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ミステリの祭典

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mozartさんの登録情報
平均点:6.02点 書評数:208件

プロフィール| 書評

No.168 5点 カラマーゾフの妹
高野史緒
(2023/09/11 11:35登録)
残念なことに「前任者」の作品を読んでいないため(作中にあらすじはしっかり書いてあり、別途ネット等でこの大作の概要については予習してあったのですが)ここで明らかにされた「真相」に対する驚きとかカタルシスをあまり感じられませんでした。
やはりミステリー愛好者といえども読書家の常識として「世界の十大小説」には眼を通しておくべきなのかも。


No.167 7点 闇に香る嘘
下村敦史
(2023/09/11 11:24登録)
主人公が全盲という設定で対峙する人たちへの不信感と不気味さがミステリー色を盛り立て緊張感をもって物語が描かれています。ラストも読後感の良いものとなっていて好感が持てました。

(ややネタバレ)
兄が偽者ではないかという主人公の疑念が物語の序盤で示されていたのでそのまま終わることはないだろうと鈍感な自分でも予想がつきましたがここまでしっかりと伏線を回収して反転させるとは…。


No.166 6点 幽霊たちの不在証明
朝永理人
(2023/09/03 09:25登録)
フーダニットとハウダニットについては極めて論理的に解き明かされていて感心しました(ホワイダニットはちょっと……)。文体がラノベ青春ミステリー風でしたがこれについては特に不満はありません、ていうか、最近はこの手の作風の方が読みやすくて好ましく思えています。
ただ終わり方が……。個人的にはエピローグをもう少しほっこりするようにできなかったのかな、と。まぁ、これが「青春」なのでしょうが。


No.165 8点 十戒
夕木春央
(2023/08/30 17:47登録)
特殊な設定というか犯人のルールが秀逸で3日間とは言えなかなか緊張感の持続するストーリー展開で最後まで一気読みできました。謎解き部分でそれまでにさりげなく記載されていた伏線を回収していくロジックも極めて明快で十分納得させられました。少し余韻を残したラストも気になります。

確かに正当防衛にはならず「犯罪」になってしまうのでしょうが、その犯行動機も十分に理解できたし。ていうか他に選択肢はないような……。


No.164 6点 元彼の遺言状
新川帆立
(2023/08/05 15:41登録)
このミス大賞受賞作品とのこと、選評にもあるように主人公のキャラがとても立っていてなかなか魅力的でした。伏線もしっかり回収されていてミステリーとしてもうまくできていると思いました。遺産がらみのストーリーではあるものの(かつてのこの手の作品に多く見られた)ドロドロした「昭和臭」がしないのも好感が持てました。弁護士作家にありがちな小難しい法律関連の表現が前面に押し出され(てある意味煙に巻かれ)ることもなかったし。


No.163 4点 此の世の果ての殺人
荒木あかね
(2023/08/03 14:39登録)
K-Pg境界の再来というSFチックな特殊設定があまり活かされていないような…。確かに犯行動機がそれで説明できるんでしょうけど。人物の描き方もちょっと平板な印象を受けました。ただ、作者はまだ若いので今後に期待したいところです。


No.162 7点 兇人邸の殺人
今村昌弘
(2023/07/29 14:46登録)
前作と比べると(屍人荘のように)ブッとんでいてなかなかグロい特殊設定だったのでちょっと引いてしまいました。あからさまなミスリードを誘うパートにはさすがにミステリー素人の自分でも欺されませんでしたが、かといってあのような真実を推理・予想できるわけもなく、作者の術中にはまってひたすら比留子探偵の推理に感心させられるばかりでした。
あの人物の登場から続編もありそうなので期待したいところです。


No.161 9点 魔眼の匣の殺人
今村昌弘
(2023/07/29 10:12登録)
前作がとても面白かったのでちょっと過度に期待しながら読みました。で、まったくもって期待通りというか想像以上の面白さでした。
読みやすい(ややラノベ風?の)文章とか読者に寄り添ったネーミングの解説などは言うまでもないのですが、意外な動機の妥当性とか探偵による謎解きの合理性に加え衝撃の事実を伴う最後のインパクトなどミステリー好きを十分に満足させるエンターテインメントを連発できる作者には感服しました。


No.160 6点 メルカトル悪人狩り
麻耶雄嵩
(2023/07/28 11:16登録)
久々に銘探偵メルカトル鮎を堪能しました。ちょっと「毒」が薄く感じられるのは慣れてしまったからかも。とは言っても「メルカトル式捜査法」には「脱帽」させられました。


No.159 6点 透明人間は密室に潜む
阿津川辰海
(2023/07/28 08:25登録)
表題作、透明人間「病」という奇抜な特殊設定ですがトリックにうまくはまっていて感心しました。「六人の熱狂する日本人」はオタクの心理を余すところなく描いていてややオタク気味な友人がいる自分としては結構楽しめました(自分はオタクではないつもり)。後半の二作はしっかりした本格モノで読み応えがあり全体として満足できる一冊でした。


No.158 7点 蒼海館の殺人
阿津川辰海
(2023/07/28 08:08登録)
前作に続けて少し前に読みました。結構楽しめました。登場人物たちの人間関係がちょっとややこしかったけど、館モノならではの設定ではないかと。洪水による水没というタイムリミットやクローズドサークルの設定にリアリティが足らなかったような記憶がありますが、ある意味「特殊設定」だとして受け入れれば探偵によるロジカルな謎解きも十分楽しめるのではないでしょうか。


No.157 6点 紅蓮館の殺人
阿津川辰海
(2023/07/28 07:05登録)
続編があるとのことなので(順番を間違えると痛い目に遭うかも知れないので)まずはこちらから読みました。でも時系列的に後の続編があると言うことは主人公周りの人物は「無事」だったということで、タイムリミットのあるサスペンスだというのに今ひとつ緊迫感が……。
とは言っても、明らかに問題がありそうな登場人物とか仕掛けのある館とかロジックをもとに謎を解明していく過程とかはそれなりに楽しめました。ただ最後の「探偵とは」をテーマにしたくだりはちょっとどうかな、と。色々(死亡)フラグを立てながら謎を解いていくのも名探偵の「お約束」だと思うのですが。


No.156 7点 白鳥とコウモリ
東野圭吾
(2023/07/27 15:55登録)
感動しました。
意外な真相にたどり着くまでページを繰る手を休ませないストーリー展開はさすがに読ませ上手な東野先生の作品です。作者はどのように話を締めたら読者の感動と満足感が得られるか熟知しているんだな~、と。


No.155 5点 希望が死んだ夜に
天祢涼
(2023/07/27 15:40登録)
どんでん返しはありますが、いわゆる本格モノではないと思います。負のスパイラルから抜け出せなくなる現代日本の貧困問題という社会性の高いテーマを扱ってはいますがイマイチ得られる感動が薄いというか…。これは主人公をはじめとする貧しい者たちの描き方がステレオタイプで意外性がなく、読者(自分)の魂を揺さぶるには程遠いせいではないかと。


No.154 7点 鬼畜の家
深木章子
(2023/07/26 07:47登録)
少し前に図書館で借りて読んだので(手元にないので)あらすじサイトで記憶を呼び覚ました上での感想。
伏線や誤認のさせ方とかオチについてもそれなりに面白かったです。家族のありようとかややステレオタイプではあるものの社会性も十分にあったと思います。ただ本格モノとしてのインパクトという点ではちょっと物足りなかったかな。


No.153 7点 月灯館殺人事件
北山猛邦
(2023/07/26 07:19登録)
これは…。
北山「節」炸裂といったところでしょうか。

本作者の過去作同様随所に散りばめられた「違和感」に何ら疑念を抱くことなくラストのアレまで読み進んでしまいました。まさに術中にはまりまくってしまった、と。


No.152 9点 名探偵に甘美なる死を
方丈貴恵
(2023/07/25 15:03登録)
シリーズ三作目とのこと、某作家の某シリーズで順番を間違えたことを激しく後悔したので今回は順番に読み進めました(余り影響はなかったですが)。本作もなかなか凝った「特殊設定」でした。「執行人」とかの設定もユニークで緊迫した展開にも目が離せなくなって一気読みしました。読後感も良かったです。
「特殊設定」はある意味作家からすると便利なのかも知れませんが読者を納得させるためにはその設定の意義というか物語のコアとしての位置づけに相当工夫しなければならず、その意味でも本作者の優れた才能には感服します。


No.151 5点 捜査線上の夕映え
有栖川有栖
(2023/07/25 14:30登録)
このところ読書タイムはラノベ風ミステリーとか特殊設定ミステリーとかに偏っていたのですが久々に有栖川ミステリーも堪能しました。作家アリスと火村のやりとりや本作者固有のエモーショナル(?)なストーリー展開もある意味懐かしかった。トリックについてはちょっとアレでしたが全体としては許容範囲でした。


No.150 8点 孤島の来訪者
方丈貴恵
(2023/07/25 14:20登録)
前作の「時空旅行者の砂時計」に続けて読みました。今作も「特殊設定モノ」ですが前作と比べるとその「設定」がなかなかブッ飛んでいて馴染むのに少々抵抗がありました。その設定というか制約条件もしっかり謎部分の根幹に関わっているのはなかなか秀逸で、作者の綿密な事件のプロットの設計やストーリー展開のさせ方には脱帽です。


No.149 4点 彼女はひとり闇の中
天祢涼
(2023/07/25 06:15登録)
登場人物(主人公・家族・学友・犯行者等)が自分には魅力的とは言いがたく特に主人公には余り共感できなくて彼女が犯人に迫っていく過程を読み進めるのがちょっと苦痛でした。最後の「反転」にはちょっと感服しましたが。


(ネタバレあり)
序盤で犯人のモノローグっぽいパートがあって倒叙モノかと思わせるのですがミスリードがあざと過ぎると思いました。葛葉が相模を追い詰めるくだりとか。

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