home

ミステリの祭典

login
あるびれおさんの登録情報
平均点:6.39点 書評数:124件

プロフィール| 書評

No.44 7点 冷たい校舎の時は止まる
辻村深月
(2009/06/23 05:29登録)
誰かのインナ・スペースに閉じ込められた登場人物たち。誰が閉じ込めた者なのか、というところがキーになってくる作品だが、結論から言ってしまうと、想像していた解答とはちょっと違ったものの、想定の範囲内の決着だったかな、と感じた。ただ、誤解してほしくないのは、だから面白くなかったか、といえば、十分に面白かったし、他の作品も読んでみたいと思わされるものだった。以下「ネタバレ」になるが、

個人的には「春子」が別の名前(座敷童子的に)で紛れ込んでいると思ったのだが、座敷童子は別に居たのか...まあ、菅原の章を読んでいて、いくつも違和感を感じさせる記述があったのだから、粋な「読者への挑戦」の前に気づけたはずなのだが。


No.43 7点 完全恋愛
牧薩次
(2009/06/23 05:26登録)
「仮題・中学殺人事件」以来お馴染みの主人公の名前で作品を出してくるとは、さすがに歌舞いた作風の筆者だけのことはある。ところで、問題の作品の中味はというと、久々に辻さんの作品で満足できるものに行き当たった、という感想を持った。当然、作中で描かれている主人公の生き様と書名とを関連付けて考えていたのだが、最後の最後でそれがひっくり返された。真の意味でこのタイトルを反映させたキャラクタというのは、彼ではなかったわけである。それにしても、齢75にしてこの作品を書き上げた、ということに感動を覚える。まだまだ、辻真先は健在ですね。


No.42 5点 君の望む死に方
石持浅海
(2009/06/23 05:23登録)
「扉は閉ざされたまま」ほど成功したとは言えないかもしれないが、今回のこの作品もアクロバティックな遊び心があふれていた。被害者となるべきものが、自分を特定の人物に殺させる。それも、一見殺人事件には見えないような形でそれがなされるように仕組む、というのだから、よく考えたものである。次は、設定の妙を超えるミステリ(の中味)に期待。


No.41 6点 医学のたまご
海堂尊
(2009/06/23 05:21登録)
突然医学部の大学生にさせられてしまった中学生が出会う理不尽な出来事をミステリ仕立てで描いた作品。最も大きな理不尽は、再現性が取れていない結果を論文化してしまったことによる騒動に巻き込まれるものだが、実際に長い期間研究者として働き、自分自身も論文を出した身としては、身につまされるものがある。科学論文ってどんなものなのか、それを書いている科学者の世界ってどんな感じなのか、かなり極端ではあるが上手く描いているなあ、と感じた。


No.40 5点 ジーン・ワルツ
海堂尊
(2009/06/23 05:19登録)
自分の子どもが本当に自分の遺伝子を受け継いでいるのかどうか、確かに男には100%確認する術はないけれど、この世界になってしまうと、それは女でも一緒、ということであり、医学倫理の側面からは、濫用が怖い技術だなあ、と改めて思う。でも、一方で、今の産科医療を取り巻く問題がつぶさに語られており、それを広く知らしめる役割は十分に担っているのではないかな。


No.39 6点 マリオネット症候群
乾くるみ
(2009/06/23 05:17登録)
表題作のマリオネット症候群だが、途中でオチには気づいた。このテの作品については、オチが読めてしまうとちょっと興醒めなところもあるので、それで印象があまり良くない。一方、併載されている「クラリネット症候群」の方は、あまりのバカさ加減にニヤニヤしながら読み終えた。こっちの方が、乾くるみの作品としては的であった。でも、ここまでアホな会話になるように、○抜き言葉を考えてしまうこの人の頭の中をのぞいてみたい。さすが数学科!


No.38 7点 聖域
大倉崇裕
(2009/06/23 05:15登録)
山岳ミステリって聞くと、一番最初に思い出すのは「氷壁」である。それよりも、この「聖域」の方が、ストレートに本格ミステリしていて嬉しかった。ストイックに友人の遭難の謎を追っていく主人公の実直さが、周囲の者との関係も含めて、ちょっと鼻につく部分もあった。だが、骨格となっているトリックには結局気づかず、それが明かされる直前になって、そういうことだったのか!!と思わされた。久々に大技にやられた!


No.37 5点 火の粉
雫井脩介
(2009/06/23 05:14登録)
「犯人に告ぐ」でも感じたことだが、サスペンスの描き方が上手いし面白い。本著の場合、ある意味、感情移入できる登場人物はほとんどいないのだが、それにもかかわらずそれなりに読ませるのは、筆力なんだろうな。


No.36 6点 ヴァン・ショーをあなたに
近藤史恵
(2009/06/23 05:11登録)
近藤史恵といえば「サクリファイス」であるが、本来はこういったコージーな短編ミステリの名手である。気軽に、肩肘張らずにさくっと読書を楽しみたいときにはもってこいの作家さんだと思う。若竹七海さんのような「毒」はあまり仕込まれていないし、かといって、光原百合さんのような「甘さ」だけではないバランス感覚が良い。


No.35 5点 カンニング少女
黒田研二
(2009/06/23 05:04登録)
カンニングにどんな技を繰り出してくるのか、かなり期待していたんだけど、この程度かあ、と思ってしまった。イイ話を読みたいわけではなかったので、ちょっと辛めの採点です。


No.34 9点 ワイルド・ソウル
垣根涼介
(2009/06/23 04:59登録)
何よりも、勢いがあるし潔いしカッコいいし、目の前にきちんと一つの世界が屹立してきた。本格ミステリが好きな私としては、本来守備範囲ではないけれど、そんなものは超えて面白かった。


No.33 7点 ジェネラル・ルージュの凱旋
海堂尊
(2009/06/23 04:56登録)
面白かったけど、「ナイチンゲール...」と合わせて一冊にして、過剰な部分を削ったら、もっと良かったんじゃないかな。


No.32 5点 片耳うさぎ
大崎梢
(2009/06/23 04:53登録)
自分の娘(小学生)に薦めるのなら読みやすくてちょうどいいかもしれない。ミステリーランドのシリーズの一冊と言われてもうなずけるかな。


No.31 6点 扉は閉ざされたまま
石持浅海
(2009/06/23 04:45登録)
設定は秀逸だと思うけれど、それを活かしきれたか、というとそうでもないかな。伏線なども判り安すぎた気がする。


No.30 7点 裁判員法廷
芦辺拓
(2009/06/23 04:41登録)
確かに、ちょっと「早すぎた」作品かもしれません。でも、それぞれに趣向が凝らされていて、短編集としてのレベルは高いと思います。


No.29 3点 最後の一球
島田荘司
(2009/06/13 06:30登録)
ミステリとして、まったく面白くなかった。
島田荘司、どうしちゃったの??


No.28 3点 ジェシカが駆け抜けた七年間について
歌野晶午
(2009/06/13 06:24登録)
これは駄目でしょう。葉桜は、気づけなかったからこその驚きと悔しさがあるけれど、こちらは気づけなくてもなんら悔しくもないしそれゆえ驚きも小さい。残念。


No.27 7点 イニシエーションラブ
乾くるみ
(2009/06/13 06:20登録)
微妙だなあ。不自然な会話とか記述から、結末のどんでん返しは気づいていたので驚きはそんなになかったけど、読み返して、伏線の多さにニヤニヤさせられました。


No.26 8点 ダック・コール
稲見一良
(2009/06/13 06:15登録)
ハードボイルドっていうのはこういうものなんだなあって読んだ当時に感じました。「男の浪漫」ですよね、これって。


No.25 9点 殺戮にいたる病
我孫子武丸
(2009/06/13 06:13登録)
我孫子武丸、初期の傑作でしょう。といって最近はどうなの?と聞かれると痛いなあ。

124中の書評を表示しています 81 - 100