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ミステリの祭典

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江守森江さんの登録情報
平均点:5.00点 書評数:1256件

プロフィール| 書評

No.816 5点 本格ミステリ・ベスト10 2001
雑誌、年間ベスト、定期刊行物
(2010/05/28 02:35登録)
本来なら年刊雑誌なので一律3点なのだが、東京創元社から原書房に移籍し大幅改革された点を評価し5点とした。
値上がり傾向だったのを800円に値下げしボリュームアップされた。
「このミス」を売るための手本とし、海外ランキング・作家ランキング・作家の近況を始め、1ページづつながら11位〜20位の作品も紹介されだした。
地味なままだが見やすい作りの本になり好感がもてる。
そして、個人的な一番の注目は千街晶之[映像で観る「本格ミステリ」の世界]を含むマニア向けコラムの充実だろう。
ランキングそっちのけで改革を賞賛してしまった。
東京創元社より原書房の方が売るためのセンスは格段に上だろう!


No.815 3点 このミステリーがすごい!2002年版
雑誌、年間ベスト、定期刊行物
(2010/05/28 02:21登録)
毎度のごとく年刊雑誌なので一律の3点。
更に毎度のごとく海外翻訳作品ランキングにも興味なし。
1位の「模倣犯」は肌に合わなかったが、その一方で皮肉系エンターテインメントの最高峰・東野圭吾「超・殺人事件」の5位は嬉しい。
その他は例年通りに眺める本なのだが、巻末近くのコラム「バカミスの世界」で、私と「このミス」ではバカミスの範疇や捉え方すらかなりの違いがある事に気付かされた。


No.814 3点 このミステリーがすごい!2001年版
雑誌、年間ベスト、定期刊行物
(2010/05/28 02:10登録)
毎度のごとく年刊雑誌なので一律の3点。
こちらも毎度のごとく、海外翻訳作品ランキングに興味はない。
ランキングに関しては泡坂妻夫の1位に尽きる。
それ以上に「本ミス」の変革により、私的にはランキングと隠し玉のコーナーを眺めるだけの本になってしまった。
しかし、一般的なミステリー普及への貢献は海外翻訳作品や広範な作品を扱うので「本ミス」を格段の差で上回る。
その点で出版意義は大きい。


No.813 3点 本格ミステリ・ベスト10 2000
雑誌、年間ベスト、定期刊行物
(2010/05/28 01:57登録)
毎度のごとく年刊雑誌なので一律の3点。
「このミス」を眺めただけでは不毛な年な印象だったが、自分の評価との違いは別にして既読作品が多数ランクインしていて驚いた。
しかし、本年も私的には本格ではない東野圭吾「白夜行」が7位にランクインしているのは納得出来ない。
「このミス」の軽さと対比させて本格ミステリへの拘りをあぶり出す本の作りは売上やミステリーの普及に貢献しないだろう。
それでもミステリに対する嗜好は「このミス」とは格段の差で個人的には好感を持っている。


No.812 3点 本格ミステリ・ベスト10 ’99
雑誌、年間ベスト、定期刊行物
(2010/05/28 01:44登録)
毎度のごとく年刊雑誌なので一律の3点。
当時、パチンコの新装開店に並ぶ暇つぶしでの読書が主体だったのでランキング上位の作品は持ち歩きに厳しい厚さだった(よって読む気が起きなかった)
この年の「本ミス」最大の問題点は、私的にミステリーの範疇になく、絶対に本格ミステリではない東野圭吾「秘密」が16位にある事だろう。
しかも、投票者が「何故本格か」の理由すら記入せず投票していて呆れてしまった。
本としては実に地味だが、それを逆手にとって10年分のケースを作成し、完全保存版として記念発売すれば良さそうだと思えた。


No.811 3点 本格ミステリ・ベスト10 ’98
雑誌、年間ベスト、定期刊行物
(2010/05/28 01:11登録)
毎度のごとく年刊雑誌なので一律の3点。
本格ミステリ・ベスト100からの継続企画を「このミス」に対抗して出版してみました的な本だが、国内本格マニア向けで褒められる作りではない。
海外翻訳作品については、本格として特筆すべき作品と事情を少し扱っているだけ(この傾向は現在まで継続している)
個人的にランキングについては18位の平石貴樹「スラムダンク〜」に尽きる。
ランキングよりアンケート回答者の名前を眺める方が楽しかった。
この本一番の注目は貫井徳郎のコラム「書評について考える」だろう。
すべて賛同する訳ではないが書評する参考にはなる。


No.810 7点 聖女の救済
東野圭吾
(2010/05/26 04:18登録)
ガリレオシリーズで「容疑者Xの献身」に続く第二長編。
倒叙形式に叙述トリックを絡めたハウダニット作品なのは前作に同じ。
シンプルなワントリックなのも前作同様だが、こちらの現実味の無さ(発想を褒めている)の方が勝っている。
#その点で「容疑者X〜」の本格ミステリ大賞受賞に対し、本作を既受賞と受賞作を越えないとの見解からノミネートしなかった選考役員の見識には疑問を呈しておきたい!#
見事に張られた伏線から湯川同様論理的に読者も解答に到達できる作りは「前作での本格では無いとのイチャモン」や「シリーズ短編での物理的過ぎて読者の推理を拒絶するとの意見」に対する作者の解答なのかもしれない(グーの音も出ない解答を提示されてしまった)
※要注意
ここから微妙にネタバレします。
書き出しからヒッソリとミスリードを仕込む叙述は、わざわざプロローグなどで構えさせる稚拙な作品を書く作家には是非とも見習ってほしい。
先の方々も書いているが内海刑事はテレビのイメージを遙かに上回る切れ者で、更に洞察力で上回る湯川は(天才かどうかはともかく)間違いなく名探偵だろう!
草薙を含む刑事達のキャラ立ちも素晴らしい(ここまで満点)
しかし、先にトリックありきで設定した故か、犯人の行為は救済ではなく単なる猶予でしかない。
タイトルが「聖女の猶予」では、トリックが透ける弱点が生じる。
また、被害者の倫理観とそれに基づく行動は(石持浅海作品に似た感じで)納得出来ない。
更に、大きな如雨露を購入する御都合主義で決定的証拠が保存されたり、キッチンの水道設備描写の不親切さにも不満が残り1点減点した。
それでも、本格ミステリとして(現在までの)東野圭吾の最高作だろう。


No.809 7点 極道記者
塩崎利雄
(2010/05/24 00:30登録)
最強の駅売り夕刊紙「東スポ」に同時進行競馬小説として連載された作品。
一部マニアの間には最高峰の賭博小説だとの評価もある。
単なる賭博小説ではないピカレスク・ロマンなのでギリギリだがミステリーの範疇にも含まれるだろう。
夕刊紙連載の都合で多めにあるセックス描写はご愛嬌だが、肝心な賭博の部分は主人公に投影させた作者の実体験そのもので臨場感に溢れている。
逆転を賭けてラストの大勝負に挑む皐月賞は、枠順と買い目を記しレース発走まで描くが、結果を書かずに余韻を持たせて終了する。
リアルに同時進行していたので私はレース結果を知っていたが、今でも検索すれば結果は分かるので、その辺りも楽しみの一つかもしれない。
こんな小説を読むと賭博は悪だと糾弾されても反論できない。
※要注意(ネタバレ)
皐月賞の結果
天才・福永洋一のハードバージが圧勝、後のダービー馬ラッキールーラが2着で枠連2ー2のゾロ目は7730円と当時にしては大穴だった。


No.808 5点 人間の証明
森村誠一
(2010/05/23 22:57登録)
初期の作風(数作品しか無い)から乱歩賞を受賞し本格ミステリ路線に移行した時期に森村誠一から離れたので、更に作風が変化し代表作をものにしたが、さほど興味が無かった。
それでも、映画化されテレビで観た時期に文庫本を読んだ(当時からファジーな読書生活だった)記憶だけは残っている。
しかし「母さん僕のあの麦藁帽子どこ・・・・」のセリフが印象深い映画CMとジョー山中が歌っていたテーマソングの方が、作品その物より強烈に記憶に焼き付いている。
※追記(12月30日)
MXTVの年末ロードショーでチョー久々に映画版を観た。
松田優作が主演だったのすら忘れていたし、ホントに清張「砂の器」とプロットがソックリだった。


No.807 4点 新幹線殺人事件
森村誠一
(2010/05/23 22:48登録)
書かれた当時は、タイトルの新幹線にも新鮮味があり、時刻表絡みなアリバイも本格ミステリの代表格だったが、この手の作品は鮎川哲也だけで充分に満足していたし、森村誠一には梶山季之(当時一番好きだった作家)の後継者として期待していただけに本格ミステリ路線への変更にガッカリした。
残念ながら、そんな印象しか残っていない作品。


No.806 5点 模倣犯
宮部みゆき
(2010/05/23 22:33登録)
自分の求めるミステリとは相容れない作家な気がしてデビュー作以外読んでいなかったのだが、数年前に映画を地上波で放送した時に観て毎度のごとくファジーに原作のおさらいをした。
映画ですら、やっぱり肌に合わないと感じていたが、重さ・長さも加わる三重苦になってしまった。
世間的に高評価な事は理解できるが、理屈抜きで肌が合わないのだから如何ともし難い。
※採点は世間的評価と自分の感情を相殺した。


No.805 3点 タイムスリップ水戸黄門
鯨統一郎
(2010/05/23 21:49登録)
一応女子高生達を主人公にしたシリーズで、まだまだ継続中ではある。
今回は、水戸黄門一行が現代にタイムスリップしてくる。
どこまでもテレビの水戸黄門シリーズを題材にパロディした歴史SFミステリーモドキ。
なんやかんや言って日本人にはサザエさんや水戸黄門は馴染み深いので題材にしただけで普通に楽しめる。
逆に言えば、ただそれだけな作品でもある。
この作品で飽きてきたのでシリーズから離れた。


No.804 3点 タイムスリップ明治維新
鯨統一郎
(2010/05/23 21:42登録)
歴史SFとミステリーの境界線にあるシリーズで、軽い気持ちで読み飛ばせば楽しい。
幕末にタイムスリップした女子高生の主人公が明治維新を目指し、タイムスリップ先で初体験までしてしまう話。
現代に戻ってきたら初体験は無かった事になるのだろうか?
といったタイムパラドックスが一番気になってしまった。


No.803 4点 踊り子殺人事件
嵯峨島昭
(2010/05/23 19:09登録)
「私××なんです」で書き出される夕刊紙エロ小説の大家であり芥川賞作家でもある宇能鴻一郎大先生が、覆面作家として嵯峨島昭→(探しましょう)と駄洒落たペンネームでミステリーを書き出した最初の作品。
主人公が登場する女性達とやりまくり、性描写と旅回りの踊り子世界の描写に力点があり、ミステリーよりもエロスを追求した作風で、そのまま宇能鴻一郎名義で発表してもよかったかもしれない。
一部では、エロを絡めた結末の付け方がバカミスとして高評価されているが、それ程の作品ではない。
※発表当時より数年先の風俗に関する余談
私が学生時代のストリップは警察の摘発に負けず、まだ過激で本番マナ板ショーなどもあり、先輩に連れていかれ、後輩は舞台に上がるジャンケンに強制参加させられた(寮生の宿命)
親友がジャンケンに勝ち残り、みんなの前でさらし者になったのは今でも語り草で同窓会でも話題になる。


No.802 2点 激闘パワフル刑事
城戸禮
(2010/05/23 18:45登録)
アクション刑事物なので私的なミステリーの範疇外でポリシー通り2点。
「このミス」巻末のミステリー作品リストに、このシリーズの作品が掲載されていて(悪い意味で)驚いた。
昭和40年代に若山三郎と並び(江戸川乱歩や横溝正史を抑えて)春陽文庫の双璧として君臨していた。
青春アクション小説から刑事アクション小説に舞台は変わったが竜崎三四郎を主人公にした大河シリーズで、当時は赤木圭一郎主演等で多数映画化された。
この作品は、作者の末期作品で、シリーズキャラの刑事全員が無敵状態な新・刑事シリーズの一作になる。
シリーズのどれを読んでもほぼ同じで、水戸黄門のテレビシリーズをも凌ぐかもしれない。
読むのに時間を要さないので、昭和中期を知る一助に一作だけ読んでみるのも悪くない。


No.801 2点 お嬢さんは名探偵
若山三郎
(2010/05/23 18:24登録)
昭和40年代に春陽文庫の双璧として君臨した作家で、代表作に吉永小百合主演で映画化された「大空に乾杯」や「お嬢さん」シリーズがある。
「お嬢さん」シリーズが時代にそぐわなくなり、赤川次郎の人気に目を付けたのか「新・お嬢さん」シリーズとして推理小説を書き出した。
この作品は、そのシリーズの一作目で何作かはシリーズ継続した。
しかし昭和一桁生まれの若者観故か、書かれた当時から若者にも受け入れられずに終わった。
推理小説なら売れるとナメて書いたとしか思えず、全く褒め所のない作品だった(読むのに時間を要さないのは褒め所か?)
シリーズ全てが同じ様で、まさに金太郎飴小説シリーズとして一見の価値だけはあるかもしれない。


No.800 7点 むごく静かに殺せ
森村誠一
(2010/05/23 10:23登録)
‘事故処理屋’星名五郎を主人公にした異色サスペンス連作。
これも、初期作品で梶山季之の影響下にある事がハッキリ分かる梶山的雰囲気を纏った作品。
読者が推理するのではなく、テンポと捻りで読ませる上手さは梶山譲りだと嬉しかった。
その意味では、独自色を出し本格推理に移行した事に残念な思いがあった。


No.799 2点 不良社員群
森村誠一
(2010/05/23 10:09登録)
一言で表現するなら痛快サラリーマン無頼控。
オムニバス風な処女長編でもある。
捻りもあり痛快な小説ではあるがミステリーか?と問われると微妙なので、ミステリーの範疇外扱いで2点にしておく(一般小説評価なら7点)
当時、作者がデビュー前に、好きだった梶山季之が缶詰めになるホテルのフロントマンで、原稿を預かり最初の読者だったとの話から処女出版「サラリーマン悪徳セミナー」を読み、それを小説にした作品が出たので楽しく読んだ。
初期の森村誠一は梶山季之の影響下にあり、梶山が亡くなって新作が読めない穴を確実に埋めてくれていた。


No.798 5点 仮面よ、さらば
高木彬光
(2010/05/23 08:41登録)
高木彬光は、神懸かり的名作から素人レベルの凡作まで同じ作家が書いたとは思えない位に作品レベルに落差がある。
このシリーズも第一作から、シリーズを貫く作者の狙いが透ける展開に終始しながら完結した。
しかし、脳梗塞に作者が倒れなければ、ミエミエな展開をミスリードにした神懸かり的で強烈な一撃を与えてくれたのではないか?との思いは尽きず、完結した喜びより惜しい気持ちの方が断然大きい。
さらには、この作品以降に書かれた作品を作者の黒歴史として抹消したいとすら思っている。


No.797 5点 松本清張を推理する
評論・エッセイ
(2010/05/23 08:20登録)
図書館で、過去の「このミス」を眺めようとうろついたら、同じ棚にあり目に留まった。
評論としては薄くて読み易い本なので「このミス」同様に棚から取り眺めてみた。
松本清張作品自体好きではなく、さほど読んでいない(映像化作品は多数観ている)が、この本の収穫は、本格ミステリに嗜好の中心があるなら、名作と云われる「点と線」や「砂の器」などから読み始めては清張を好きにはならない、とハッキリ分かった事だった。
但し、自分は上記のパターンで清張の小説から離れた事を後悔するよりラッキーだったと思っている!

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