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ミステリの祭典

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エレナのために
リンリー警部

作家 エリザベス・ジョージ
出版日1995年09月
平均点5.50点
書評数2人

No.2 6点 nukkam
(2014/09/02 18:05登録)
(ネタバレなしです) 1992年発表のシリーズ第5作の本格派推理小説で、シリーズレギュラーキャラクター間の人間関係が整理されて本書は本業である捜査と推理にかなりのページを割いています(もちろんそれまでのシリーズ作品の面白さを否定するつもりはありませんが)。ジョージの作品では被害者は早々と殺され、その人の個性はリンリーの捜査によって浮かび上がるというパターンが多いのですが本書もその典型で、被害者エレナと彼女を取り巻く複雑な環境が徐々に明らかになる展開は読み応えがあります。謎解きも悪くありませんが、それ以上に結末で描かれているドラマが何とも言えない余韻を残します。

No.1 5点 江守森江
(2011/02/16 01:02登録)
AXNミステリー昨日の「リンリー警部」再放送は本作(ドラマ視聴後のおさらい読書なので書評は当然のごとく最低1日遅れになる)
リンリー警部シリーズでは珍しくドラマのエピソード・タイトルと原作(翻訳本)タイトルが一致している。
それくらいに最初の被害者でありストーリーの中心人物(ヒロイン?)であるエレナに尽きる作品とも云える。
そのエレナだが、教授の娘で成績優秀(←これはさほど関係ない)で美人なら聴覚障害者でも(私は貞操観念を欠く女性に興味はないが)普通の男なら食指が動く。
殺人犯は誰?=妊娠させた男は誰?と思わせるストーリー展開(まるで日本の2サス)はベタ過ぎるし、今観ると「サッサとDNAでの親子鑑定をしろ!」となってしまうのはご愛嬌だろう。
ドラマ版は前後編合わせ2時間弱に対し原作は文庫650ページなので、リンリー達の人間関係ドラマ(ミステリーではないがドロドロ、でもあっけらかん)を省いても更なる端折りが顕著。
原作の良さであり重苦しさでもある、エレナの裏面が徐々に明かされ、それと同時に登場する怪しい面々の描写を端折っているので原作好きにはドラマ版はこき下ろされている。
その一方で原作の容赦ない描写や重苦しさも適度に端折ったドラマ版(風景描写は特筆物)だけで充分満足との意見も多数ある。
以降の作品では更に原作とドラマ版の分量バランスが崩れ、どちらを優先するかの分岐点になる。
原作の翻訳がストップしている現実を考えたら明らかに、手軽なドラマ版に分がある。

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