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ミステリの祭典

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マッチメイク

作家 不知火京介
出版日2003年08月
平均点6.00点
書評数3人

No.3 4点 パメル
(2024/08/16 19:30登録)
大手プロレス団体「新大阪プロレス」のスターで、現役の国会議員でもあるダリウス佐々木が、試合中に倒れ急死した。死因は蛇の毒による中毒死。新米レスラーの山田聡は、犯人が団体内部にいるのではないかという疑惑を抱くようになり、事件の真相を追う。
プロレスは、一般のスポーツと異なり演出のあるショーとしての側面が大きい。タイトルの「マッチメイク」は、試合全体のシナリオを描き演出することだが、ダリウス佐々木の最後の試合の背後に、どんなシナリオが秘められていたか、それが事件にどう関わっているかが、メインの謎となっている。
本書ではプロレス興行の現実的な仕組みが、まだ業界の裏に通じていない新米プロレスラーの視点を通じて徐々に紹介されていくという情報小説的な趣を持っている。道場破りを撃退する役目の丹下や主人公の同期の本庄といった脇役たちの描写やレスラーたちがどうやって肉体を作っていくのかという筋肉の脈動が伝わってくるような表現力が優れている。読後感は、様々な角度からプロレスを愛した男たちの思いが交錯するスポーツ小説として爽やか。ただ、ミステリとしてはトリックは偶然に頼った感があるし、結末近くになって型通りの展開に陥ったのは残念。

No.2 7点 江守森江
(2011/02/01 09:54登録)
乱歩賞受賞作ながらミステリー及びサスペンス部分では先の展開がミエミエな凡作でしかない。
一方でプロレス業界内幕小説としての面白さは抜群で、加えて青春アスリート小説としてもベタながら面白い。
乱歩賞応募の為にミステリー的な展開にしただけで主眼は内幕&青春小説の部分にあるのだろうし、受賞理由もそちらの躍動感や面白さだと選評からも分かる。
ミステリ書評サイトでの採点ではあるが、私の採点も作品の主眼部分を重視し、それに加えてプロレス&スポ根好きなので大甘な7点とした(それでも遠慮して満点にはしない)
プロレス好きなら登場キャラと実在モデルとの摺り合わせも簡単でより楽しめるだろう。
作者の作品を2作読んだ感じではミステリーよりも特殊な題材での家族小説に本領を発揮する気がする(2作共面白かった)
※参考文献を見ても新日本プロレスをモデルにしているが、私は今でも全日本プロレスのジャイアント馬場&ジャンボ鶴田の師弟コンビがプロレスの王道だと思っている。
チャンピオン・カーニバルでの師弟直接対決で鶴田が一度も勝てなかったのが正に『マッチメイク』

No.1 7点 makomako
(2008/10/15 22:19登録)
プロレスを扱った推理小説ってあまり知らないのだがこれはなかなか面白い。プロレスの仕組みも何となく分かるところも興味深い。プロレスが主体の推理小説だから何となくその方面のおたくなものかと思いきや、江戸川乱歩賞をとった立派なミステリーである。トリックも大掛かりではないがさほど無理がない。軽く読めて読後感も悪くない。

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