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ミステリの祭典

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昆虫探偵

作家 鳥飼否宇
出版日2002年03月
平均点7.25点
書評数4人

No.4 7点 パメル
(2022/04/08 08:50登録)
目が覚めると、葉古小吉はゴキブリになっていた。小吉は虫に変貌したわが身を見てもとりわけ驚くわけでもなく、むしろ長年の希望がかなった喜びに打ち震えていた。
ゴキブリに変身した人間が、昆虫界で探偵助手になり、事件に巻き込まれる。熊ん蜂が探偵、蟻が刑事である。ある意味突き抜けた設定で異彩を放っている。そして虫たちの様々な習性を手掛かりに遠隔殺虫、三重密室、体液消失、誘拐&立てこもり事件を解き明かし解決する。
異世界ミステリでは、まず奇抜なトリックがあり、そのトリックが成立するのはどんな世界が考え、設定を案出するというのが無理のない発想の順番だろう。それなら世界設定はかなり作り手の思い通りになる。しかし本書の世界は、人間になじみが薄いとはいえ、現実の設定に思える。
虫が人語を話す異世界仕立てでありながら、作り手の自由度が高くない。推理の過程で昆虫の珍しい習性を知り、「人間離れ」した世界の様相に興味をそそられつつ、知らず知らず作者の術中にはまっていく。昆虫の生態に詳しくなくても楽しめる作品となっている。

No.3 7点 メルカトル
(2012/02/20 23:38登録)
単に昆虫の世界を舞台にしているだけではなく、昆虫の生態を生かしたトリックを仕掛けており、事件も一風変わったものばかりで最後まで興味を持って読むことが出来る。
作者は作家になる前は昆虫の研究をしており、とても素人では書けない本格的な昆虫界の知識を披露していて、ミステリ史上でも相当に異色の作品に仕上げていると思う。
こんな作品が脚光を浴びてもよいと思うのだが、いかんせんマニアックすぎるきらいもあり、一般受けするかどうかは未知数である。
しかし、一読の価値はあると言いたいと思う。

No.2 7点 kanamori
(2010/03/09 21:57登録)
昆虫の世界の本格ミステリ。
被害者が昆虫なら探偵も昆虫、名探偵・熊ん蜂シロコバ氏が難事件を解決する連作ミステリ。
設定はバカミスだが、トリック自体は昆虫の生態を活かしたまっとうな本格編で、実に面白い。

No.1 8点 makomako
(2008/10/13 14:00登録)
これは面白い。まず最初からカフカの変身もどきで、主人公がゴキブリになってしまう。しかもゴキブリになって喜んでいるというあっけにとられるような滑り出しでちょっと心配になる。しかも出てくるのがすべて昆虫(蜘蛛も出るが)。こんなことで大丈夫なのかと思いながらオムニバス風の話を読んでいると次第に興味をそそられてくる。すべて私の好きな本格推理小説をパロッたもので、作者の昆虫に対する科学者らしい愛情と遊びの精神が好ましい。出てくる名前も学名風(多分)でいかにも理系の感覚がうかがわれ、昆虫に興味がないものでも十分に楽しめた。

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