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ミステリの祭典

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makomakoさんの登録情報
平均点:6.17点 書評数:887件

プロフィール| 書評

No.27 7点 僕の殺人
太田忠司
(2008/10/19 13:31登録)
太田忠司の記念すべきデビュー作。彼は同じ名古屋在住でもあり個人的にひいきの作家だ。作品も新宿少年探偵団シリーズ以外は大体読んでいるつもり。いろいろな分野の小説を書いているが、やっぱり本格推理が一番だと思う。これは彼の小説の原点でありトリックもどんでん返しも推理の要素も含まれた秀作であろう。ただ彼の作品すべてに見られるように登場人物がかなりナイーブでやさしいため(ことにレストアなどは探偵がもうすぐ病院が必要なほどだ)、本格ものとしてどうしても少し弱い気がするのは私一人だろうか。


No.26 9点 風が吹いたら桶屋がもうかる
井上夢人
(2008/10/19 09:47登録)
面白なあ。こんなのすきだなあ。好きな作家でもあまりなじめない作品と言うのがひとつぐらいはあるのだが、井上夢人の作品はどれ読んでも実に面白い。登場人物があわないという評もあるが、私はこんなちょっと変わっているけど憎めない理屈屋のイッカク、ナイーブで誠実な超能力者(低能力者?)ヨーノスケ、そして普通人の峻平の組み合わせが楽しい。ことに話しのはじめにごとに出るヨーノスケの超能力の練習は思わず声を出して笑ってしまった。これぐれも電車の中で読まないこと。変なおじさんに見られますよと注意されてしまった。終盤にちょっとマンネリ気味となるので1点減点とした。


No.25 7点 マッチメイク
不知火京介
(2008/10/15 22:19登録)
プロレスを扱った推理小説ってあまり知らないのだがこれはなかなか面白い。プロレスの仕組みも何となく分かるところも興味深い。プロレスが主体の推理小説だから何となくその方面のおたくなものかと思いきや、江戸川乱歩賞をとった立派なミステリーである。トリックも大掛かりではないがさほど無理がない。軽く読めて読後感も悪くない。


No.24 5点 ゴッホ殺人事件
高橋克彦
(2008/10/15 22:07登録)
ゴッホは大好きな画家で作画した場所に立ちたくてフランスまで行ったぐらい。高橋克彦も好きな作家なのでこの本は非常に期待して読んだ。前半はゴッホと弟のテオに関して斬新な見解がきわめて精緻な構成のもとに述べられているのだが、精緻すぎて私のようなゴッホ好きでもやや疲れてしまった。ひとつの説を組み立てるには実際にはこれぐらいの試行錯誤があるに違いないと思うのだが、それをすべて小説に書かれると読むほうはうんざりしてしまう。期待が大きかったので点数が少し低くなった。長編推理は好きなのだが、これはぐたぐたとしたところが多い。半分ぐらいの長さにしてもらえたらもっと評価点数は高くなると思う。


No.23 6点 写楽殺人事件
高橋克彦
(2008/10/15 21:53登録)
高橋克彦がこのサイトになかったのは不思議なことだ。確かに伝奇ものや歴史ものが多いが、ミステリーだってちゃんと書いているのだ。この写楽殺人事件は29回江戸川乱歩賞受賞作品で出版されてすぐ読んだときは、浮世絵のことをまったく知らなかったのでその面白さや奥の深さを知らされ感心したものだ。写楽が誰であるかの新説であるかと思って読んでいくと事件と結びついてきて実に面白かった。今回再読してみると推理の過程がちょっとくどい感じがしてはじめ読んだときほどの感銘はなかった。でもこの作品は高橋克彦のその後発表された多様な作品を読むきっかけとなった私のとっては思いで深いものです。美術に関心があるならお勧めです。


No.22 8点 昆虫探偵
鳥飼否宇
(2008/10/13 14:00登録)
これは面白い。まず最初からカフカの変身もどきで、主人公がゴキブリになってしまう。しかもゴキブリになって喜んでいるというあっけにとられるような滑り出しでちょっと心配になる。しかも出てくるのがすべて昆虫(蜘蛛も出るが)。こんなことで大丈夫なのかと思いながらオムニバス風の話を読んでいると次第に興味をそそられてくる。すべて私の好きな本格推理小説をパロッたもので、作者の昆虫に対する科学者らしい愛情と遊びの精神が好ましい。出てくる名前も学名風(多分)でいかにも理系の感覚がうかがわれ、昆虫に興味がないものでも十分に楽しめた。


No.21 5点 狂乱廿四孝
北森鴻
(2008/10/12 16:25登録)
歌舞伎が好きならきっともっと興味がわいたと思いますが、歌舞伎のことが何も分からないものが読むと名前のややこしさ(なんせ出てくる名前が難しい上に山崎屋とか音羽屋とか言う掛け声で出てくる名前で呼び合ったり、本名で呼んだりそのたびに説明がついてはいるがやっぱり分かりにくかった)があり、ようやく何とか理解したと思っていたらなかなか複雑な終局となりやっぱり混乱してしまった。はっきりいってちゃんと理解できたかどうか怪しいものであるが、江戸の雰囲気はなかなかよろしい。歌舞伎が好きだったらもっと良い評価となると思う。


No.20 7点 ザビエルの首
柳広司
(2008/10/12 08:52登録)
柳広司の歴史ミステリーは読みやすく楽しいものばかりだが、これは従来のものとは大分趣が違っていた。SFと連作ミステリーを一緒にしたようなユニークな作品で、これはこれで結構面白かった。ただ新道君やキリコさんなど最初に面白そうな脇役が出てきたのだが、この人たちが途中でもうひとつぱっとしなくなり残念。それに終わり方がもうひとつで不完全燃焼気味。なんだか続編がでそうな終わり方だったので続編も是非期待したい。


No.19 8点 崑崙遊撃隊
山田正紀
(2008/10/07 22:51登録)
このころの山田正紀はよかったなあ。ゆめがあってわくわくするものがある。この作品も読み易く知らない間に秘境の冒険の世界へ連れて行ってくれる。最近の作品はどうもぴんとこないものが多い。神々の埋葬、弥勒戦争、神狩り、氷河民族なんかは最高だった。こういった作品はもう書かないのだろうか


No.18 5点 からくり人形は五度笑う
司凍季
(2008/10/07 22:37登録)
はじめの雰囲気はなかなか良いのだが、トリックがいただけない。このトリックは絶対無理でしょう。あまりに物理的に無理なトリックは瞬間移動したとか分身の術を使った(古いたとえですが)というのと同じように感じてしまう。


No.17 6点 危険な童話
土屋隆夫
(2008/09/26 18:06登録)
犯人はすぐ分かってしまうが犯行がなかなか証明できないお話。童話を使ったトリックでもあるがちょっと苦しいか。メインのトリックは今となっては使えないところもあるが、これが書かれた昭和30年代ならOKだったのだろう。土屋隆夫らしい誠実できちんと考え抜かれた作品となっていると思う。最後は美しく悲しい。子供はこれからどうしていくのだろう。追求した木曽刑事もちょっとやりきれないかも。


No.16 6点 黙の部屋
折原一
(2008/09/16 20:40登録)
文庫本なのにちょっと気持ち悪い絵が載っていてそれが骨子となって進んでいく変わった小説。はじめのとっつきは悪いが少し我慢して読み進むと折原一独特の世界が広がって、最後は一気に読んでしまった。ちょっと暗いがまずます。


No.15 9点 人狼城の恐怖
二階堂黎人
(2008/09/16 20:20登録)
当初1部2部と進んで3部が解決編ということとなっていたのに3部はなんと探偵編。4部の解決編の発売まで当分待たされているうちに最初のほうを忘れてしまい(頭が悪いのです)もう一回読みなおした覚えがある。再読にもたえる二階堂の代表作と思う。


No.14 8点 天狗の面
土屋隆夫
(2008/09/16 20:04登録)
土屋隆夫の初期の傑作でしょう。作者の本格好きの姿勢が楽しい。トリックはこの作者らしく結構不可能犯罪様で、最近時々見かけるような幻想的(というよりむちゃくちゃというべきか)な話ではなくちゃんと現実的でよいと思う。


No.13 7点 能面殺人事件
高木彬光
(2008/09/16 19:53登録)
能面は高木彬光の刺青と並ぶ作品だと思う。今となってはトリックも古く差別的表現もたくさんある。でもがちがちの本格探偵小説としてこういった小説が好きな人間には何十年ぶりに読み返してみたがやっぱり十分楽しめた。


No.12 9点 針の誘い
土屋隆夫
(2008/09/08 20:46登録)
精緻なトリックと筋肉質の文章で今回再読したときも新しい感銘を受けました。地味な小説だが土屋隆夫の代表作のひとつと思います。


No.11 8点 QED Another Story 毒草師
高田崇史
(2008/09/06 15:38登録)
QEDシリーズは好きで発売されると必ず読んでいるが、今回は番外編で探偵が御名形史紋というタタルと似かよった変人である。歴史の薀蓄がいっぱいでこれが結構楽しい。女性もななちゃんよりちょっと色っぽくてよろしい。ちょっと行き詰まりリ風となったいるQEDシリーズに新しい風がふいた。


No.10 7点 天国は遠すぎる
土屋隆夫
(2008/09/06 15:26登録)
30年ぶりに読み返してみた。何度も推理が挫折しつつしだいに犯人へ迫っていく刑事の執念が、過不足のないそぎ落とされたような文章でつづられているところはすばらしい。ただ最初に読んだときは感じなかったのだが、もし刑事の推理が外れていたとしたら思い込みによる冤罪をつくりそうだなどと思ってしまったのは歳のせいか。


No.9 3点 ラグナロク洞「あかずの扉」研究会影郎沼へ
霧舎巧
(2008/08/30 18:45登録)
「あかずの扉」でちょっとがっかりしたがそれでも期待してやっぱり発売されたらすぐに読んでみた覚えがある。残念ながら2作目3作目とだんだんつまらなくなってしまった印象。書評がないのもそのせいか。


No.8 5点 カレイドスコープ島「あかずの扉」研究会竹取島へ
霧舎巧
(2008/08/30 18:42登録)
ドッペルゲンガー宮を読んで有望な新人が出てきたと期待して発売されたらすぐに買って読んだ覚えがある。期待した割りにもうひとつといったところか。

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