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ミステリの祭典

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松本清張を推理する
阿刀田高

作家 評論・エッセイ
出版日2009年04月
平均点5.33点
書評数3人

No.3 5点 蟷螂の斧
(2020/02/02 11:52登録)
著者の阿刀田高氏は「松本清張小説セレクション」全36巻を編集し、熱烈なファンであることを自認しています。本書は、著者が作者の視点から清張氏の小説作法を推理(想像)するというエッセイ集です。「よいしょ」だけではなく、批判もしていますね。その点は好感が持てます。
「点と線」に関し、「空白の4分間」は瑕疵とする説があり、本サイトでも同様の趣旨の投稿もあります。以前から、それが不思議でたまりませんでした。ちょこっと細工すれば済むことなので・・・。清張氏はそんなことは当たり前のことなので、あえて詳細を書くことはしなかったと、ずっと思っていました。本書でも、その点に触れており、まったく意見が一致し、ホッとしています(笑)。あとエピローグにおける「潜在光景」の評価が完璧に一致。やはり、著者と相性はいいのかなあ(笑)。

No.2 5点 江守森江
(2010/05/23 08:20登録)
図書館で、過去の「このミス」を眺めようとうろついたら、同じ棚にあり目に留まった。
評論としては薄くて読み易い本なので「このミス」同様に棚から取り眺めてみた。
松本清張作品自体好きではなく、さほど読んでいない(映像化作品は多数観ている)が、この本の収穫は、本格ミステリに嗜好の中心があるなら、名作と云われる「点と線」や「砂の器」などから読み始めては清張を好きにはならない、とハッキリ分かった事だった。
但し、自分は上記のパターンで清張の小説から離れた事を後悔するよりラッキーだったと思っている!

No.1 6点
(2009/07/15 07:09登録)
『点と線』『ゼロの焦点』『黒い画集』『砂の器』など(11作品)を、作品ごとに批評しています。少しコメントを抜粋。

・「小説はすべてミステリーだ」 小説にはなんらかの謎が提示され、なんらかの解決がある。(大賛成)
・『ゼロの焦点』には、戦後の鄙びた風景の描写が、日本人の原点に属する懐かしさを表現している。(納得、戦後すぐのことは知らないが、その描写だけで心打たれる)
 冒頭の引き込み方がうまい。(これも納得)
・『黒い画集』所収の『遭難』の動機が、清張社会派ミステリーにしては弱い。(大好きな作品。考えもしなかった。この一文を読んで、実は私は社会派に向いていないのかなと思った)

こんな感じで、様々な角度で分析してあります。紹介された全作品を読んでないので評価が難しいですが、清張ファンなら楽しめると思います。
ところで著者の阿刀田高は、このサイトでは登録されていないようですね。

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