makomakoさんの登録情報 | |
---|---|
平均点:6.17点 | 書評数:887件 |
No.67 | 5点 | カンナ 天草の神兵 高田崇史 |
(2009/06/21 07:43登録) 今回のカンナシリーズはQEDより執筆が早いが、その分内容も薄い感じ。QEDのようにやっていてはいずれ行き詰るだろうが今回の天草の神兵では歴史推理もいまいちだが、肝心の事件のほうがさっぱりだった。採点5点はひいきの作者であるからでそうでなければもう少し点数は下がる。ただ読みやすいことは読みやすく時間つぶしぐらいなら良いでしょう。 |
No.66 | 7点 | the TEAM 井上夢人 |
(2009/04/29 22:05登録) 面白かった。さらりと読めてさすが井上夢人の作品と思うのだが、同じ連作物の「風が吹いたら桶屋がもうかる」と比べると登場人物も物語の興味もちょっとおちるかな。 |
No.65 | 8点 | 朱色の研究 有栖川有栖 |
(2009/03/31 20:30登録) なんともロマンチックな作品。2重に絡んだトリックはぎりぎりの線で成り立っていて犯人もある意味ではすごく純粋であり、結果はそこはかとなく悲しい。火村先生の中では好きな作品。 |
No.64 | 7点 | 隠された帝 井沢元彦 |
(2009/03/29 13:28登録) 私は歴史が好きなので天智天皇と天武天皇という日本古代史の代表人物に対する歴史推理はとても興味深かった。兄弟の間柄や暗殺に対する学校で習ったことからすればちょっとびっくりするような推論もなかなかのものだった。ただもう一方の現代における事件のほうがいまいちかなということでこの点数です。歴史推理が好きなら読んで損はないと思う。 |
No.63 | 7点 | スウェーデン館の謎 有栖川有栖 |
(2009/03/29 12:26登録) 美しい雰囲気の中で美しい人が登場して、となかなかムードが良い。トリックは小粒だがまあそこそこでしょう。国名シリーズのなかでは好きなほうの作品です。 |
No.62 | 8点 | 秘密 東野圭吾 |
(2009/03/22 09:33登録) ありえないようで何となくありえるようなお話を上手に読ませてもらった感じ。東野圭吾は時に冷たく説きに暖かいが、この小説は暖かい面が出ていて好感が持てた。 |
No.61 | 9点 | 女王国の城 有栖川有栖 |
(2009/03/20 18:00登録) 学生アリスシリーズは大好きなのでこの本が出るまで本当に長く待たされた。ほとんどあきらめかかっていたときに出版されたので大変な期待のもとに読んだ。余り待たされると期待はずれとなることが多いのだが、この作品は期待にこたえ長さといい内容の濃さといいすばらしいと思う。久しぶりに長編本格推理小説を読んだなという感じ。読者への挑戦は双頭の悪魔では3回もあったが、本作品ではえらく控えめなのが一回あるのみだが、私にはぜんぜん犯人が分からなかった。本格推理小説としてよく出来ていると思うが、月光ゲームや孤島パズルでの学生らしいみずみずしさが少なくなっているのが残念。 |
No.60 | 9点 | 双頭の悪魔 有栖川有栖 |
(2009/03/11 19:57登録) 学生アリスシリーズは大好きな推理小説。月光ゲーム、孤島パズル、と進んでこの作品は断然完成度が高い。本格物としても非常に優れていると思います。細部にいたるまで緻密に構成され隙がない。初めて読んだときは推理小説化としての有栖川の進歩と実力を思い知らされ感嘆したものです。再読してもやっぱりすばらしい。ただ本格物として完成してくると若き青臭さが減少してくる。青春小説として物足りなくなってしまうのだ。孤島パズルにあるみずみずしさが少なくなったのは残念である。こんなことを感じるのは年かなあ。 さすがの有栖川もこれほどの作品を書くと次はなかなかかけない様で学生アリスは女王国の城まで10年以上待たされることとなったのはファンとしてはずいぶんつらかった。 |
No.59 | 8点 | 孤島パズル 有栖川有栖 |
(2009/03/04 20:38登録) 月光ゲームより文章もお話もさらに良くなっていると思う。宝探し、不可能と思える密室、アリバイが全員ない殺人どれも実に面白い。人物も良く描けているし新たなヒロインのマリアも素敵だ。なのに月光ゲームと同じ点数をつけたのは密室の謎が結局すっきりしないのと(これでは密室の謎を解いたことにならないと思うのだが)魚楽荘の事件はかなりのアスリートでなければ無理そうに思うがその伏線が張っていないのが気になるからです。最初に読んだときは満点あげても良いぐらいだったのだがいろんな小説を読んでいてだんだん気難しくなったのかもしれない。学生アリスが好きで本格推理小説が好きな私にとってとても大切な作品です。 |
No.58 | 8点 | 月光ゲーム 有栖川有栖 |
(2009/03/02 21:05登録) アリスの記念すべき最初の長編。人物が多すぎる。一人ひとりがあまり描けていない。ダイイングメッセジもはきりいって無理がある。あきらかに青臭い。でもこの作品は大好きです。何度読んでも好きなものは好き。学生アリスはどれもロマンチックで本格派で私の好みにぴったりなのです。孤島パズル、双頭の悪魔とさらに文章も内容も良くなっていくところが実にすばらしい。探偵の江神さんは数ある名探偵のうちでも最も好きな探偵さんです。火村先生も良いのだが、私は江神さんのほうが好きです。学生アリスもっと書いてくれないかなあ。 |
No.57 | 7点 | 本廟寺焼亡 井沢元彦 |
(2009/02/22 12:54登録) 猿丸のすぐ後に出た作品で、当時作者に注目していたので出版後すぐ読んだ。この頃は自分の家が浄土真宗にもかかわらず宗教のしくみなど全く無知であったためかもうひとつぴんとこなかった。今回再読してみたが、これはずいぶん含蓄を含んだお話であることが大分理解できた。多少でも仏教関係に興味があればなかなか面白く読めるが、そうでない人にはちょっと意味不明のところがあるかもしれない。私としては猿丸よりは落ちるが六歌仙よりは上といった評価です。 |
No.56 | 8点 | はじまりの島 柳広司 |
(2009/02/22 12:44登録) この作者の作品としてはじめて読んだものだが、読み始めると表現や文体が翻訳文のようだという印象、でも翻訳文よりはるかに読みやすい。ダーウィンが探偵となってヴィーグル号で訪れたガラパゴス諸島でおきた事件を解決していくストーリーは興味津々。すごいトリックがあるわけではないが(ガラパゴスならではのトリックはある)、十分に楽しめる。 |
No.55 | 7点 | 六歌仙暗殺考 井沢元彦 |
(2009/02/13 19:55登録) 六歌仙の歌仙絵が作品のキーとなって進行していく物語はかなり面白い。こういった話にありがちな薀蓄やおどろおどろしい場面はあまりない。かといって派手なトリックなども無いのだが物語のテンポはよくそれなりに楽しめる。ただ物語の最後が不完全燃焼の知りきれトンボみたいになってしまっているのがちょっと興ざめ。 |
No.54 | 4点 | ジェシカが駆け抜けた七年間について 歌野晶午 |
(2009/02/09 22:35登録) 「葉桜」で見事にだまされ、その次に書いた作品ということで期待して読んでみたが残念ながらいまいち。トリックももうひとつわかったような分からないような。不愉快な作品ではないが、面白くも無いといったところか。 |
No.53 | 7点 | 五十万年の死角 伴野朗 |
(2009/02/07 21:28登録) 江戸川乱歩賞をとった伴野朗の出世作で、得意の中国ものミステリー。初めて読んだときはハードボイルドの要素が強いと感じたが、30年ぶりに再読した今回はほとんど違和感なくよく出来たミステリーとして楽しめた。ただ長く中国にいた作者としては地名人名は中国読みでないといった考えからか、漢字に中国読みのかなが振ってある。日本読みになじんだ者としてはちょっとうっとうしい。伴野朗の作品はどれも読みやすく面白いものが揃っているのだが、なぜかこのサイトには名前が無かったので追加しました。中国物が好きな人には十分に楽しめると思います。 |
No.52 | 6点 | 奇想、天を動かす 島田荘司 |
(2009/01/21 21:27登録) 作者が力を入れていることは良く分かりますが、このトリックはちょっと無理があるでしょう。吉敷は正義感あふれているのは良いのだが、こんな勝手が通るの?上司の反対を押し切って北海道まで行ってしまうし(この間の仕事は無いのかね)タクシーは乗り放題だし。いっそ金持ちの道楽息子が警察へ入っている設定にしたほうが無理がなさそう。そういった矛盾だらけではあるが作者のやさしさや力いっぱいの迫力は伝わってくるので私としてはこのぐらいの評価としました。 |
No.51 | 8点 | 隠蔽捜査 今野敏 |
(2009/01/12 18:35登録) 警察小説はあまり好みではない。キャリア官僚は好きでない。がちがちの原則主義者も困ったものだ、この主人公はきっと馬鹿なのだろうと思いつつこの小説を読んでいた。作者は読者がこういった感情を抱くであろうことを想定して書いており、それが途中から強い意志をもった立派な官僚、人間としてもなかなかいいやつではないかという感じになってくる。最後は家族もうまくまとまってきて感動的だし読後感も大変に良い。 多少減点したのは主人公がはじめは普通の人間なら分かりそうなことまで全く理解できないぐらいへんな人間なのに後半では結構普通っぽくなってくるのがちょっと違和感があるため。 |
No.50 | 8点 | 高層の死角 森村誠一 |
(2009/01/03 22:14登録) このサイトで森村誠一へのコメントが少ないのは社会派推理小説への評価が下がっているからだろうか。一世を風靡した人間の証明も採点がない。高層の死角を最初に読んだときはまだ学生で高級ホテルのことなど全く知らなかったためかホテルに関する事柄ばかりが印象に残っていたが、今回再読してみるとホテルの密室殺人はそれほどウエートがあるわけでなくむしろそれ以後のアリバイ崩しの分量が多いのにちょっと驚いた。ホテルでの密室殺人も犯人のアリバイも細かいところまで実に良く考えてあり、一流の推理小説だと思う。読んでいないならおすすめですよ。 森村誠一は熱く情に流される人間が良く出てくる割には小説全体がとてもクールな印象を受けるところが、大好きな作家とまではいかないところです。でももうちょっと評価されても良いがなあ。 |
No.49 | 7点 | 二の悲劇 法月綸太郎 |
(2008/12/29 11:56登録) 法月らしい誠実できちんとした本格推理小説。でもこの2人称表現はあまり好きではない。ことに前半は無駄な描写がだらだらと続き意味なく長い感じ。我慢して呼んでいると途中からスピードがついてきて最後は結構面白い。ただストーリーそのものに違和感がある。私は物書きでないから分からないけど小説家から原稿をもらうのに女性編集者はそこまでやるの?この女性ならそのことを悩んでしまうか、絶対拒否して逃げて帰ってきてやっぱり悩んでしまうのではないかという気がしますがね。 |
No.48 | 7点 | 頼子のために 法月綸太郎 |
(2008/12/28 09:21登録) 推理小説としては良く出来ていると思いますが、終結は何でこんなこととするのですかね。もうちょっと手前で終わってくれれば良かったのに。倫太郎の態度もやっぱり賛成しかねるし、もう少し違った形にいくらでも変えられると思うのだけど。 法月倫太郎はこれを書くまでは比較的順調に長編を発表していたのに、こんな風にしてしまうから悩んで次がなかなかかけなくなったのじゃないかな。まあいつもうじうじ悩んでいるのがこの作者の持ち味ともいえるからしかたないか。 |