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ミステリの祭典

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江守森江さんの登録情報
平均点:5.00点 書評数:1256件

プロフィール| 書評

No.1236 6点 古畑任三郎―殺人事件ファイル
三谷幸喜
(2011/03/01 14:53登録)
刑事コロンボから設定をパクリ、鮎川哲也原作の倒叙短編と混ぜ合わせた幻の倒叙ミステリ・ドラマ「チェックメイト’78」(松方弘樹主演)が不発でブームにならなかったので、今では倒叙ミステリと言えばコロンボ・古畑・福家(←これは大倉ファンだけ)となっている。
三谷幸喜はリンク&レビンソンの企画アイデアな「刑事コロンボ」から倒叙を「ドラマ版エラリー・クイーン」から解決編前の視聴者への問い掛けを綺麗にパクった。
それでも一番のヒット要因は主演の田村正和と助演の西村雅彦だろう。
さて本題に入ろう。
本作は最初のドラマ・シリーズ「警部補・古畑任三郎」の小説版だがドラマ版(12エピ)から2エピソードを削り、放映順から時系列順に並べ替えられている。
それだけなら出版意義は薄いし、ドラマを観れば良いのだが、ドラマ視聴からの問題指摘に対応しての書き直しと、今泉をカットしてまで犯人側から描き切りドラマ版とは違った面白さを加えている。
脚本家自らノベライズも書く辺りは三谷幸喜らしいのだが、その為(忙し過ぎて)以降のシーズンはノベライズされる気配すらなく非常に残念。
※補足
因みに文庫版は分冊されているが同内容。
また、本シリーズの原作は小説(つまり本書)では無くドラマ(脚本)の方なので視聴後にどう手直しや改変したのかを楽しむのが正規な順序。
※ミステリを楽しむ姿勢はプロフィールに明記した通りなので主張(嗜好)が合わない方は私の書評はスルーして下さい。
また、主張(嗜好)に関する言及は御勘弁下さい。


No.1235 5点 Except The Dying
モーリーン・ジェニングス
(2011/03/01 13:05登録)
さて、次の原書紹介は本作なのだが実のところ読んでもいなければ入手すらしていない(ジュンク堂洋書WEBで入手可能な事は確認済)
作者は英国生まれもカナダに移住し、当マードック・ミステリーのシリーズもカナダで発表している(現在、原書は7作品出版されている)
本邦未翻訳作家ながら本作がバリー賞とアンソニー賞の最優秀処女長編賞の候補作に選ばれているし、映画化(日本未公開)もされている。
ここまでは余談で、実のところ誰かに本シリーズ(原書)を読んで書評して貰いたいが為に紹介するのは、東京ローカルな地上波MXTV他で本作のドラマ・シリーズ(カナダ制作・吹替版)を観たからに他ならない。
ドラマ版は各エピソードでコナン・ドイルやフーディニなど実在した人物まで登場しながら、古い時代なりの科学捜査とバカミスを融合させた面白い作品だった(シーズン2まで日本でも放送済、シーズン3はカナダで放送済)
もう少しドラマが日本でもメジャーになったら、原作の翻訳もされるのだろうか?
※更なる余談
実際は、原書購入は嫁の猛烈な反対で断念した。
嫁曰わく「ドラマだけ観て原作なんか気にしなければいいのよ!」だそうだ(*_*)


No.1234 7点 Mr. Monk and the Two Assistants
リー・ゴールドバーグ
(2011/03/01 12:17登録)
No.1234と綺麗な並びが次に訪れる(No.12345)事はないだろうから記念すべき作品で祝おう!
海外ミステリー・ドラマの傑作「名探偵モンク」オリジナル・ノベライズの一冊で、未翻訳ながら2人の新旧アシスタントが競演する設定の面白さに惹かれた本作の原書(PB)を2人のアシスタントが競演したドラマのファイナル・シーズン(別内容)が放送される前に入手していた(読む気は無く単なる記念グッズとして所持)
実のところ、私は英語表現が易しい場面(結構ある)を端折り読みで眺めただけで、普段読書をしない嫁(トリリンガル)に指輪のプレゼントと引き替えに抄訳(口語)させる裏ワザを使わせて貰った。
嫁もドラマでモンクの世界に馴染んでいるので面白い抄訳になっていて、思わず「オマエ翻訳家になったら」と言ったら「読書は面倒くさい」と嫌がられてしまった(>_<)
ドラマは終了してしまい残念だが、ノベライズは未翻訳がまだ残っているのでソフトバンク文庫で翻訳出版してほしいものだ。
※お節介な忠告
所詮コメディ・ミステリーなのでドラマを観て好きでないと翻訳されたシリーズすら面白さは半減します。


No.1233 7点 北の夕鶴2/3の殺人
島田荘司
(2011/03/01 03:39登録)
大技物理トリックは映像で観たいとお思いで、関東地方在住の方々に告知を兼ねて例外的に本作二度目の評を・・・・・今週の金曜日・地上波TBSで13:55から本作のドラマ化作品を再放送しますので録画予約をお忘れなく!!!!!
あの鎧武者や空○ブ○○コ・トリックが映像で観れる作品で2サス・ファンの間では伝説となっています。
とんでもトリックでバカミスに類する小説の映像化作品で本作に比類する作品は思い当たりません《原作無しなら「奇術探偵ジョナサン・クリーク」に何エピソードかあります》
本作のミステリとしての骨格部分(トリック)は絶対に映像で観る方が楽しいと思います(2サスも捨てたものじゃありません)
是非ともお見逃し無きよう!
因みに吉敷と通子の関係の話は、鹿賀丈史と余貴美子の熟年恋愛を見せ付けられるので辟易する覚悟で観て下さい(原作でシリーズ・ファンの方々には非常に不評です)
※全く書評はしてませんが伝説的作品の告知なのでお許し下さいm(_ _)m
では、ご機嫌よう。


No.1232 5点 小説クロサギ
夏原武
(2011/02/25 12:09登録)
2月11日は実写版「あしたのジョー」の映画公開日で、宣伝の為にボクシング通な香川照之をゲストにした井岡一翔の世界戦(最短記録オメデトウ)〜「ぴったんこカン・カン」への流れは亀田兄弟でミソをつけているTBSにしては神懸かり的な放送だった。
更なる宣伝の為に山P主演で共通しているドラマ「クロサギ」を翌週から昼間の再放送枠で一括再放送した。
昨今、漫画からドラマの流れは非常に多いが更にドラマ・ノベライズまでされる作品はめったにない。
一般人を騙すシロサギ、異性を騙すアカサギ(私は昔、無意識なアカサギだった事がある:ギリギリ結婚詐欺で訴えられずに済んだ)ソイツら詐欺師を手玉に取るクロサギを描くコン・ゲーム作品。
ドラマを観ていたが、違う手口のオリジナルなので、それなりに楽しめた。
一方で現代の情報化社会では詐欺師の世界にクロサギ情報も格段に浸透しているだろうから現実味は非常に薄い(リアリティを気にせず楽しむべし!)
私は未読で実情を知らないが、原作漫画でも本作のエピソードが描かれているらしく、漫画を読めば十分との説もある。
※3月29日追記
映画版「クロサギ」が本日地上波初放送だったが、一部微妙に違うだけで本作と同内容だったのでガッカリ視聴になってしまった。


No.1231 5点 物語日本推理小説史
評論・エッセイ
(2011/02/25 11:32登録)
海堂尊の連載作品を読む為に図書館に出向いて「小説現代」を読んでいた時に連載されていたので気になって一緒に読んだ。
連載完結して一冊の書籍となり、今回メデタク本格ミステリ大賞・評論部門の候補作にノミネートされた。
タイトルに物語と付されているが史実と評論とガイドを物語風にした作品(←内容を考えて敢えて作品と呼ぶ)
私的には谷崎潤一郎の項目がお気に入りで、本作のおかげで谷崎潤一郎・犯罪小説集も読んだのだから、それだけでガイドとしても意義があったと思う。
たぶん「エラリー・クイーン論」に負けて本格ミステリ大賞は受賞出来ないだろうが、候補作にノミネートされただけでも良かったのではなかろうか。
平成に入ってからが一章しかなく、若い読者へのアピールは非常に弱い。


No.1230 5点 週刊女性セブン 2011年3月10日号
雑誌、年間ベスト、定期刊行物
(2011/02/25 08:10登録)
何で「ミステリの祭典」で女性週刊誌を取り上げるのか?疑問に思った方々も多いだろう。
讀賣新聞の下段広告欄に本誌の広告があり、なんと!今をトキメク本格ミステリでは稀有なベストセラー東川篤哉「謎解きはディナーのあとで」の最新読切続編が掲載されていると大きく書かれていた。
早速コンビニに出向き「週刊少年サンデー」(名探偵コナン)の立ち読みついでに読んで来た。
何で本格ミステリの短編集がベストセラーになったのかがハッキリした事に意義があった。
表紙イラストに執事×お嬢様設定が妙齢の女性達に受けた事がヒットの最大要因で、発行元の小学館も同様な分析をして更なる商業展開を目論んでいるのだろう。
それにしてもオヤジ世代向けのギャグ連発で読者を限定してきた東川篤哉の短編を読む為にコンビニで女性週刊誌を立ち読みする時代が到来するとは思ってもみなかった(若いアンチャンが先に立ち読みしてたのも驚きだった)
採点は純然たる週刊誌なので本来は基準点の3点だが、勇気を振るって立ち読みした自分へのご褒美で2点加点した。
※これだけベストセラーになれば次の短編集は待たずに出版される筈なので、特別な東川ファン以外は敢えて今(女性週刊誌で)読む必要性を感じない。


No.1229 5点 5分間ミステリー 真犯人を探せ
ケン・ウェバー
(2011/02/25 07:37登録)
ここ数日出先で時間を持て余す事必至の用事(仕事)があり、先週図書館で目に留まった本書を借りておいた。
文庫で持ち歩きにも便利だし、一問5ページ程度の推理クイズ集でタイトルは真犯人を探せだが、問題傾向は些細な気付きのミステリが多く暇つぶしには持って来い。
本題が5分間ミステリーなので(読んで解答するまでを5分間に自己設定し)敢えてタイマーセットまでして挑戦してみた。
難易度まで星印の数で示してあり、星一つの易しい問題が多いのだが、実質1、2分で解答を導くとなると意外と閃かないものだ!
推理への伏線がサラリと書かれていて超短編クイズなので気付けるが、普通の本格ミステリ小説だったら気付けないかもしれない。
東野圭吾の解答が書かれていない某作品を超短編推理クイズにした様なモノを何問も楽しめたのだから拾い物だろう。
採点は推理クイズ好きなのと暇つぶしアイテムとしての実用性を評価して甘くしている。


No.1228 6点 羊たちの沈黙
トマス・ハリス
(2011/02/20 06:14登録)
最初に映画版を観たのは10年以上前だったハズで、その時はレクター博士のキャラとプロファイリングが少し面白く感じた程度だった(サイコな部分は早送り)
最近、映画版を再視聴する機会があり、ついでに原作もおさらいした(おさらい読書に加えて会話主体の文章なので時間は要さなかった)
ハッキリしたのはサイコ・サスペンス系にプロファイリングを絡めた作風は映画もドラマ(クリミナル・マインドとか)も小説もさほど好きではない事で、更に始末に悪いのは(←スルー出来ない性格なので)観たり読んだりしてしまう事だろう。
制作されなければ観たり読んだりしないで済むのだから、本作が世界的に映画共々大ヒットした事が全ての元凶だろう。
その意味で、私的に大いなる時間の無駄を生み出した偉大なる作品とでも評しておく。
※ボヤキ
まだ家庭で映画やドラマ視聴なら早送りが出来るだけマシかもしれない。


No.1227 7点 放課後はミステリーとともに
東川篤哉
(2011/02/20 04:49登録)
「謎解きは〜」のベストセラー現象のお陰で漸く発売に漕ぎ着けた「3馬鹿(学ばない学園)シリーズ」のスピンオフ「霧ヶ峰涼シリーズ」短編集(売上次第で此方が本家になるかも?)
主人公が名探偵でない(しかも探偵役が変わる)設定は本家に同じ。
本格ミステリ作家クラブのベスト・アンソロジーで「〜屈辱」「〜逆襲」を先に読んでいたので、本シリーズに対する(未読短編への)期待はMaxだった。
そして残念ながら期待は裏切られたとしか言いようがない(未読作品が既読作品のレベルに及ばない)
それでも、他作家の同様な発売展開した短編集よりは思い入れが格段に強いし、読めて良かったとの思いもある。
私的な採点は6点に思い入れで1点加点の7点だが、先にアンソロジーで読んだ2作は文句なしに素晴らしいので未読で本書に接していたなら満点(8点)にしていたかもしれない。
東川が売れっ子作家になり図書館予約が殺到している現状は嬉しいような、嬉しくないような、複雑な心境。
久々に図書館を待たず購入してしまった(>_<)
息子が読んだら高価買取中なので近所の古本屋に即転売予定(^O^)/


No.1226 5点 幻の女
ウィリアム・アイリッシュ
(2011/02/20 03:59登録)
以前に映画版を観ておさらいした時の結構あやふやな印象を書くので本作をオールタイムベスト級と思っている方々には前もってゴメンナサイと謝っておくm(_ _)m
しかも、おさらい読書なので文学性を無視して小一時間で済ませたハズ(←この辺もあやふや)
私はミステリーに文学性を求めていない(返って疎ましく思っている)ので有名な書き出しにさほどの価値を感じないし採点も自ずと辛くなる。
タイムリミット・サスペンスの為に仕方がないのかもしれないが、裁判に重きがあるアメリカにしては(中国じゃないんだし)アッサリと死刑判決が下され過ぎ(時代的には問題ないのか?当時のアメリカに詳しくないので認識不足ならゴメンナサイ)な事が気になる。
そんな事は気にせずサスペンスとしてのプロットは素晴らしい。
しかし、これも変に本格ミステリ色があり、今ではドンデン返しな犯人や落とし方まで途中で察せてしまう(似たプロットのドラマとかを観すぎた私が悪いのか?)のでサスペンスとしても弱くなる。
一番問題なのが《幻の女》の正体で、謎のまま放置する結末の方が断然良かったと思える。


No.1225 4点 隠れ家の死
エリザベス・ジョージ
(2011/02/20 03:31登録)
息子の(大学生時代の家庭教師以来な)中学受験指導に時間を削がれ、ミステリ・ドラマ録画視聴もバタバタしている。
アバウトだが数日前AXNミステリー「リンリー警部」で放送されたエピソードの原作はコレ(原作有エピソードはあと2作あるがおさらいは本作で一時中断)
ドラマは端折りと不要な部分のシーンが連発されるので、本作はシリーズを読み続けて原作を読む方が良いかもしれない。
ドラマ版のデキが悪いのは確かだが、文庫上下巻合わせて1000ページ越えで被害者を巡る3人の女達の描写がジックリと書かれているので、ここまで濃密になると読書も覚悟が必要になり娯楽の域を脱するし、ドラマ版は端折り過ぎだし、どちらも脱落者が多数な気がする(実情は不明)
今後「リンリー警部」は、忙しい折りなのでドラマ版を早送り視聴して風景を楽しむ方向でシーズン2以降は接するつもり(どの道、原作は翻訳されていない)


No.1224 7点 邪馬台国の秘密
高木彬光
(2011/02/18 08:13登録)
高木彬光・歴史推理シリーズ第二弾で神津恭介が邪馬台国の場所特定に迫る。
邪馬台国の場所特定は未だに完全解明されていない最上級な歴史テーマであり、諸説を読めて楽しめる。
しかもネット検索すれば、松本清張との論争や論説パクリ疑惑まで読め(歴史学者以外の立場なら)より楽しめる一粒で二度おいしい作品。
※余談
作者が今でも生きていたなら「大相撲(八百長)の秘密」を神津シリーズで書いて欲しかった。
誰が八百長していて誰がガチンコだったのか、名探偵が取り組みや時代背景を検証した推理を読んでみたかった。
千代の富士は汚れた国民栄誉賞なのだろうか!


No.1223 4点 罪深き絆
エリザベス・ジョージ
(2011/02/18 07:44登録)
昨日のAXNミステリー「リンリー警部」再放送エピソードの原作は本作。
しかしドラマのエピソード・タイトルが「消えた子供」で原作には「消された子供」なんてタイトルもあるから間違えそうになった。
きっちりタイトル通りな結末になるから問題はないのかもしれないが原作そのままのタイトルでドラマ制作してほしいものだ。
田舎に牧師に宗教嫌い?に毒ニンジン。
ドラマを観て定番設定とナメたら痛い目をみる事請け合いな文庫上下巻合わせ840ページのボリュームで、おさらい読書すら非常にシンドイ。
ミステリー的骨格はドラマも原作も一緒だが、ドラマはボリュームの関係で端折りが顕著だし、逆に原作はミッチリ描かれ過ぎで疲れるし、作者もドラマ制作者も程々と言う言葉を知らないかの様だ!
私は楽なドラマ優先だが普通な一般の方々も私同様な事は、ドラマがシーズン3まで放送されたのに対し原作がシーズン1のエピソード分以降翻訳されていない(つまりは売れていない)事が証明している。
普通ならドラマとの相乗効果で原作も売れるのだろうが、本シリーズの原作は単なるドラマ好き(風景や役者を楽しむ傾向大)にはボリュームがあり過ぎる。
それでも図書館には全作揃っているから出版社には必要不可欠な一番のお得意様だと分かった(←これが本書一番の感想)


No.1222 5点 大統領の殺し屋
梶山季之
(2011/02/18 06:22登録)
本書自体は結構入手し難くなってきたが所有に拘らなければ光文社の電子書籍で読める(私はカッパ・ノベルス版を所有)
経済記者の‘私’がZ国(←もちろん架空)へ驚異的経済発展の秘密を探りに出向くと、そこでは政財界の大物を巻き込んだ大疑獄事件が発覚、その事件を追う親友のモーリ記者が謎のメモを残し殺される。
そして‘私’が真相究明に乗り出す。
長編推理小説と銘打たれ粗筋的には推理小説なのだが、犯人がZ国大統領直属の殺し屋だとか裏の陰謀だとかを探る社会小説の色合いが強い。
作者の文章は当時、ワン・センテンス毎に改行され水増しで原稿料稼ぎしていると批判されたらしいが、ミッチリ活字の詰まった英国翻訳ミステリを読む苦痛に比べてサクサク読めて嬉しいと再読して感じた。
島田一男・梶山季之など文学性の欠片すら感じさせないテンポで読ませる作家の方が時間制約のある身には有り難い。


No.1221 4点 ルーサン警部の犯罪
リチャード・レビンソン&ウィリアム・リンク
(2011/02/18 05:59登録)
本エピソードのノベライズは「特選・刑事コロンボ5」で「逆転の構図」(←此方はノベライズ単独本もある)とカップリングされている。
作品世界でもコロンボ同様な人気刑事ドラマ「刑事ルーサン」がある設定で、犯人であるルーサン警部とコロンボが推理合戦する展開は面白いのだが、如何せん犯人のミスで決め手の物証が残っている展開なので倒叙作品としてのデキは平凡。
ノベライズは入手し難いし読む必要性を感じなかった。
原作のドラマでも唯一の見所がルーサン警部役のウィリアム・シャトナーな残念なエピソード。
私は「ボストン・リーガル」でシャトナーを好きになったので本エピソードの見所と思ったが、別ルートでシャトナーを好きになった方々にはドラマすら見所の無い駄作と評されている。
ノベライズ自体は3点でもしょうがないレベルだが「ボストン・リーガル」以外のシャトナーの演技が見れて嬉しかった分1点加点した。


No.1220 5点 邪悪の家
アガサ・クリスティー
(2011/02/16 05:43登録)
これって「エンドハウスの怪事件」の別タイトルだったのね(>_<)
コメディと評判なフランス版ドラマを観て直ぐに犯人が分かってしまったが、かなり以前にスーシェ版とアニメ版まで観て原作をおさらいしていたのだから当然と言えば当然で、ラロジエール警視より自分が名探偵だと思った私がバカでした。
ビデオ録画してあるアニメ版を以前一緒に観ていた息子とフランス版ドラマも観たので「お父さんて忘れっぽいね」と言われて一層落ち込んだ作品でもある。
最近、トランクルームにダンボール箱保管していたスーシェ版ドラマのビデオを引っ張り出して来て観たが、クリスティ作品云々よりポアロを演じる役者としてのスーシェが一番好きだ。
アニメ版を観た時の話だが嫁と息子は犯人登場時に一番怪しいと指摘したらしい(息子談)
ミステリー・ドラマ等で(論理的ではないが)直感や役者の格から犯人指摘させた時の嫁の正解率はそこらの名探偵顔負けで凄い(なので私は嫁の鋭さと報復を考え、いくらスケベ心があっても恐ろしくて嫁一筋から逸脱出来ない)


No.1219 5点 トライアングル ドラマ版
新津きよみ
(2011/02/16 04:56登録)
ミステリーとしてより恋愛・家族小説な側面の強い原作をミステリー寄りにかなりアレンジしてフジテレビ系でドラマ放送され、更にそのドラマの内容をノベライズして小説に差し戻した作品。
ドラマを視聴していれば内容はそのままで問題ないが、ノベライズが下手くそで読み進まない(笑)
ドラマでは意外な犯人演出の為に毎週怪しい人物が入れ替わる展開で間延びしながらもミステリになっていた。
敢えて本書を登録したのは原作→(アレンジ)→ドラマ化→更にノベライズの流れが面白く感じられ、ドラマ視聴に毒された私には色々なドラマのノベライズが読めそうな期待が膨らんだから(出版姿勢を評価してオマケの5点)
原作も同じノベライズ好きな角川書店で出版された影響も大きいのだろうか。
※希望的な余談
この流れで、多部ちゃんが食べちゃいたいくらいQ10(キュート:前期放映ドラマ)な今期一番楽しめているドラマ「デカワンコ」(←ウ○コじゃないよ!)も漫画→(アレンジ)→ドラマ化と来てノベライズされないだろうか!!


No.1218 5点 花の棺
山村美紗
(2011/02/16 02:01登録)
西村御大のテレビ局への影響力で作者が没しても2サスでのシリーズが継続制作される偉大な日本のクリスティ(オマケに娘の紅葉がセットで付いてくる)
藤田まことの「必殺仕事人」「はぐれ刑事純情派」に並ぶ主演シリーズでもある「京都殺人案内」で最初にドラマ化され、日本人なキャサリン(TBS系)更には狩矢親娘シリーズと三度も映像化されながら、作品の肝である日本人には盲点だが外国人ならではの気づきを無視(探偵役が常に日本人)して制作され続けている(ドラマ映えするトリックではある)
それでも作者が没して結構過ぎ、原作もさほど読まれない現状を考えれば再放送もバンバンされる2サス作品は貴重かもしれない。
正直な話〈西村御大のトラベル・ミステリー〉〈内田御大の浅見シリーズ〉〈山村美紗作品〉は2サスを観るだけで満腹で原作をおさらいする気も起きない。
それにしても、同じトリックを何度も観て楽しめるのだから2サスは偉大だ!
※因みに、山村美紗作品は本作と「燃えた花嫁」を2サス視聴後におさらいした以外は読んでいないが、トリックは殆ど2サスで観て知っている(書かれた時代の家電品絡みのトリックなんか今では陳腐)


No.1217 5点 エレナのために
エリザベス・ジョージ
(2011/02/16 01:02登録)
AXNミステリー昨日の「リンリー警部」再放送は本作(ドラマ視聴後のおさらい読書なので書評は当然のごとく最低1日遅れになる)
リンリー警部シリーズでは珍しくドラマのエピソード・タイトルと原作(翻訳本)タイトルが一致している。
それくらいに最初の被害者でありストーリーの中心人物(ヒロイン?)であるエレナに尽きる作品とも云える。
そのエレナだが、教授の娘で成績優秀(←これはさほど関係ない)で美人なら聴覚障害者でも(私は貞操観念を欠く女性に興味はないが)普通の男なら食指が動く。
殺人犯は誰?=妊娠させた男は誰?と思わせるストーリー展開(まるで日本の2サス)はベタ過ぎるし、今観ると「サッサとDNAでの親子鑑定をしろ!」となってしまうのはご愛嬌だろう。
ドラマ版は前後編合わせ2時間弱に対し原作は文庫650ページなので、リンリー達の人間関係ドラマ(ミステリーではないがドロドロ、でもあっけらかん)を省いても更なる端折りが顕著。
原作の良さであり重苦しさでもある、エレナの裏面が徐々に明かされ、それと同時に登場する怪しい面々の描写を端折っているので原作好きにはドラマ版はこき下ろされている。
その一方で原作の容赦ない描写や重苦しさも適度に端折ったドラマ版(風景描写は特筆物)だけで充分満足との意見も多数ある。
以降の作品では更に原作とドラマ版の分量バランスが崩れ、どちらを優先するかの分岐点になる。
原作の翻訳がストップしている現実を考えたら明らかに、手軽なドラマ版に分がある。

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