風が吹いたら桶屋がもうかる |
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作家 | 井上夢人 |
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出版日 | 1997年08月 |
平均点 | 6.53点 |
書評数 | 19人 |
No.19 | 6点 | まさむね | |
(2023/04/20 23:25登録) 同居する三人組(シュンペイ・ヨーノスケ・イッカク)それぞれのキャラが立っていて、楽しい雰囲気で読ませてくれます。 何より、ヨーノスケの超能力が微笑ましい。超能力を発揮しようと取り組んでいる姿が楽しく、特にアロエの鉢植えとの格闘?は絶品。ミステリマニア・イッカクの的外れな推理も捨てがたい魅力があるし、何気に本格ミステリに対するパロディとしても機能しています。二人を眺めるシュンペイの突っ込みも悪くない。 一方で、同じパターンの短編が続くことのデメリットも否定できず。現に、最も印象深かった短編が、ヨーノスケの超能力が、唯一直接的に人の役に立った作品でありました。そういった側面はありつつも、安心感をもって読み進められたことは評価したいと思います。 |
No.18 | 6点 | パメル | |
(2023/02/01 08:23登録) 三人で暮らしている男たちのもとに、次々と悩みの相談に訪れる可愛い女の子たち。その問題を、超能力発展途上のヨーノスケとパチプロで推理マニアのイッカク、牛丼屋でバイトをしている美人に弱いシュンペイで解決していく。毎回、全く的外れの推理が展開し、事態は予想もしない方向へと進むお決まりのオチがあるユーモアあふれる連作短編集。 ヨーノスケの持っている超能力で事件を鮮やかに解決に導くわけではなく、彼の能力は作中で「低能力」と評されているように、人の役には立てない超能力。その立ち位置や超能力に対する各々の捉え方が愉快。 パターンは毎回同じで、シュンペイの働く牛丼屋に可愛い女の子がやってきて、超能力者のヨーノスケに助けてもらいたいという。ヨーノスケが超能力で事件を解決しようとし、イッカックが読書経験を活かして推理し、とんでもない真相を言い出す。(意外と説得力あり)最終的には、全く関係のない方向で事件は解決され、可愛い女の子はボーイフレンドと去っていくという感じ。安定感のあるワンパターン(褒め言葉です)で決して飽きさせない。キャラクターもそれぞれ個性的で魅力的。たまには、このようなゆるいミステリもいいかなって思えた。 |
No.17 | 4点 | itokin | |
(2013/12/22 20:44登録) 一話を読んでこれはいけると思ったんだが、2話以降同じパターンでがっかり、3人のキャラクターも受け狙いに作ったとしか思えずユーモアも薄ぺらく感じた。少し期待外れでした。 |
No.16 | 5点 | take5 | |
(2013/10/22 18:52登録) 岡嶋一人さんの作品、アームチェアディテクティブ。 構成がまったく同じため、第一話を読むと他は斜め読みで読めてしまう。推理小説に対する皮肉も盛り込まれています。 |
No.15 | 7点 | メルカトル | |
(2010/12/25 00:07登録) 登場人物が事件の依頼者以外、物語の語り手のシュンペイ、心優しき超能力者ヨーノスケ、理屈屋で的外れな推理を展開するイッカクのみといった、一風変わった連作短編集。 それぞれの役割がはっきりしていて、個性もそれなりに感じさせてくれるし、何よりも読みやすいのが美点である。 事件も結構興味を惹かれるものがあり、軽めで楽しめるミステリを求める読者にとっては一読の価値はあると思う。 ワンパターンも、ここまで来ると逆に清々しい。 |
No.14 | 5点 | 鷹 | |
(2009/07/06 23:45登録) 期待はずれ。時間があるときの暇つぶしにはよいかも。 |
No.13 | 5点 | こう | |
(2008/10/19 22:43登録) いわゆる安楽椅子探偵物のバリエーションとして楽しめました。おそらく名探偵の推理が必ずしも正しくないことへの皮肉もあるかと思いますが基本的に依頼者からの情報が少なく突飛な推理で補う形なのでどうせ間違うにしてももう少し情報があってもよいかなと思いました。 いずれにしろ軽くさっと読める本だと思います。 |
No.12 | 9点 | makomako | |
(2008/10/19 09:47登録) 面白なあ。こんなのすきだなあ。好きな作家でもあまりなじめない作品と言うのがひとつぐらいはあるのだが、井上夢人の作品はどれ読んでも実に面白い。登場人物があわないという評もあるが、私はこんなちょっと変わっているけど憎めない理屈屋のイッカク、ナイーブで誠実な超能力者(低能力者?)ヨーノスケ、そして普通人の峻平の組み合わせが楽しい。ことに話しのはじめにごとに出るヨーノスケの超能力の練習は思わず声を出して笑ってしまった。これぐれも電車の中で読まないこと。変なおじさんに見られますよと注意されてしまった。終盤にちょっとマンネリ気味となるので1点減点とした。 |
No.11 | 5点 | こをな | |
(2007/11/15 10:18登録) ワンパターンの部分は結構好き。アンパンの勝手な推理がなかなか面白かった。 |
No.10 | 8点 | VOLKS | |
(2007/10/19 16:03登録) 評価が分かれそうな作品。 ワンパターンな展開なのだけれど個人的には飽きずに読めた。不思議な主人公3人もお気に入り。出来れば続編が読みたい、とさえ感じた。 |
No.9 | 7点 | こもと | |
(2007/10/16 21:43登録) 十返舎一九の『東海道中膝栗毛』の中に見られる「風が吹いたら」にのせて、依頼人までもがリレー方式。 しかも、あれよあれよと言う間に、ヨーノスケに対する超能力の評価までもが、雪だるま式に大きくなってゆくのは笑えます。 美女の依頼を受ける三人の中の、とどのつまりは、さて、誰がもうかったんでしょうね? 一番の謎だったりして(笑) |
No.8 | 10点 | えりまきとかげbyばなな | |
(2004/12/16 15:56登録) 本格という形式は論理の飛躍(あるいはアクロバット)によって成立している。その飛躍というものは多くは蓋然性であったり最たる「らしい」という推定によって行われたりするのであるが、実はその操作はひどく果敢なく危ういものであるというのがこの本のメインテーマと言うべきものであろう。登場人物のせりふに「矛盾がない推理であれば(たとえ現実と違っていても)真実なのだ」というようなものがあるが、これは本格の屋台骨を突き動かすようなシニックなものであるのと同時に、本格がミステリの重要なジャンルとして楽しまれている動機を如実に書き表している。ファンはその危うい飛躍を求め本格を読むのだし、もちろん作者の意図もそこにあるのだろう。アンチテーゼとして本格をもちだすことで逆説的に本格の抱える問題点や本格の形式までも浮彫りにした作者の構想と意気込みに素直に称賛すべきだと思う。蛇足ながら本格とマンネリズムに対しては都筑道夫の退職刑事1(ソウゲン版)に詳しい考察があります。 |
No.7 | 2点 | なの | |
(2004/10/12 17:41登録) う〜ん・・・井上氏初読なんですが、これはちょっと・・・。 ハッキリ言えば『つまらない』ですね。 各キャラクターに魅力が無いので、シュンペイは傍観者、イッカクは口だけの理屈屋、ヨーノスケはボンクラとしか見えません。 話のパターンが全て同じなので、イッカクの推理が間違い前提となり、ただ単に鬱陶しいだけになってます。 ユーモアって感じじゃないですねぇ。 |
No.6 | 6点 | バファックス | |
(2004/07/03 02:01登録) ミステリーとして面白いのは確か。 でも、構成がパタンぽくなってて、一挙読みには不向き。連載とか、空いた時間に読むとかのほうがよろしい。と思う。 |
No.5 | 9点 | テツロー | |
(2003/11/03 22:21登録) これは良いですね。こういう論理論理で攻めるストーリー展開は、本格っぽくて好みのタイプです。 一つ難点が、語り手たるシュンペイのキャラクターかな? イッカクの推理の前に必ず「そんなことするな」と止めるところとか、イッカクの推理が外れてそれを冷やかすところとか、何かこう、本格物アンチの立場をとってるのかな?と思えて、嫌なキャラだなと感じてしまったんですね。それと対極にいるイッカクは、その分好感度アップでしたが。普通ミステリで、探偵に感情移入しながら読んでて、その推理が外れたりすると嫌な気分になるのですが、このイッカクくらい超然と外してくれると、かえって清々しいと感じます。 もう一人のキャラ、超能力者のヨーノスケは、刺身のツマのような扱われ方にもかかわらず、良い味を出してていいキャラでした。 全体的には、大層良かったです。 |
No.4 | 7点 | ギザじゅう | |
(2003/04/22 22:56登録) 『風が吹いたら桶屋がもうかる』的(?)論理の迷走。 イッカクの迷推理も面白いし、推理小説への皮肉にはニヤリとさせられる。 読んでいて、ついつい楽しくなってくる。 |
No.3 | 9点 | 玉椿 | |
(2003/02/12 06:02登録) 古本屋で買って読みました、特した気分。 押し入れに眠ってたアルバム見てたら、もうこんな時間!ってな感じで楽しい一時をありがとう。 |
No.2 | 6点 | norito_japan | |
(2002/11/11 01:16登録) 最後までお約束、ちょっとあきた。 |
No.1 | 8点 | 由良小三郎 | |
(2002/04/27 09:36登録) 超能力初心者のところへ持ち込まれるいろいろな謎を、名探偵をきどるミステリマニアが推理するという趣向で、この推理が論理的には、すじが通っていても、結局は真相はちがっていたというのがお約束になっている短編集です。 お約束のおかげで、雰囲気にユーモアがただよって、おもしろい短編集です。 |