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ミステリの祭典

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希望が死んだ夜に
<仲田・真壁>シリーズ

作家 天祢涼
出版日2017年09月
平均点6.60点
書評数5人

No.5 5点 mozart
(2023/07/27 15:40登録)
どんでん返しはありますが、いわゆる本格モノではないと思います。負のスパイラルから抜け出せなくなる現代日本の貧困問題という社会性の高いテーマを扱ってはいますがイマイチ得られる感動が薄いというか…。これは主人公をはじめとする貧しい者たちの描き方がステレオタイプで意外性がなく、読者(自分)の魂を揺さぶるには程遠いせいではないかと。

No.4 6点 makomako
(2023/06/10 06:48登録)
最初はひどく生意気な少女が出てきてかなり不快なのですが、読み進むといろいろなシチュエーションの転換があり、お話が全然違ってきます。
作者の作品ではキョウカンカクを読んだのみですが、それとはまったく異なる内容で、ちょっとびっくりしました。
作者はいろいろなことがかける才能があると思います。
このサイトの評判もなかなか高いのですが、私は好き嫌いでいうとあまり好みではなかったので、評価はこの程度です。

No.3 7点 suzuka
(2022/10/15 22:59登録)
よくある警察ものだと思っていたらラストでやられました。
特殊な設定などを一切使わずにこういう物語を作れるものかと感心しました。

No.2 7点 メルカトル
(2020/09/04 22:46登録)
神奈川県川崎市で、14歳の女子中学生・冬野ネガが、同級生の春日井のぞみを殺害した容疑で逮捕された。少女は犯行を認めたが、その動機は一切語らない。何故、のぞみは殺されたのか?二人の刑事が捜査を開始すると、意外な事実が浮かび上がって―。現代社会が抱える闇を描いた、社会派青春ミステリー。
『BOOK』データベースより。

青春ミステリなのか社会派なのか、はたまた本格なのか意見の別れるところだと思います。私としてはメッセージ性が強いので社会派の色が最も濃いのではないかという気がします。貧困や社会格差の問題提議がストーリーの中でさりげなく施されており、決して押し付けではなく自然と心に沁み込んでくる感じでしょうか。

ホワイダニットだけで最後まで引っ張るのは、流石に無理があるなと思いながら読みましたが、後から読み返してみるとそこここに伏線が張られており、ぼんやり読んでいると後悔するかもしれません。ラストの真相は正に読者の想像の遥か上を行き、驚愕しました。まさかこんなに複雑な仕掛けが用意されていようとは夢にも思いませんでした。そして切ない読後感、何とも言えません。あまり知られていない本作だと思いますが、多くの読者にお薦めしたいですね。

No.1 8点 HORNET
(2018/08/05 18:57登録)
 古い空き家の洋館で、女子中学生・春日井のぞみが首吊り死体で発見された。警察は現場から走り去ろうとした冬野希(ネガ)を逮捕。ネガは「自分が殺した」と言い、それを受け入れればそのまま翌日には送検となる。ただ、ネガは犯行を認めつつも、その動機に関しては一切語らない。捜査を担当した捜査一課の真壁は、初陣となるこの件にケチをつけたくないという思いで全容解明に臨む。しかし一緒に捜査をすることなったのは、生活安全課の女性警官、仲田。少年犯罪を多く手掛けてきた仲田は、何かにつけて当事者であるネガら若者たちの心情を「想像」することを重んじる。そんな仲田のやり方に歯がゆさを感じる真壁だったが―

 スタートは動機を探る「ホワイダニット」のようでありながら、実際はそれにはとどまらない奥深さがありそうなのが読み進めるにしたがって分かりだす。少年少女の気持ちを汲み取ることを重んじる仲田に始めは反発を感じていた真壁だが、事件の真相に迫るうちに次第に彼女を信頼していく。
 一旦事件が収束したように思わせた後のひっくり返し方も見事で、よく練られた構成と、瑞々しい十代の世界を描き切る筆致に吸い寄せられて一気に読めた。

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