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ミステリの祭典

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厭な小説

作家 京極夏彦
出版日2009年05月
平均点5.80点
書評数5人

No.5 5点 モグラの対義語はモゲラ
(2021/09/02 03:22登録)
読んだのは文庫本版。
いつもの京極夏彦らしい割と読みやすい文章で延々と続く厭なホラーは面白かった。
が、名前の割にあまり「厭」という感じのしない題材だったなあというのが正直な感想。もっと生理的に受け付け難い何かのようなものを想定していたので、結構普通の「世にも奇妙な物語」だったので拍子抜けしてしまった。決してベタ過ぎて退屈とかそういうことではないのだが、巧みな構成で驚くという事も無く、震え上がるという事も無く、楽しめるほどの不快感を描写から感じることも無かった。もっともっと「厭」を前面に押し出して読むのも辛くなるような物を想定していたのだが、読む前の期待値が無駄に高すぎたかもしれないなあ。
普通の怖い話が読みたいと言っている人間には勧めやすいのだが、自分の欲しかった魅力にはあまり答えていないのでこの点数。

No.4 6点 小原庄助
(2017/12/13 10:14登録)
収録されている7編にはいずれも「厭な」という冠がつく。
背筋がぞわっとするほど不快な話のオンパレード。何度も何度も出てくる「厭」という字を見ているうちに、いやぁな気分が増してくる。きっぱりとした意思を感じる「嫌」と違って「厭」には生理的な気持ち悪さがにじんでいるように感じるのは気のせいか。
「人によって好きなものはいろいろだが、厭なものは普遍的」という作者の発想から生まれたという本書。とことん重たい気分になりたい人にオススメです。

No.3 5点 HORNET
(2014/02/16 17:30登録)
 読みやすいホラー系(かな?)の連作短編集。「死ねばいいのに」と同じような感じだね。読ませる筆力はさすが。
 最初の「厭な子供」と、最後の「厭な小説」が自分としてはよかった。すぐに読めるし、ちゃんと楽しめる。
 それっぽい装丁も味があっていい。

No.2 6点 TON2
(2013/01/23 18:47登録)
祥伝社
 著者で読んでしまいました。ホラーのようでもあるが、それとも少し違います。神経を逆なでされるような話がえんえんと続きます。読後感もあまりよくありません。装丁も厭な感じです。

No.1 7点 メルカトル
(2011/09/18 23:55登録)
誰にでも書けそうで京極氏にしか書けない、そんな作品。
あえてジャンル分けするならば、ホラーということになるだろう。
帯にあるように、読後はどんよりしている。
連作短編集なのだが、どの作品も共通の人物が登場するだけで、ほとんど独立した仕上がりになっている。
厭な子供や老人、彼女、家などにまつわるエピソードが独特の筆致で描かれている訳だが、後味は思ったほど悪くない。
ただなんとなく不安定な余韻を残すため、どんよりしているのである。
最終話ではちょっと意外な展開で、あるミステリ的手法が取られていて、個人的にはもっとも面白かった。

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