21:42登録) ホラーテイストのもの、怪談っぽいもの、寓意小説的なもの、観念小説のようなものなど、様々な作風が収められた短編集。 どの作品にも共通しているのが、オチがないところ、これは読者によっては不満に感じるだろう。 かく言う私もそうだ。 どの作品を読んでも、最後に味わうのは宙ぶらりんの、取り残されたが如く寒々しい印象のみ。 そこになんとも言えない味を見出せるかどうかで、評価は大きく変わってくると思う。 怪談を好む読者にとっては好印象かもしれないが、ミステリファンには物足りないのではないだろうか。 |
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| No.215 | 6点 | 空飛ぶタイヤ 池井戸潤 |
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(2012/04/14 21:33登録) 実際の事件をモチーフにした、直木賞候補の力作。 非常にリアリティに溢れ、切羽詰った男達の苦悩や熱い想いが直に伝わってくるエンターテインメント小説だ。 個性豊かな登場人物たちが、生き生きと熱気に包まれながら描かれており、まるでドキュメンタリーを読んでいるような錯覚さえ覚えるほどである。 ただ、前半はめまぐるしい展開に振り回されるような臨場感があるが、後半やや尻すぼみの感が否めない。 もう少し盛り上がりを期待したが、それほどでもなかったのがやや残念な点である。 |
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| No.214 | 6点 | 逃亡者 折原一 |
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(2012/03/30 22:00登録) ある理由から殺人を犯したごく普通の主婦の逃避行の物語。 前半から中盤にかけては、さながらトラベルミステリの様相を呈している。 全国各地を転々とし、整形手術を受け、顔を変えて逃げ続ける女の足跡を追う描写は、なかなかのサスペンス振りである。 ところが後半予想もしない展開が待ち受けていて、どんでん返しも鮮やかに決まっており、最近の折原氏の作品の中では出来は良い方ではないだろうか。 若干長いのが気になるが、決して退屈する事はない。 なかなか読ませてくれる。 |
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| No.213 | 6点 | 少女 湊かなえ |
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(2012/03/22 21:51登録) 流れるような文章ですらすら読める。 二人の少女が人が死ぬところを見たいという願望から、それぞれ行動を起こし、やがて交錯し一つの結末に帰結するのだが。 冷静に考えれば、こんな偶然あり得ないとしか言いようがない、しかし小説だからね、こんなのは普通かも。 私にとっては許容範囲内だが、読者によっては許しがたいかもしれず、その辺りも評価が別れるところだろう。 現役女子高生の実態は案外こんなものかもしれないと、妙に納得できる部分もあるが、二人の少女の個性が今ひとつキッチリ描き分けられていなかった気がするのがやや残念である。 とは言え、思いのほか面白かったのは事実で、もう少し点数を高くしてもよかったが、ギリギリこの点数で。 |
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| No.212 | 6点 | 傍聞き(かたえぎき) 長岡弘樹 |
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(2012/03/19 21:51登録) うーむ、どの作品も無難にまとめているが、言い換えればどれもこれもインパクトに欠けるということだろうか。 読み方が悪いせいなのか、私の頭が弱いせいなのか、一度本を置いてブランクが空くと、それまでのストーリーがほとんど思い出せないという珍現象が頻繁に起こった。 もう自分にはミステリを語る資格がなくなったと言うことか。 悲しい現実を突きつけられた作品だが、決して面白くなかった訳ではなく、それなりに楽しめたと思う。 それぞれの短編に教訓のようなものが示唆されているのも、一つ良いポイントであろう。 |
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| No.211 | 6点 | 永遠の仔 天童荒太 |
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(2012/03/16 21:38登録) 長い、さすがに文庫本5冊分は長い。 しかしながら最後まで飽きることなく読めたのは、やはり作者の力量が並ではないということなのだろう。 帯の「ミステリーの最高峰」の謳い文句は大袈裟だが、心に残り続ける、というのは決して間違ってはいないと思う。 要所要所に、問題提起やちょっとした感動を呼ぶサイドストーリーが散りばめられていて、いいアクセントになっている。 全体としてはさして複雑なストーリーではないが、丁寧に描かれているため、この長尺はやむを得ないのかも。 だが、個人的には誰にも感情移入できなかったのはマイナス点だろうか。 |
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| No.210 | 7点 | 昆虫探偵 鳥飼否宇 |
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(2012/02/20 23:38登録) 単に昆虫の世界を舞台にしているだけではなく、昆虫の生態を生かしたトリックを仕掛けており、事件も一風変わったものばかりで最後まで興味を持って読むことが出来る。 作者は作家になる前は昆虫の研究をしており、とても素人では書けない本格的な昆虫界の知識を披露していて、ミステリ史上でも相当に異色の作品に仕上げていると思う。 こんな作品が脚光を浴びてもよいと思うのだが、いかんせんマニアックすぎるきらいもあり、一般受けするかどうかは未知数である。 しかし、一読の価値はあると言いたいと思う。 |
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| No.209 | 5点 | Mystery Seller アンソロジー(出版社編) |
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(2012/02/16 22:40登録) 島田荘司他8人の豪華執筆陣によるミステリ短編集。 竹本健治、麻耶雄嵩、有栖川有栖など、超有名な作家名が並ぶだけに、かなり期待していたのだが、見事に期待は外された。 どれもこれも凡作ばかりで、これといって特筆すべき作品が見当たらない。 唯一、我孫子武丸が面白かったかなという印象。 名前に惹かれて思わず買ってしまったが、あまり読むに値しないと思われるので、作家名で購入するのはお勧めできない。 |
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| No.208 | 6点 | 盗まれて 今邑彩 |
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(2012/02/04 22:05登録) 手紙や電話が重要な役割を果たす、短編ミステリ8編からなる作品集。 良くも悪くも、読みやすく忘れやすいという今邑女史の二大特徴を踏襲した作品ばかり。 ストーリーを読むにつれて、その展開は読めてしまうケースが多いし、オチもおおよそ想像がつくが、その先に更に一捻り二捻り効かせているところはさすがである。 全体として、それなりに面白いし一読の価値はあるのではないだろうか。 今邑女史としてはまずまずの出来だと思う。 |
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| No.207 | 5点 | 踊るジョーカー 北山猛邦 |
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(2012/01/27 21:47登録) まあ言ってみれば、可もなく不可もなく、又はインパクトに欠けるという感じだろうか。 気弱で引きこもりの探偵という設定は悪くないが、その特異な探偵像が上手く機能しているとは言い難い。 トリックも取り立てて素晴らしいわけでもない、むしろ平凡な部類に入るのではないか。 これはバカミスすれすれで、きわどく本格ミステリとしての体裁を保った、軽めの短編集だ。 個人的な好みでいえば、『ゆきだるまが殺しにやってくる』が好み、トリックはちょっとバカバカしいが。 |
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| No.206 | 6点 | ビブリア古書堂の事件手帖2 三上延 |
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(2012/01/22 22:10登録) 前作同様、読み心地もよく、雰囲気もふんわりしていて、とても感じの良い仕上がりとなっている。 今回は、古書にまつわる謎に加えて、ビブリア古書堂に復帰した栞子さんの母親の過去の秘密が明かされたりして、シリーズ第二弾としてありがちなパターンを踏襲している。 ただし、前作に比べて若干出来が劣る感じがするのは否定できない。 謎が若干弱いのと、キャラの魅力に頼りすぎな点がその原因ではないかと思う。 |
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| No.205 | 7点 | 奇面館の殺人 綾辻行人 |
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(2012/01/19 22:21登録) 待望の館シリーズ第9弾、待たされた甲斐はあったかな。 実に丁寧に描かれていて、それだけに前半殺人が起きるまでまわりくどい感じは拭えない。 しかしさすがに「館」は本格の芳ばしい香りが漂っていて、楽しませてくれるのは間違いない。 被害者の首を切った理由、招待客全員に仮面を被せた理由、指を○○した理由などは十分納得できるが、殺人を実行した動機だけはいかにもありきたりでやや拍子抜け、これはちょっといただけない。 それと、前のお二方も書かれているが、鹿谷の推理はややもすると推測と偶然に過ぎない部分があるのは否定できない。 とまあ、色々あげつらったが、細かい点まで緻密に書かれていて好感が持てるし、「館」ならではの趣向が満載で、本シリーズのファンは間違いなくその世界観を存分に味わえると思う。 随所に伏線が張られているのも、高評価。 しかし、読者によっては、ジリジリするような苛立ちを感じるかもしれない気がするのは、ちょっぴり残念な点ではないだろうか。 |
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| No.204 | 5点 | THE CHAT 椙本孝思 |
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(2012/01/12 21:48登録) ソフトウェア会社に勤める平岡が通っているチャットルームに“インターネットの亡霊”と名乗る者が現れた。 彼は既に殺されており、不要なファイルを削除していると語り、その言葉通りチャットのメンバーが次々と残酷な方法で殺されていく。 といった内容だが、どうにも全体的にスッキリしない感じがしてならない。 それと気になるのが誤字が多い事、これはいけない、気になって仕方ない。 もう一つ、偶然に頼りすぎのご都合主義があちらこちらに散見されて、まとまりのないストーリー展開に一役買っているのも難点であろう。 一応登場人物が無駄なく処理されているのはプラス要素ではあるが、いかにも上手く出来過ぎていて、作り物めいた印象が強いのはいかがなものだろうか。 |
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| No.203 | 6点 | わくらば追慕抄 朱川湊人 |
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(2012/01/03 22:10登録) 『わくらば日記』の続編だが、相変わらず情感豊かに鈴音と和歌子の姉妹を中心に、ミステリ的趣向を織り交ぜながら描かれている。 残念ながら前作に比べると、数段出来が落ちる感は否めない。 今回は、母親がほとんど登場せず、その代わり住み込みで働く辛い過去をもつ茜の露出頻度が増えている。 そして薔薇姫という新たな敵キャラが登場している、が、ここではまだその正体は明かされていない。 まだ本シリーズは続きそうな予感、次回作に期待したいところである。 |
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| No.202 | 6点 | モザイク事件帳 小林泰三 |
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(2011/12/30 23:49登録) 7つのテーマ別にまとめられた短編集。 最も気に入ったのは、最終話の日常の謎を扱った『路上に放置されたパン屑の研究』かな。 普通の日常の謎解き物かと思わせておいて、一捻りしてあるところが心憎い。 それぞれの作品のクオリティが標準をクリアしており、本格物とユーモアの両面が楽しめるのが、優れた点ではないだろうか。 『正直者の逆説』の前半の道行きシーンも私好みで、楽しめた。ユーモアを交えながらも緊迫した道行がなんとも言えない、いい味を出している。 |
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| No.201 | 6点 | 猫柳十一弦の後悔 北山猛邦 |
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(2011/12/26 22:52登録) 日本で唯一探偵助手を養成する大学の、名探偵の称号を持つ二人の教官と、そのゼミに所属する探偵助手見習い達が、孤島で演習を実施する。 そして台風接近のため孤立し、型どおり殺人が起こる。 勿論連続殺人に発展し、その死体には異様な装飾がなされるという、誠に正統派の孤島ミステリ。 猫柳十一弦という女探偵の造形はこれまでにない新味を出しており、シリーズ化も見越したキャラ作りは一応成功している。 一つ苦言を呈するとすれば、動機がいかにも弱いという事。 あっと驚くような展開はないが、真面目に書かれたミステリであるのは間違いないだろう。 ライトな感じで読みやすいのも好感が持てる。 |
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| No.200 | 7点 | 輝く夜 百田尚樹 |
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(2011/12/22 22:21登録) どこかしら不幸や不運を抱えた女性たちの、聖夜に訪れる一夜限りの奇蹟の物語を描いた短編集。 どの作品も非常にコンパクトにまとめられているが、内容は充実しており、中身がぎゅっと詰まった大人のためのメルヘンである。 心洗われるような、心が温まるような、そんな作品が目白押しで大変好感が持てる。 読んで良かったなあと実感できる、何度も読み返したくなるような作品集だと思う。 個人的にお気に入りは『猫』と『ケーキ』の2作、思わず落涙する事間違いなしの佳作に仕上がっている。 |
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