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ミステリの祭典

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ジーン・ワルツ
海堂シリーズ現代篇

作家 海堂尊
出版日2008年03月
平均点5.67点
書評数6人

No.6 2点 江守森江
(2011/01/08 07:54登録)
遅ればせながら、野田聖子議員出産オメデトウ書評。
産婦人科分野の医療小説でミステリーの範疇外としてポリシー通り2点。
日本の医学界が抱える問題は必ずテーマにし、小説で何かしらの主張を展開する作者だが、今回は結構切実で重いテーマなのでエンタメ性が削がれた気がする(私的な事だが、エンタメを期待した小説で生命倫理なんか考えたくない)
各作品がリンクする海堂ワールドを楽しむ為に飛ばせなかったが、本作は自分には楽しむ以前の作品だった。
遺伝子上の親が本当の親なのか?
出産した人が本当の母親なのか?
愛情と責任を持って育てれば本当の親なのか?
子供の側はどう考えるのか?(←親の側が無視しがちな最大の難問)
結論は出ない。
当事者でなくて良かったとつくづく思う(ふぅ〜)

No.5 7点 E-BANKER
(2011/01/03 12:44登録)
クールウィッチ(冷徹な魔女)と渾名される産婦人科医、曾根崎を主役に据えた医療ミステリー。
来月には映画公開も控える話題作(?)
~帝華大学医学部の曾根崎理恵助教は、顕微鏡下体外受精のエキスパート。彼女の上司である清川五郎准教授もその才を認めていた。理恵は大学での研究のほか、閉院間近のマリアクリニックで5人の妊婦を診ている。年齢も境遇も異なる女性たちは、それぞれに深刻な事情を抱えていた。生命の意味と尊厳、そして代理母出産という難問に挑む~

これは深い「テーマ」。
正直、短いスパンで乱発気味の海堂作品は「もう(読まなくて)いいかなぁ・・・」的気分だったんですが、本作は例外で「十分面白く」読ませていただきました。
作品の主題となる不妊治療や人工授精、代理母の問題などは、仕事の関係で一時期リサーチをしていた経緯もあって、曾根崎の主張や、それに敵対する医学界・清川医師の保守的な考え方など、かなり興味深く、また考えさせられる問題だなぁという気分にさせられます。
確かに「ミステリー的要素」はあまりないのですが、そもそも「妊娠」そのものが今でも十分「ミステリー(神秘的という意味で)」でしょうから、まぁそれでよしということで・・・
それにしても、相変わらず海堂ワールドはスゴイですねぇ・・・ この人があの人とつながっていて、この女性はあの関係者で・・・ということですよねぇ。
(続編「マドンナヴェルデ」も楽しみ・・・)

No.4 9点 VOLKS
(2010/09/24 14:29登録)
ミステリィ要素は皆無だったが
過去の自分に同じような経験があったり
同じような病気を患った親類・同僚がいたり
数年前に友人の家庭で似たような事象があったり
近年我が家に同じようなことが起こったりしたためか、非常に興味深く一気に読めた。
妊娠、出産、流産、死産、中絶、不妊治療、代理母出産、産婦人科・小児科の減少問題、不妊治療の医療費問題
女性特有の事柄のようだが、殆どの男性が何かしらに関わりを持つ筈だから、予備知識のある女性よりも、むしろ男性の方がこの小説に引き込まれても不思議ではない。
また、クール・ウィッチと呼ばれる曾根崎女医も魅力的。
終盤に起こる奇跡。
科学的には証明されてはいないが、赤ちゃんには周囲の人にパワーを与えると昔から言われている、そのせいだろうか。
読みながら、健康に産まれ元気に育っている我が子の寝姿を眺めて、目頭が熱くなった。

No.3 5点 まさむね
(2010/03/18 20:42登録)
唯一といってもよいミステリー的要素の「答え」はすぐに察しがつく。ミステリーの色合いは相当に弱い。
しかし,さすが現役医師の作家らしく,非常にトピックでかつ国民的に関心が高いテーマについて,専門的知識をうまく織り込みながら構成されており,純粋にためになったし,楽しめた。
ロジカルな議論で相手を打ちのめすシーンとか,司法や某省庁をけちょんけちょんに書き落とす「海堂節」は,かなり食傷気味なのですが…まあそれはそれで。

No.2 5点 あるびれお
(2009/06/23 05:19登録)
自分の子どもが本当に自分の遺伝子を受け継いでいるのかどうか、確かに男には100%確認する術はないけれど、この世界になってしまうと、それは女でも一緒、ということであり、医学倫理の側面からは、濫用が怖い技術だなあ、と改めて思う。でも、一方で、今の産科医療を取り巻く問題がつぶさに語られており、それを広く知らしめる役割は十分に担っているのではないかな。

No.1 6点 白い風
(2009/03/10 23:51登録)
昨今話題の産婦人科の減少問題と日本ではまだ認められていない代理母出産の問題を絡めてのお話でした。
今回は定番の”愚痴外来”田口&”ロジカル・モンスター”白鳥コンビは出てきません。
主人公はクール・ウィッチ(冷徹な魔女)と称される産婦人科医です。
彼女の医療行為を違法とする側と正当化するところがミステリのロジック的で楽しめます。
ただ、全体としてはミステリの要素は少ないですね。

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